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町への愛から始まるコアなファン作り

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は福岡県田川市役所で経営企画課に務めつつ、ご自身で町を盛り立てる取り組みの誘致から運営までを手掛けている原口幸さん。行政と民間の両方の立場から炭鉱都市を支える想いについて伺いました。


── 原口さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

田川市役所にて経営企画課の中で、市として新規事業に取り組んでいます。どうすれば市を活性化させることが出来るのか、今後も存続させることが出来るのかを検討し、企画に落とし込むお仕事です。


── 市として新規事業とは。

市が抱える課題を解決するために地域の実情に合わせた施策を検討したり、SDGsを普及させていくためのシンポジウムを始めたりと、これまで取り組まれていなかったものに挑戦することです。行政の立場ではなく個人の立場として取り組んでいるStartupWeekend(以下SW)が、正に今、自分の職務にも役立っているので感慨深いです。


── 経営企画課にいるからこそ、SWに携わり始めたのですか?

いえ、実は全く関係なくて(笑)この一つ前の部署はお困りごとを持った目の前の皆様を支援する取り組みに従事していたんです。もう既に行政として解決策のパッケージは用意されていて、それを現場に当て嵌めていくお仕事でした。


── どのようなきっかけがあって、アイデアをカタチにする側に、そしてそれだけで終わらず、更には支援する側に回られようと思ったのですか?

始まりはやっぱり、大好きなこの町をなんとかしたい、という想いでした。私が生まれ育った田川地域は元々、炭坑で栄えた町なんですね。けれども石炭産業の衰退によって斜陽の町になってしまいました。それを見て見ぬふりできなかったんです。


── 斜陽の町。

中々危機的なんです。市の財政も厳しい。かつて繁栄していたからこそ公共施設は充実しているけれども産業がない。だから若い働き手は出て行ってしまったんです。それで周りからは「田川にはなんもないやん」って言われるようになってしまって、私はそれが嫌だったんです。「あるんだよ!ちゃんと機会はあるんだよ!」ってどうしても言いたくって。私の負けず嫌い根性が全ての始まりですね(笑)


機会を届けるべく行動し続ける原口さん(別インタビュー時の様子)


── それでSWに飛び込び、そして田川に持ち帰るべく準備を始めたと。

そうです。ないない尽くしの町をより面白い町にするために、クリエイティブになれるきっかけを生み出せるものを持ってこようと思ったんです。町の中に燻っている皆様はたくさんいる。スキルを磨いていらっしゃる皆様もいる。そんな人たちを掘り起こして、繋がって、何か新しいことが生まれるような場が必要だと思いました。


── 実際にSWに飛び込んでみて、如何でしたか?

一歩を踏み出すことで、行動を起こすことで、やろうと周りに宣言することで、本当に一緒にやろうと思ってくれる人たちが見つかる、そしてそれがカタチになっていく、というところに感動しました。もう「これだっ!田川に持ち込むしかない!」って思いましたね(笑)これからはSWを通じて炭ではなくダイヤモンドを掘り起こしていこう!という気持ちでいっぱいでした(笑)


SWを通じてダイヤモンドの掘り起こしに挑戦中の原口さん


── これからSWはダイヤモンド発掘現場と紹介させていただきますね(笑)原口さんが田川でSW開催を重ねることで、少しずつコミュニティが育ち始めていらっしゃるかと思います。他の地域に参加して田川に持ち帰った身として、他と比較して何か感じるものはありますか?

少し地域性が見えてきました。それは引っ込み思案なところです(笑)話を聞いてみると、実はみんな、やりたいことを持っているんです。けれども、どうしても最初から行動を起こすことには躊躇してしまう。それで場の中に入らず、場の外から見学される方がとてもとても多いんですね。


── 様子見されている皆様を中に入れる施策は何か考えられていらっしゃいますか?

ひたすらに繋がりを増やすこと、少しずつでもいいから関わりを持ってもらう、これに尽きると思っています。見学に来てくださるということは、心の中に何かを持っていらっしゃるんです。本当に興味関心がなければ忙しい中、来てくださらないので。人と人との繋がりを網の目のように張り巡らせていくことで、この場の中にいることが当たり前のようにしていきたいんです。


── そんな風にしてより多くの人が集い、コミュニティが活性化することで、どんな価値が生まれると期待していらっしゃいますか?

「+」じゃなくて「×」になること、AさんとBさんの力を併せてA+Bを生み出すんじゃなくて、A×Bの結果として未知のXが誕生することを期待してるんです。


── 未知への期待。

アイデアをカタチにする場で必ず起こるあるあるなことと言えば、最初と最後が別物、ですよね(笑)一番最初は「○○を作りたい!」と思って飛び込んだ筈なのに、一番最後には「××を作ります!」と全く違うことをピッチしている。これって、仲間がいるからこそ起こっていると私は感じているんです。


── 仲間がいるからこそ別物になる。

何か新しいことをカタチにしようと思った時、必ず一人じゃ何も出来ないじゃないですか。想いを伝えて、仲間に加わってもらって。けれども、そうやって仲間が加わることで、一人だけでは見えていなかったものが見えてきますし、一人だけでは出来なかったことが出来るようになる。そうやって仲間と取り組んでいると、想像を超えたものが生まれて来るんです。たった三日間でそれが当たり前のように起こるのであれば、コミュニティを通じて中長期的にプロジェクトが動き出すと、もっともっと未来は変わっていくと思うんです。


炭坑節の仲間とも積極的に行動を重ねる原口さん


── 想像を超えた変化はコミュニティから生まれる。心躍るメッセージをありがとうございます。そんな田川コミュニティを通じて、どんな未来に辿り着かれたいですか?

私の中の勝手な思い込みかもしれないですが、田川地域ってガラが悪い、落ち目だ、なんてマイナスなイメージが多いんです。自分はコミュニティでの活動を通じてそれを少しでも払拭していきたいんです。「田川ってなんか面白いよね」「いい意味で変な人がいるよね!」「あそこって何か新しいことが起こってるよね!」なんて風に噂される町にしていきたいんです。


── 町のイメージの転換を目指されているわけですね。

もちろん、誰も彼にとっても魅力的な町というのは一番ですが、それはきっと町として全部をやり切ることは難しい。人手も予算も限られますし、コミュニティも万能ではないことは百も承知です。だからこそ、コアな田川ファンが出来るような取り組みを積極的に展開していきたいと考えています。「田川が大好き!」「ここで何か始めたい!」と言ってくださる方が一人でも増えるように(笑)


── 原口さんと同じように、全国各地で町を盛り立てようと頑張っている方々がいらっしゃるかと思います。そんな仲間にメッセージをいただけますか?

続きは下記にてお読みください。


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