TKR

26歳一般男性。題材は、旅についての思い出話が多くなるかなーと思います。

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26歳一般男性。題材は、旅についての思い出話が多くなるかなーと思います。

最近の記事

9. 「アタック、登頂」

時刻は真夜中のミッドナイト。Dr.Dreが監修している低音ボイスを持つ、我らが隊長「リチャード」の強烈なグッドではないモーニングの声にて目を覚ます。そう。いよいよ登頂へアタックする時がきたのである。これまで登頂アタックを経験したのは2回。1回目はメキシコにて。2回目はエクアドルにてだ。さすがに3回目だから慣れてるでしょうと思ってしまうかもしれないが、アタック前の緊張は、いつ何時であっても緩和されることはないと思う。なぜかといえば、アタック前適当に過ごし、仮に一つでも道具を忘れ

    • 8. 「3日目,4日目」

      3日目に入ると、遂に我々が恐れていた高度順応が始まった。高度順応とは、文字通り高度に順応することである。もしこれを行わないで高山を登った場合、高山病になるリスクが極めて高くなる。また、高山病になればチームの迷惑になるだけではなく、最悪の場合自らの命を捨てることにもなり得るのである。だからこそ、少々体に鞭を打ってでもしなければならない、大事な行為であるのだ。もし高度順応についてどれだけ苦しいのかを知りたいという人がいれば、Youtubeで「高度順応」と調べていただけたら幸いであ

      • 7. 1日目、2日目

        「ハイ、ミナサントウチャクシましたよ!ココがキョウのシュクハクバショです」 かれこれ登山道入り口を出てから5時間は経過しただろうか。僕らは標高2800m地点にある、一日目の宿泊場所に到着した。到着するともうすでにたくさんの色鮮やかなテントが敷かれており、その隣では、多くの登山者が様々なスタイルで各自休憩をとっていた。銀色に輝いたステンレスマグに注がれた熱々の紅茶を飲む者もいれば、微量ながら焚き火をする者、そしてわずかに見えるキリマンジャロを背景に、愛を語る若者など。 この

        • 6. いざ、キリマンジャロへ

          ガゼルを食べ完全にお腹がノックアウトされた僕は、食後リチャードにホテルまで運ばれ、一日中寝込んでしまう羽目になってしまった。次の日はサファリへ出発というのに、なんてついてないんだろうと落胆する。すると濁声のリチャードが、生姜が致死量レベルに入った熱々の紅茶を持ってきてくれ僕に飲ませてくれた。最初は生姜を生で食べてるくらいかと思う味に驚愕したが、段々に慣れてくると飲みやすく、次第に身体が温かくなり気付けば死んだ魚なのように眠っていた。そのおかげで、翌日のサファリツアーには無事に

        9. 「アタック、登頂」

          5. リチャードという漢

          リチャードという漢「Takuroさん、クラブ行きましょうクラブ。アフリカのー女の子、かわいいね。お尻もおっぱいも大きいね〜ふ〜。お酒お酒、たくさん飲んでお持ち帰りしましょ。アハハハハハハハハ、、、」 空港を出てからほとんど舗装されていない道に揺られること数十分。僕は延々続くリチャードの話を聞いては、yes yes とだけ受け答える作業を繰り返していた。 しかしこの男、よく話す。いや。よくを通り越して、めちゃくちゃ話す。アフリカ人の特性なのだろうか?大学時代の頃ナイジェリア人

          5. リチャードという漢

          4. キリマンジャロへ行こう

          内定ゲットあの約束から早1年が経とうとしていた。子供の頃父親から、年寄になればなるほど時間の経過が早くなるよと聞いたことがあった。その当時はちょっと何言ってるのかよく分からなかったが、今はそれを頭でより身体で理解することができる。 僕はあの大崩山登山後の約束をモチベーションに、自分なりにではあるが死ぬ気で就職活動に取り組んだ。お世辞にも上手とは言い難いエントリーシートを友人及び先輩、また大学のキャリアセンター職員の方に添削してもらってはきついダメ出しをくらい、メンタルブレイク

          4. キリマンジャロへ行こう

          3. 約束

          キリマンジャロに登ったという話を聞いてから、早2年が経過した。この2年の間、僕と相棒大橋は常にいつキリマンジャロに登るか?この話を酒の肴にしては語り合っては結局お金がないからという理由で水に流すというような、お金も時間のどちらも無駄にするという全く尊敬されない二刀流生活を送っていた。 しかし、ただダラダラと過ごしていたわけではない。この期間中、僕は語学留学兼インターンシップ活動を行いにメキシコへ。相棒の大橋はポルトガルへと行きワインの勉強と、お互い別々の道を歩み何かを模索し

          3. 約束

          2. キリマンジャロ先輩

          遡ること約今から5年前。今では人目を憚らず、自然があればどこでも青姦をするヤリサーと化した我がサークルにも、全盛の時代があった。 全盛の時代とは? とにかくサークル全体のメンバーが、山登りへ行くことに対し高いモチベーションがあり、たとえ夜中に電話をかけようが、山に行くと言えば3秒で山登りへ行く支度をできますというような輩が何人もいたという時代だ。ヤリサーという言葉が微塵も見当たらない。 そんな時代を支えていたのは3人の先輩方。1人は完全な自由人タイプだが、好きなことには熱

          2. キリマンジャロ先輩

          1. キリマンジャロと僕

          「How do you feel now my brother?」 濁声の我らが隊長、リチャードの呼びかけに対し、僕は人目を憚らず 「ファンタスティック!!!」 伝説のAV監督、村西とおる顔負けの大声で叫ぶと、自分が改めて夢にまでみたアフリカ大陸最高峰の山、「キリマンジャロ」登頂に成功したのだと感じたのであった。そして気づけば僕は、相棒の大橋と共に熱い抱擁を交わし合っていた、、、 今回のお話は、現在26歳独身男性である私TKRが、大学生時代にアフリカへ行き、キリマンジャロを

          1. キリマンジャロと僕

          Sashimi 醤油

          「Sashimi 醤油?」 時刻は深夜0:00 終電に乗り遅れた僕は、家に帰れず誰もいない駅ホームで一人佇んでいた。 僕には友達がいない。 だから、温もりがある宿泊施設に泊まろうなんて考えは、毛頭でるはずもない。 おまけに金もない だから、タクシーに乗って帰ろうなんて考えなんてあり得るわけがない。 タクシーに使う金があるならば、すぐに五反田へ行き、狂ったように金を使ってしまうただのクズ野郎だ。 仕方がない。少し外は肌寒いが、ベンチに新聞紙でも敷いて寝るとするか

          Sashimi 醤油

          5/26日

          ふとした瞬間に目が覚めた。 寒い。 羽毛布団にくるまっていても寒いと感じるこの気温、いったい何度なんだ。 壁にかけられた温度計を見ると、0度の線を優に下回っている。 その気温なんと−15度。 −15度といったら冬の旭川に匹敵するほどの気温だ。 それがここ九州で観測されるなんて、どういうことだ しかも、今日は5/26日のはずだ。 5月でこんな気温あり得るわけがない。 昨日は酒を飲みすぎてしまったようだ。 友人が訪ねてきたから、もらったちょっといいワインなんて

          5/26日

          最終回 「旅の終り」

          3/12日、僕らはホーチミン空港で出国手続きをしていた。コロナが日に日に悪化してきた関係か、僕らが入国してきたよりも出入国者に対し一層厳しい措置が敷かれていた。そのため、面倒なことに巻き込まれないかと不安に思っていたが、運良く何事もなく手続きを済ませることに成功し、僕らはソファーに座り、ただひたすらフライト時間が来るのをぼーっとしながら待っていた。 結局オオハシのタイヤが完全にパンクした後、まだホーチミンまでバイクで行けるというオオハシの意見と、ここでバイクは諦めて電車で行

          最終回 「旅の終り」

          Vol.12 「撃沈」

          僕らは明日から始まる長い戦いに備え、久しぶりに夜は出かけず、ホテルでゆっくり過ごしていた。帰国まであと残り4日としたところで、ホーチミンまでの距離約1000km。最低でも明日から1日約300km以上はバイクで走らないといけない。これまで1日で走った最高の距離が250kmで、走った後の疲労度を考えると、300kmを毎日走るというのは恐ろしすぎる選択だ。 ただ、これまで防げるようなミスや、防げないような自然の猛威に晒されてきたことが原因で、かなりの遅れをとっていた僕らに駄々をこ

          Vol.12 「撃沈」

          Vol. 12「愛しのホイアン」

          「だから言ったじゃないっすか。本当アホっすよね2人とも。」そう言うと、あべじゅんは帰りのタクシーを拾いに一人前を歩き始めた。こいつ、オオハシと俺が奥に行ったのを見計らって一人こっそりキャンセルしやがってよ。ずりーやつだよ本当。 ただ今回に関しては、あべじゅんの判断が間違いなく正しかったからなんも言えねぇわな。25歳にもなって善悪の判断がつかないなんて、全く情けねー話だぜ。あまりの不甲斐なさに、僕はただただマルボーロを吸っては、大きくため息をつくことしかできなかった。 結論

          Vol. 12「愛しのホイアン」

          Vol. 11「花の都ダナン」

          「めっちゃ快晴じゃん!!ベトナムどうなってんだ!?」僕らはすっかりベトナムの北部を抜け、中部エリアまで来ていた。どうやら3月天気が崩れるのはベトナム北部のみらしく、中部に入った瞬間、この数日間一切感じることのなかった「日差し」を僕らは感じ、すっかりウキウキしていた。 このウキウキな気分を更に高まらせてくれたのが、更に道を進んで行った時目に入ってきた「海」の存在だ。僕ら3人は登山サークル出身者ということもあり、山に対する思いは人一倍あると思っていた。しかし今回のガス欠の一件

          Vol. 11「花の都ダナン」

          Vol.10 「生還」

          ★ 前回までのおさらい★ ・ガス欠になったオオハシを置いて、あべじゅんと2人で謎の村へGO ・謎の村へ着く前に、更に謎の町を発見。20匹の犬に襲われる ・ようやく謎の町に着き、ガソリンを入手。嬉しいぜ!! ・だが人生そんなに甘くないのが現実。ガソリン代を更に要求され断ると、再び見た目が完全にいききった犬が登場。 ・脅された結果、しぶしぶ要求に応じ開放される。 僕らは開放され後、オオハシが待つ場所へ半べそをかきながら急いで向かった。

          Vol.10 「生還」