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負けたあとどうするか

僕は「書きたい人間」であると同時に「書き方を知りたい人間」でもある。方法論がとにかく好きで「アイデア発想術」や「魅力的なキャラクターの描き方」みたいな本が大好きだ。シナリオや小説創作にまつわる本ばかりを出しているフィルムアート社という出版社があるのだが、そちらから出ている書籍は大体押さえている。

英語も同じだ。そんな時間あるなら勉強しろよと自分でも思うのだが「英語学習法」みたいな本とかYouTubeが大好きだ。最近は子供ができたので、裾野を広げ「学習法」そのものに興味がある。最近読んで面白かったのは星海社新書が出している「東大合格はいくらで買えるか?」という本だ。東大に入学する人たちの大半は幼少期にピアノを習っており、その大半は小学校6年生で辞める!という傾向とかが書いてあって面白かったなあ。フィルムアート社もそうだが、星海社新書もテーマの切り口がいつも尖っていて好きだ。

そんな僕は最近ドンピシャの本に出合いましたよ。ネットでたまたま見つけた栗山真太朗さんの「新潮新人賞の最終候補になると何が起こるか日記」だ。もうこれは僕にとって「これこれ!こういうのが読みたかったねん!」と言わんばかりのテーマで、ネットで即買い。内容も素晴らしかった。この本は「新潮の最終候補に残るような小説の書き方」とか、そういう類ではない。そんな本は結構ある。方法論ではなく、最終候補に残りました!という連絡を受けてから結果発表までの約1ヶ月半をどう過ごしたか、というむちゃくちゃニッチな層に向けた内容なのだ。


雨で濡らしてしまい表紙が少し汚れてしまった

言わば、人生が変わるかもしれない男の話が克明に綴られている。特に僕が一番好きだったのは、奥さんと秋刀魚のエピソードだ。あそこは涙なしには読めない。他に編集者とのやり取りや、音楽仲間に報告するとことか、イチ物書きの青春記という感じがしてとても香ばしい。最後のおまけみたいな感じで書かれていた執筆環境の話とか、書き方の話も良かった。僕は作業部屋フェチであるので、ああして机の写真とかを載せていただけると大変ありがたい。大阪ベースにはなるが、関西で活躍するクリエイターの仕事部屋にお邪魔し、机周りを取材するという連載をいつかnoteでやりたいと考えている。それこそ栗山さんみたいに製本して、文学フリマで売るのも楽しそうだな。

何かで一番になった人の話は自然と回ってくる。でも大半の人間が本当に考えないといけないのは「無理だった。じゃあどうする?」ではないだろうか。人生は、思っていたよりも思ったようにいかない。こんなはずじゃなかった!の連続である。明日詳しく書くが、僕も本当は今日締め切りだったNHKのシナリオコンクールに出すつもりだったが、そもそも書けなかった。土俵にも上がれない、いや、マゲさえ結えない自分が悔しかったが、栗山さんの本を読んでもう一度頑張ろうと思った。ありがとうございます。
ちなみに「新潮新人賞の最終候補になると何が起こるのか日記」はBOOTHから購入可能です。


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