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『銀だこ』を超える『金だこ』ー日本でただ一つのたこ焼きマーケティング

今回は「マーケティング思考」について、最近行った「たこ焼き」の店をもとにマーケティング初心者の方へ向けて書いてみます。

それでは、さっそく始めます。

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【虎ノ門横丁】

2020年6月に虎ノ門ヒルズビジネスタワーの中にオープンしたレストラン街「虎ノ門横丁」。ミシュランの星を取るような店を含め、東京中の名だたる名店を集めた超一級の横丁です。

最新の技術やアートを融合させた近代的なビルの中に、「横丁」という昔ながらの日本を感じさせる趣が融合しているところがいいですね。東京オリンピックを機に世界に向けて日本の良さを発信しています。

実際に虎ノ門ヒルズの近くには東京タワーもあるので、映画ALWAYS三丁目の夕陽が現代版に洗練されたようなイメージです。

またビルの地下は虎ノ門ヒルズ駅に直結しているほか、1階には羽田空港直結のバスターミナルがあります。外国人ビジネスパーソンや観光客が集まりやすくしてます。来年以降に期待ですね。

いまは外国人は少ないですがそれでも平日の夜は相当混んでいるので、行くなら休日がお勧めです。


【『銀だこ』超える『金だこ』】

この虎ノ門横丁におもしろい店がたくさんありますが、日本でただ一つ、特別な「たこ焼き」が食べられる店があるんです。

それが「銀だこ」の新業態「金だこ」です。

「築地金だこ」は、「たこ焼き」や「築地銀だこ」という既成概念を超えた"新しいチャレンジ、新たな可能性や未来を創造する”ことを目的として生まれました。

「たこ焼き」とはこういうものだ。「銀だこ」とはこういうものだ。というこれまでの常識、決まりきった枠を壊して、さらにその外側へと広げていく「たこ焼きイノベーション」を感じますね。


以前わたしが「たこ焼きマーケティング」の記事を書きましたが、『金だこ』のたこ焼きはそこで書いた発想をさらに超える面白いものばかりです。


【たこ焼きの世界版】

この『金だこ』のコンセプトは以下の通りです。

“もし世界中でたこ焼きが愛されていたら、どんなたこ焼きになっていたか”

たこ焼きは日本食の一つですが、それが世界に広がったところを想像して考えられたメニューばかりです。実際にメニューを見てみるとその独自性がわかりますね。

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◆フランス風 トリュフのたこ焼き

トリュフの香りがふんわりと広がって贅沢な味わい。オランデーズソースも濃厚でワインにもぴったり。他のたこ焼きと同じ価格にはしているものの、おそらく原価はいちばん高い。


◆イタリア風 トマト&モッツァレラのたこ焼き

トマトの酸味がさっぱりしてすごく合う!モッツァレラチーズも載っているのでまるでピザ。中にたこが入っているので「シーフードピザ」のようなたこ焼きです。


◆タイ風 グリーンカレーたこ焼き

たこ焼き屋ではあるけれど、カレーの味に妥協がない。このカレーだけでも十分売れそう。「たこ焼き」とはこういうものだ、という狭い枠組みを打ち破って可能性を広げていくおもしろさがありますね。


など、どれも意外だけれどかなりおいしい!

ワインなどのアルコールメニューもあるので、ワインを片手にオシャレなたこ焼きを楽しむことができますね。

ただ立地的に考えると家賃は相当高いので、利益を出すための店というよりも話題を作る「宣伝用の店」という感じです。


【「既存の枠組み」を超えて組み合わせる】

たこ焼きに限らず、パン屋とはこういうものだ、家電量販店とはこういうものだ、など、どこかの誰かが決めた既存の枠組みの中『だけ』でものを考えることもできるでしょう。

虎ノ門横丁にある「バードランド」などは、「焼き鳥」という専門性で初めてミシュランの星を獲得した名店です。

このように特定の分野で誰にも真似できないほど極めて突き抜ければ、それで評価されることももちろんあります。

でも一方で「金だこ」が世界の料理と日本のたこ焼きを融合させたように、既存の枠組みを超えて異分野を融合するとさらに面白いものができる可能性があるのです。

ジムとエステを融合した「クオリタス」などは、筋トレできれいな体を作りたい、お肌もしっかりケアしたい、でも、ジムとエステに両方通うのはめんどう、という女性の潜在的ニーズをうまく突いて人気上昇中ですね。


家電量販店のヤマダ電機が、自社の顧客との重なりを見抜いて住宅事業に広げたのもいい例ですね。

住宅販売で自社の家電はもちろんのこと、ソーラーシステム、床暖房、キッチンまでトータルに自社製品で組むことができれば顧客単価は冷蔵庫1台売るなどの場合と比べてはるかに大きくなりますね。

「家電×住宅」で利益は格段に上がるんです。


【顧客の家族を囲い込む】

また私が以前ある企業に提案した例があります。その企業は学習塾や英会話教室を運営していたので、「せっかく両方やっているなら同じ教室でできますね」と提案したところ、実行されることとなりました。

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小中学生が学習塾に勉強に来て、ついでにオンラインで英会話をやってもいい。あるいは、そのご家族が英会話を学びに来れば「家族割」で優遇したっていいんです。

あるいは、塾で習字やそろばんだって教えることもできるはずです。わざわざ別の教室へ出かけなくとも一ヶ所で全てそろい複数受講の「セット割」までできるなら、あちこち行く「手間」も「お金」も節約できて生徒にとっても良いですね。

もちろん企業側から見たら顧客単価が上がるだけでなく、顧客を他の企業に奪われないように囲い込むこともできるのです。

既存の業界の枠組みを超えて顧客に合わせて業界を組み合わせれば、さらに面白いビジネスをたくさん作ることができます。

マーケティング思考はまだまだいろんな場面で使えますね。

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