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"面白さ"を伝えて起こす地域活性の連鎖

挑戦を支える全国各地の皆様に光を当てるSupporter Interview。今回のインタビュー対象は高知県にて地方創生事業を担いつつ、複数のコミュニティ運営も担われている小林 洋実さん。高知を盛り立てるべく運営を続ける心構えについて伺いました。


── 小林さんの現在の取り組みについてお聞かせください。

所属する株式会社SHIFT PLUSにて、地方創生に関する仕事を行っています。令和4年度は、高知県庁から事業を受託し、県内企業の人材不足の課題解決に向け、採用や副業を通じて人の確保をサポートしています。


── 中々に聞かないお仕事ですね。

もともと私は高知県出身で、東京や大阪でエンジニアとして働く中で故郷で働きたいなと思っていたんです。けれども高知に帰った時に、そのままエンジニアを続けるのかというとなんだか違う気がしたんです。


── なんだか違う。

StartupWeekend(以下SW)や他のコミュニティに参加していた時に、自分の解決したい課題に真剣に向き合い、事業化し、作って育てていらっしゃる方々にたくさん会いました。私も「自分が一番に真剣に取り組みたい課題に取り組む仕事をしたい」となったときに、高知に関する地域課題をたくさん思い浮かべました。本当にたくさんあるし、複数の要因が複雑に絡み合ってることもあるし、とても大きくて難しい。それを事業で解決していくプレイヤーがたくさんいたらいいし、その一員になりたい、と思いました。

働き方や生き方を考えるきっかけとなったSW高知


── 一員になりたい。

なので、故郷の高知に帰り、いちエンジニアとしてものづくりをするよりも、自分も事業をやりたいし、事業作りに挑戦されている皆様を仕組みを作って支えられないかと考えたんです。


── 外での経験を活かすことが大事。

高知は過疎化や高齢化が進んでいて、他の県よりも10年ほど進んでいる「課題先進県」だと言われています。だからこそ、今あるものを当たり前にすることなく、外の物差しや視線を取り入れていくことこそがビジネスに繋がるとも感じています。私がコミュニティリーダーズサミットin高知(以下CLS)にも取り組んでいるのは、その想いがあってこそなんです。


── SWにCLSと小林さんの取り組みは「コミュニティ」がキーワードになっているように見受けられますが、どのような価値がそこにあるとお考えでしょうか?

繰り返しになっちゃうかもしれませんが、新しい視点に出会えることと、人と人とが繋がって可能性が広がることの二点じゃないでしょうか。

新しい視点に出会え、人と人とが繋がるCLS(撮影:集合写真家 武市真拓)


── 具体的にお聞かせ願えますか?

コミュニティで様々な活動に取り組んでいると、第一線で何かプロジェクトを手掛けていらっしゃる皆様にお会いして、生でお話を聞ける機会が多いんです。ただネットや本で調べて「そんな人がいるんだ」で終わらないところも魅力ですね。


── 可能性はどんな風に広がりましたか?

実は昔、エンジニアって社内でずっとただ作り続ける職人さんみたいな人だと思ってたんです。けれどもコミュニティに参加することでいろんな広がりを得られました。海外に行って取り組みを発表する機会もいただいたし、新しい出会いの中から、こんな生き方があるんだ、こんな風にやりたいことをやるんだ、こんな風に仕事を取れるんだ、といった気付きまで。それらを通じて自分の中にあった「こうじゃないといけない」という枠組みが外れていったんです。今のお仕事さえも、コミュニティでの繋がりから始まったぐらいです。


── 小林さんの人生を大きく変えてしまったものがコミュニティだったんですね。そんなコミュニティを運営するために必要な心構えについてお伝えいただけますか?

楽しむことが一番、ですね!(笑)


── その心は?(笑)

簡単です。人は誰かが心の底から楽しそうにしているところに、それを自分も楽しみたいって思う人がやってくるからです。以前のCLSで私はワーケーションツアーを設計したんですね。もちろん最初は「みんなが仕事し易い・移動し易いものを」といったことばかりを考えていたんですが、途中から「これって本当に楽しい!」といった風に自分が楽しむ気持ちへと切り替わっちゃったんです。その様子を見ていた周りの方が「小林さんの企画は間違いない!」と面白がってくれたみたいで、県外から何度も来てくれるし、知り合いに勧めてくれるようになったんです。

小林さんが企画したワーケーションの月見飲み会


── 中の人が楽しむことで、外の人が楽しそうと思うものが出来上がる。

そうやって人が来てくれて、面白がってくれたなら、また次へと繋がっていくんです。例えば「次は自分の地元でも似たような取り組みをやりたい」とか「とっても面白い企画だったから恩返しをしたい」とか、CLSの後に動きがありました。なので、運営が楽しむことが一番です。そうすれば、ポジティブで面白い人がいっぱい集まってくるなと気づきました。


── 起業家が仲間を集めるプロセスに近いものを感じますね。

アイデアをカタチにしようとピッチをした最初の一人目こそ、そのアイデアに夢中になっていて、その面白さを周りに語れなくちゃいけないのと、本当に同じだと思います。起業家はアイデアを一番目に楽しむ人で、その楽しさを周りに伝播させる人、そんなイメージです。


── 起業家のキーワードが登場したので小林さんにお伺いしたいのですが、アイデアをカタチにするために欠かせない要素はなんだとお考えでしょうか?

「熱量」と「伝える」、この二つが大事じゃないでしょうか。


── 熱量とは?

仲間を集めるために必要な要素で、今さっきお伝えした、楽しむ心の大きさです。アイデアに対して夢中になっている人ほど、高い熱量を持っていると思います。


── 伝えるとは?

仲間が集まって来た時に、一緒に動いてもらう時に大事なことです。解決したら絶対にニーズあるな!というところを探し当て、ソリューションを作り上げて進んでいくプロセスの中では、人を巻き込んで協力して貰うことが大事。だからこそ、どんなに凄いアイデアも、どんなに素晴らしいプロジェクトも、仲間にきちんと伝えられないと、一人ぼっちで何も始まらなくなってしまう。実は私、伝えるのが苦手で、これめっちゃ苦労してるんですよ(笑)


── 周りを巻き込む力。

自分がいいなと思う企画を作ったとしても、それを実現するには必ず周りの人の協力が必要じゃないですか。だからこそ、自分の中で熱を生み出した後は、正しく情報を伝えて、それに加えて相手に「私もやりたい、関わりたい」って思ってもらうべく伝えることが重要だと私は思うんです。


── どうすれば伝わるのでしょうか?

具体的な言葉を持っていること、なんじゃないでしょうか。実は私、感覚的な人なんです。例えば「海」というキーワードを聞くと、頭の中で映像と共に五感で再現されちゃうんです。「青い空があって、波の音が聞こえて、潮風が肌に当たって」といった風に、自分がその場にいることを想像します。けれども、他の人は「海」という言葉をイメージするかもしれないし、「波音」かもしれないし「水が押し寄せる広い砂浜」かもしれない。私は自分の「感覚」で考える人で、それをそのまま人に共有することができないので、丁寧に考えを言葉に落としていくことが重要だと思っています。

キーワードから五感でイメージが再現される小林さん


── イメージではなく万人に通じる言葉で説明を続けていくこと、とっても重要ですね。話は少し変わって、小林さんはどんな未来を作られていきたいでしょうか?

自分自身がプレイヤーとして、高知の中で事業に取り組むのもやりたいですが、事業を起こせる人が飛び込んできてくれるような、みんなが課題解決に来てくれるような、そんな仕組みや仕掛けを準備していきたいんです。まだまだ具体的な形にはなっていないんですが、高知に関わっていきたい気持ちだけは強いです。


── 仕組み作り。

感覚的な表現で申し訳ないんですけど、縦に尖らせるのではなく、横に広げるイメージです。これまで高知の中に活躍できるフィールドがA・B・Cしかなかったとしても、私が開拓することでD・E・F・Gも準備されて、その分野に興味関心ある人が飛び込んでこれるようにしたいんです。


── もう少し具体的なイメージに落とし込むと?

続きは下記よりお読みください。


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