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企業におけるキャリア支援に関する一考察



近年、企業においてキャリア自律支援の必要性が高まっている理由とその法則としてのキャリアカウンセリングが果たせる支援の内容とはどのようなものか?
企業におけるキャリア自律支援の高まりの理由は、経営環境の変化・雇用政策のパラダイム転換、職場の人間関係の変貌、新しい価値・付加価値を生み出す必要性の3つの要因から成り立つ。経営環境の変化とは、経済のグローバル化と経済効率の追求である。バブル経済崩壊後以降長引く不況に陥り、2008年のリーマンショックによる円高なども重なり、年功主義から成果主義への移行・終身雇用制度の崩壊・雇用調整・人員削減による過重労働が目立った。つまり、経営環境の変化や経済の変化により雇用政策にもパラダイム転換が生じた。次に、職場の人間関係の変貌とは、成果主義や不況による人員削減からの過重労働により個人主義が目立つようになった。個人主義とは、視野狭窄や自部署さえよければという雰囲気が蔓延することである。また、コミュニケーション手段の変化による人間関係の希薄化や雇用形態の多様化による職場の一体感の低下なども挙げられる。最後に、新しい価値・付加価値を生み出す必要性とはIT化の進展である。IT産業の拡大によりビジネス市場の急激な変化に対するIT技術のスピーディな変化への対応、適応が考えられる。
以上のことから、企業においてキャリア自律支援の必要性が高まっている理由は、経営環境の変化・雇用政策のパラダイム転換、職場の人間関係の変貌、新しい価値・付加価値を生み出す必要性の3つの要因に深く関わりがあるといえる。
これらのことを踏まえ、キャリアカウンセリングが果たせる支援の内容を述べる。キャリアカウンセリングが果たせる支援は先ほど述べたキャリア自律支援のようなキャリア支援と適応支援に分けることができる。
キャリア支援については、個別カウンセリングと教育研修がある。個別カウンセリングは、キャリア・プランニング、キャリア選択、WLB(ワークライフバランス)、雇用形態の選択、適性、能力開発、離転職、部下育成、職場の人間関係、パワーハラスメント、非正規雇用の不安等の問題について援助する。教育研修は、キャリアデザインに関する教育、より良い人間関係づくりのための教育(exアサーショントレーニング)等に関与する。
適応支援について、事業内資源のカウンセリングと事業外資源のカウンセリングに分けて説明する。事業内資源のカウンセリングは、メンタルヘルス予防の支援、復職支援のためのカウンセリング、メンタルヘルス教育、必要に応じて職場環境調整への助言、職場のストレス要因の組織へのフィードバック、管理者へのコンサルテーションが期待されている。一方、事業外資源のカウンセリングについては、相談者のメンタルヘルスの保持・増進のための個別カウンセリング、メンタルヘルス教育が考えられる。特徴として、直接的な職場への働きかけの介入は行わないが、相談者に対して、環境に適応・対処するスキルを身につけるための助言、環境を変化・改善させるための方策の助言等を通じて援助する。
これらのことから、キャリアカウンセリングが果たせる支援の内容は具体的なもので言うと様々考えられるが、本質的には、働く人が自分らしいキャリア選択をでき、職場で自分らしさを発揮し、活き活きと健康に働けるように職業生活・職業人生をサポートすることだといえる。


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