衝動に対する処方箋〜自己を客観的に見るために・哲学的考察リミックス〜

自己を客観的に見ること…人間にとって、それこそが一番必要で、汎用性の高い能力ではないか。

ただ、多くの人は「客観」を誤解している。

客観というのは、単純に俯瞰することじゃない。

客観というのは、自己の思考の枠外に立つこと、つまり言語以前の感覚的な状態で物事を見ることだ。

ところが、今の教育その他、表向き必要とされていること、世間一般から評価されることというのは、知識的繋がり、つまり連想ゲーム的な発展を遂げた知識体系とでもいうもので、多くの人は言語的な論理ゲームの強化ばかりしているという始末。

しかし、それでは思考のネットワークは密になっても、思考外に出ることができないわけだ。

つまり、頭の中でしっちゃかめっちゃか考えているだけではいつまで経っても自分の思考の枠組みから逃れることはできないということ。

ではどうするべきかといえば、押してダメなら引いてみろということで、思考、つまり世界を言葉で捉えるという方法から抜け出して、世界を五感で捉えてやればいい。

さっき食べたものの味を、単純に「おいしい」「ヤバイ」で済ませてないか。

あの白く輝いていたお米が舌にどういう響き方をしたか。

今、君が読んでいるこの僕の文章を、単純に「難しい」という言葉で済ませてないか。

この一言一言、一文字一文字にどんな胸騒ぎがしてきたか。

感覚をつぶさに味わえば、そのうち思考をつぶさに味わうようになる。

自分を客観的に見るとはそういうことだ。

そうして初めて、人は衝動や感情に考えなしにかられることがない、精神的に自律した存在になっていくんだ。

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