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Ph.Dが専門分野捨てて、データサイエンティストに転職した4つの理由

はじめに

こんにちわ、なかなです。

自分は博士課程を修了した、いわゆるPh.Dです。当然、博士課程に進学したときはその分野で生きていこうと決心していました。そのため、専門分野を活かせるとある製造業に就職しました。

しかし、今年になってから専門分野を捨てて転職しました。この記事では、博士課程までいったのになぜ専門分野を捨ててまで転職という選択をしたのか、ということについて述べていきたいと思います。

ちなみに転職先は、同じ製造業ですが業種も異なりデータサイエンスを扱っている部署です。専門分野とは全くかすっていません。

こんな人におすすめ

- 理系で製造業で働いてて自分の業界に迷いがある人
- 修士 or 博士過程の大学院生の人
- データサイエンスに興味がある人

この記事で伝えたいこと

- 専門分野を捨ててまで会社を辞めた理由
- 専門分野を持っている人でもこだわりは捨てるべき
- 辞めないですむなら辞めない方がいい
- ただ少しでも不安なら転職活動はいますぐしよう
- 自分の会社はなんやかんや大丈夫だと思いがちだがそんなことはない

自分のスペック

国立大学の博士課程を修了しました。専門分野はデータサイエンスに関係はないです。特徴として、革新的なアイデアよりも実験をコツコツ行うことが重要視される、インフラや保守事業に関連が強い分野です。

博士課程のあとは、専門分野を活かせる職を探して、製造業に就職しました。学会などでつながりのあった会社であったため、内部に知っている人がまあまあいる状態での入社です。

また、入社時のポイントとなったのが、その会社では自分の専門分野の知識が必要にも関わらず、その専門分野に強い人間があまりいなかった点です。そのような環境であれば会社の中で自分のポジションが失われることはないだろうと考えていました。

会社に入社してからは数年間研究開発に携わりながらも、 設計業務も担当したりしました。自分で言うのもなんですが、周りの同世代と比較すると、会社の中でポジションを獲得できており、自分の存在感がそれなりにあることは感じていました。

会社を辞めた理由

そのような状況の中で働いていて、仕事にはそれなりの満足感を感じていました。それなのになぜ会社を辞めることにしたのか。その理由について紹介していきます。

大きく分けて次の4つです。そしてこれらの事柄が会社特有のものではなく、専門分野と強く結びついていました。

1. コロナ禍でも仕事のスタイルに変革がない
2. 年功序列で努力が反映されない企業体質
3. 専門分野を活かせる将来のポストがない
4. 自分の専門分野では会社外の活動がリクルートにつながらない

まあ、簡単にいうと古い分野ってわけです。

ですので専門分野を捨てることでしか、環境を変えられないと考え退職に至ったわけです。

それでは一つ一つ細かく紹介していきます。

1. コロナ禍でも仕事のスタイルに変革がない

今年に入ってから仕事のやり方が大きく変わった人は多いはず。 一番多いのがテレワークの積極的な導入でしょう。

しかしながら自分が働いていた会社では、コロナ禍においても仕事のスタイルに全く変化がありませんでした。この変革のなさが自分の転職活動の背中を大きく押す大きなきっかけとなりました。

当然のことながら変化ができない企業は市場から淘汰されます。また個人の考えも大きく変化していく中で、変化ができない企業は個人からも見放されていきます。市場からも個人からも見放されるであろう企業に末永く所属している自分の姿は想像できなくなりました。

当然のことながら世の中の仕事・プライベートのライフスタイルが大きく変わっていることは誰しもが感じています。それなのに経営層の人が会社の運営の仕方を全く変えようとしませんでした。

製造業で工場勤務であったため全面的なテレワークの導入が難しい面はありました。ただし、部分的なテレワークの導入、これまで用いていた紙の資料のデジタル化、無駄な会議の見直し、など行わなければならなかったことはたくさんあるはず。

そのような事がほぼ行われず、この状況が収まるまで何とかみんなで頑張っていきましょう、 というようなメッセージが経営層から送付されていました。

世の中の変化を甘く見過ぎでは...?

と感じ転職活動を積極的に行うきっかけとなりました。

2. 年功序列で努力が反映されない企業体質

二つ目は成果が査定に反映されない年功序列な企業体質です。そのような環境では仕事に対してモチベーションを維持することが、時を経るにつれ難しくなっていきました。

勤務年数は浅いけど、自分は専門分野を活かして会社に貢献をしているつもりでした。 実際に上司や同僚の反応も悪くなく、それなりの評価を受けているであろうと自分では考えていました。

しかし査定で実際に蓋を開けてみれば、標準評価でした。

まあ普通で評価されること自体は事実であればしょうがないのですが、問題はそれに対して全くフィードバックがなくこれからも期待してるので頑張ってくださいの一言で済まされたことです。

博士過程で入社して良くも悪くも物議を醸す働き方をしてきた自分に何のフィードバックもなく標準評価というのには大きく首をかしげました。

これって仕事を評価することを放棄しているんじゃないか?

査定を経るごとにこのような考えがどんどん強くなっていき、仕事に対するモチベーションもどんどん落ちていきました。 年上の先輩を見ても能力で出世しているという人は少なく降格制度もないため、若手のモチベーションはだだ下がりになる環境。

このまま何年も仕事に対するモチベーションを保てる自信がなくなり会社を辞める一因となりました。

3. 専門分野を活かせる将来のポストが社内にない

三つ目は会社特有の事情となります。

自分の専門分野を生かせる将来的なポストが会社の中にない為、長く働き続けるうちに自分のやりたいことから遠ざかっていくことが三つ目の理由です。

前述したように自分の専門分野に詳しい人は社内にはあまりいない状態でした。ですので自分の出世のロールモデルとなるような人はいませんでした。仮に出世できたとしても別の部署の管理職などをやることになり、それは自分が本来やりたいこととは違ってきます。

また専門分野に詳しい人が社内にいなかったので、専門分野の深堀りも難しい環境でした。

この「専門分野に詳しい人がいない」というのは入社前にはあまりデメリットに感じておらず、 むしろ自分のポジションを獲得できるメリットにすら感じていました。しかし実際に働いてみると、自分の上位互換に近い人間がいないというのは、自分のスキルを向上させることが難しい環境である、と感じるようになりました。

会社に居続けたところで、専門分野における学外での存在感という面でも、会社内部での製品知識や生産体制に対する理解という面でも、中途半端な人材になりかねないと感じ転職活動の一因となりました。

自分はまだ二十代でこれから自分の価値をどんどん高めなければいけない年齢です。 そんな中で社内に自分の欲しい知識や考え方を持っている人がいないというのは、なかなかに痛い。

もちろん製品知識などで自分より多くのことを知っている人はたくさんいました。あくまで広げたい分野に関する知識に長けている人間がいなかったということです。

言ってしまえば専門分野がいないところに入社するという逆張りをしていました。そのデメリットがもろに裏目に出てしまった感じです。一番の誤算はその会社でそれぞれ強みを持っている人たちの分野に自分があまり興味を持てなかったところでしょうか。

これらは博士過程から専門分野を生かして入社する人には特に気をつけるべきところだと思います。

周りに埋もれすぎても駄目、かといって周りと同じ過ぎても評価されないのでダメ。 その塩梅を自分で良く考えて就職先を選ぶ事が大事になります。

4. 自分の専門分野では会社外の活動がリクルートにつながらない

最後の理由は専門分野を捨てた理由になります。

それは会社外で存在感を高めていたとしても、そこから転職にはつながらないという点です。これがなかなかに痛く、博士課程を取った時は Ph.D. を持っていた方が転職しやすいと思っていたのですがむしろ専門分野から出れなくなるから逆だった、というのが誤算でした。

自分の専門分野は実験装置ありきです。なので就職できる企業もいくつかの大企業に限られてきます。そうなってくると、自分の知り合いが直接の人事権などを持っているというわけでもなく、同じ分野の別の会社に転職というのはなかなか難しいのが現状でした。

なので同じ分野や知識を活かして転職するとしたら、大学の先生になるといった選択肢しかありませんでした。

まあ薄々と感じてたことではあるんですが、実際に転職活動してみるとこれまでの知識なんて全く役に立たないなあ、と結構絶望しましたね。

そのため次の仕事では自分の活動が別の会社や環境でも活かせるようなものにしたいと思うようになりました。

修士や博士の学生の方がもしこれを読んでいたら研究室選びや研究テーマはどれだけ汎用性があるかというのは意識した方が良いかと思います。

特にこれからは安定といったものを会社に求めるのは間違っており、個人でいかに生きていくかということが問われる時代。 個人のスキルセット上げて行くかは環境によって大きく左右されます。

次職への期待

とまぁこんな感じで色々思うところがあって、会社を辞めることにしました。

幸いこれまでの業務で Python でデータ整理や分析などを行っていました。またトラブル発生状況の分析データ分析といった業務をやっており、 データサイエンスに興味が沸きもっと本格的にやってみたいという思いで次の仕事にすることにしました。

転職先に期待していたところを挙げると下記のようになります。

- 成果がある程度給料&仕事に反映される
- 柔軟なライフスタイルに対応した働き方
- スキルセットが向上できる環境

まだ働き始めてから日が浅いので、少し時間が経ってから転職後の雑感もまとめていきたいと思います 。

終わりに

転職活動をしてみてとにかく思ったことは、 少しでも会社に不満があるのが転職活動がすぐにしたほうがいいということです。転職実際にしなくてもいいわけですから。

無料でめっちゃ役に立つ暇つぶしくらいの感覚で良いんじゃないでしょうか。

実際に自分も不満がありつつも、今より良い待遇のところなんてあまり無いだろうなあ、と考えており転職活動は積極的に行っておりませんでした。

また、転職活動すらしないと職務経歴書をまとめる機会すらないのではないでしょうか。 これまで自分がやってきたことを棚卸しする意味でも、一度転職活動をして職務経歴書をまとめておくことを強くお勧めします。

そして一度まとめてみると、職務経歴書に書けることがあまりないことに気づくかもしれません。 そのような状況であれば、自分の環境をうまくコントロールして、職務経歴書に書ける仕事が回ってくるように立ち回りしかありません。

そして転職先を選ぶ際は、自分の専門分野にはあまり強くこだわらずmどのような業務環境であるのか、その分野の成長性はどうなっているかなどを意識した方が良いと思います。

いくらスキルが高くなろうとも、 その専門分野に成長性がなければ待遇は良くなってはいきません。 その辺りは、ある程度ドライに戦略的な選択をすることも必要です。

若い期間と言うのは有限でその価値は限りなく高い。 会社の年を取った人たちが、もうちょっともうちょっとなどと我々に与えるチャンスを数年引き伸ばしている間に、自分の価値は瞬く間に下がっていきます。自分の時間という価値を意識した上で、転職活動や自分の今の環境がどうなのか、などをもう一度考えてみるきっかけとなれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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