taku

積読がおよそ150を超えました。せめて本を購入するスピードに追い付きたい。

taku

積読がおよそ150を超えました。せめて本を購入するスピードに追い付きたい。

最近の記事

効率

効率化とは、せっかちになることだ。せっかちな人間は嫌いだ。熱り立って物事を性急に進めてなんになる。人間の仕組みと離れていくことに、機械に近づくことに、笑顔が得意になることに。人生のスピードが速くなることはそれだけ死に近づくことだ。若くして死ぬ生き方もあるだろう。それとは違う話をしている。 スピードを落とすために、でも止まらないように、無駄かもしれないことに時間を使う。情報の海の中で泳ぎ続けられるのはマグロだけだ。スマホを置いて夜風にあたり睡眠時間を不規則にし体内時計を麻痺させ

    • アイドル

      yoasobiの『アイドル』英語版のPVを見た。見たときに感じたのは新鮮さと違和感だ。日本語版のPVとはまるで違う画面と音楽に聞こえた。音楽はそもそも歌詞が違うのだが(当たり前だ)、そうではなくてバックグラウンドで流れている曲の部分が違うのだ。画面も違う。日本語版のPVとは映像の順番が違った。日本語版は何回か視聴していたが、その編集の違いが効果的に活きていた。 が、その後、日本語版を見返すと全く同じ映像と曲(歌詞以外)が流れた。 そんなことはなかったのだ。交互に見ていくと初見

      • 『機動戦士ガンダムUC1 ユニコーンの日(上)』を読んだ

        細かい設定、描写。 あらすじ 感想 最近、ガンダムにハマっている。ハサウェイきっかけに再燃し、ファースト、逆シャア、seed、UC、∀、……と見てきたわけだが、特に宇宙世紀サーガがしっくり来ている。理由は明確ではないが、その歴史とも言える機密さやリアリティに胸を打たれているからかもしれない。(水星の魔女はもう完全にガンダムとは別物として見ている) そんななかでガンダムユニコーンだ。最初は盛り上がりに欠けるような印象だったが、これが面白いのなんの。何が好きってバナージ君よ

        • 『楽園追放 mission. 0』が面白かった

          アニメで見たい。 あらすじ 感想 映画が傑作だったので関連作品を読みました。映画ほどではないけれども面白かったです。「上官が実はラスボス展開」はありがちだけど、やっぱ熱くなるよねという感じ。中盤の海に溶けていく感じはマルドゥック・スクランブルを思い出しました。 ただ、心に残るような描写は少なかったのかなと。あと、女体の表現がやけにしつこいのが少しノイズ。まあ、ニトロプラスか。 ラストバトルは意外や意外、ジョジョのようなテンポの良いどんでん返し。荒木飛呂彦の血統を感じて、

          雨が上がった。

          窓を見ると、雨は落ち着いていた。何か嬉しくなり、電子タバコを片手に窓を開ける。一気に風が舞い込む。台風のあと特有の生暖かい風が心地よい。典型的な感覚を持っている。嬉しい気持ちそのままに、ベランダに出ようとサンダルに足をつける。やってしまった、当たり前だ。足の裏に泥がこびりつく。それでも困った感じは表情に出さない。負けた気になるからだ。サンダルを脱ぎ、膝立ちの姿勢でリビングに戻る。風呂場までは約7m。膝歩きで3m進む。やがて膝が痛くなり、四つん這いの姿勢に。片手には電子タバコ。

          雨が上がった。

          『十角館の殺人』が面白かったよ。

          衝撃の一行。 あらすじ 感想 「ミステリ おすすめ」で検索してどこを見ても目にするこの一冊。実は読んだことがなかった。読後感はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなった』に近い。まあ多分にオマージュを盛り込んでいることもあるのだが。 「一文で世界が変わる」という触れ込みで宣伝されがちな一冊。恐らくこの一文だろうというのは分かった。ええ騙されましたよ。騙されたというか納得したというか。叙述トリックというやつだ。『○○館の殺人』という作品が異様に多いのは、これに魅せら

          『十角館の殺人』が面白かったよ。

          『恋と禁忌の述語論理』が面白い

          美人アラサーってだけで心躍るよね。 あらすじ 感想 『探偵が早すぎる』というドラマが面白かったのを思い出してその原作者・井上真偽(マギと読むそうです)のデビュー作を購入。 出たな、メフィスト賞。俺の周りをくるくるしやがって。最高じゃねえか。 「凛と、風鈴が鳴った」 この書き出しの感じどこかで……。京極夏彦の『姑獲鳥の夏』か?そんなような気がする。そうすると、結末への流れもわかる(勘違いならごめん) 3つの短編とエピローグでまとめられた今作は、俗にいう理系ミステリと

          『恋と禁忌の述語論理』が面白い

          「短篇七芒星」が面白かったという話

          ちょっと面白すぎてむっちゃ興奮した。 「この作家好きかもしれない!」という高揚感が嬉しい。 内容紹介? 感想 サイケデリックな表紙に惹かれ手に取る。名前だけ知ってる作家だな。短篇なら読めるかな。奏雨を読む。あ、いいな。狙撃を読む。うんうん、これはちょっと凄いぞ。落下を読む。あ、好きだ。雷撃を……。(以下略 どのくらい面白かったかというと、普段はしないけど職場に持っていって昼休みに読むくらいに面白かったです。というか物足りない。長編読ませて。 文体が癖になるのかもな。こ

          「短篇七芒星」が面白かったという話

          「詩羽のいる街」が面白かった。

          シイハと読みます。 あらすじ 感想 山本弘さんの作品は、以前に「プロジェクトぴあの」を読んだことがあります。それがすこぶる面白かったので同じ作者の本を手に取りました。 そして、読んでよかった。この作品も面白かったです。山本さんの作品は読み終わった後に前向きな気持ちになれるので好きです。 物語の中心となる詩羽は、親切をすることが仕事でお金を持たない女性。それが第三者の目線から語られていて、最初は「そんなことある?」と困惑しましたが、段々と、それこそ詩羽の考えと同じように論

          「詩羽のいる街」が面白かった。

          「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んだ

          オードリー若林のエッセイ。かなりオススメです。 あらすじ感想芸人さんって文章うまいんなぁと素直に思いました。文章でも人を笑かすことができるのは本物だなと。 笑いの基本は裏切りだとよく言われますが、若林さんの性格もどこか斜に構えている節があり、とても愛くるしいのです。どこまでも素直なんだろうなと思います。芸能人だけど、なぜか身近に感じました。不思議。 旅についての本は深夜特急以来。なぜ知らないことはこんなにも心を躍らせるのでしょう。 世の中には既知を楽しむ人と未知を楽しむ人

          「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んだ

          「夢・出逢い・魔性」を読んで

          森博嗣の小説を久しぶりに読んだ。文体が軽快で読みやすいし、キャラクタ同士の会話が面白かった気がする(過去形なのは、面白いという感情は読んでいる瞬間にしか存在しないから) あらすじ感想森博嗣の作品のタイトルは一言でその作品を言い表していると感心することが多いけれど、今回は「夢・出逢い・魔性」「夢で会いましょう」「You May Die in My Show」のトリプルミーニング。おい、天才か? ちなみにサブタイトルもなかなかに凝っている。1度ページをめくって確かめてほしい。

          「夢・出逢い・魔性」を読んで

          トップガンが最高だったという話

          トップガン、トップガンマーヴェリックが最高だった。 トップガン自体見たことがなかったのだが、劇場予告で惹きつけられ、 前作そして今作を一日で一気に見てしまった。 結果は最高。今年1まであるのでまだの人は是非。 トム・クルーズがまずかっこいいし、アメリカンジョークおもろいし、 音楽もバチバチに熱くて本当いい映画。 感情が昂りすぎてよくわからない感想になっている時点で察してほしい。 テンションが高いのです。 新作のマーヴェリックは少なくとも5回は泣いた。 冒頭のグースの写真

          トップガンが最高だったという話

          映画の話

          シン・ウルトラマンおもしろかった。 いい意味で期待を裏切られました。シンゴジラのようなリアル志向のポリティカルフィクションのイメージで劇場に行くと肩透かしを喰らうかもしれないです。あれは「もしイマの日本に巨大不明生物が現れたらどう対応するのか」というある種シミュレーションに近いつくりでした。最高ですよね。押井守っぽい。 打って変わってシンウルトラマンはエンタメに振った作品でした。人類は怪獣に慣れきっていて、ノリも軽いです。ユーモアに溢れていて、なおかつ気持ち悪いぐらい原点に

          映画の話

          「映像研には手を出すな!」に手を出した。

          ※ありがちなタイトル 「映像研には手を出すな!」というアニメを見た。 たまたまNetflixで気になったので1話を鑑賞。圧倒されてしまい、一気に全話見てしまった。こんな経験は久しぶり。有意義な休暇になった。 何がおもしろいってのは、こんな作品見たことない!という未知への感動だ。 浅草氏の脳内に広がる妄想が、頭の境界を超えて現実に噴き出してくるのだ。 その情熱が直に伝わってくる。「最強の世界」は浅草氏の脳内にあってそれが現実を塗り替えていく。行動が世界をゆっくりと確実に変えてい

          「映像研には手を出すな!」に手を出した。

          2021.6.2

          読むことに疲れた時は書き出すといいらしいので思ったことを放流しよう。 仕事を始めてから読みたい本ばかりが増えていき、買うお金はあるのでどんどん買ってしまう。家には本が溢れ返り、文字通り積み上がっていく。 「まだ読まないの?」と部屋中の本が問いかけてくる。贅沢な悩みだ。祖父も本が好きで現役で働いている時も忙しい合間を縫って本を読み切って、「もう読み終わっちゃった」とよく独りごちたらしい。 「読みたい本があるときは心に余裕があるときだ」 これは祖父がよく言う科白だ。 こう

          2021.6.2

          イタリアでの一幕

           数年前のイタリア旅行の時に起きた印象的な出来事をふと思い出したので書いてみる。  あれはピサの斜塔の観光を終え、バスに戻る際のことだ。僕含め、ツアーの参加者は住宅街の割と大きな道の歩道を歩いていた。すると、反対側の歩道に人だかりが出来ていて、大きな声も聞こえてきた。  よく聞くと、それは怒号だった。中国人観光客8人くらいが、現地の子を取り囲んでいる。現地の子は2人組の男子で、1人は自転車にまたがっている。見た感じでは、小学生高学年から中学生。恐らくは兄弟か友達だろう。

          イタリアでの一幕