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「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んだ

オードリー若林のエッセイ。かなりオススメです。

あらすじ

飛行機の空席は残り1席――芸人として多忙を極める著者は、5日間の夏休み、何かに背中を押されるように一人キューバへと旅立った。クラシックカーの排ガス、革命、ヘミングウェイ、青いカリブ海……「日本と逆のシステム」の国の風景と、そこに生きる人々との交流に心ほぐされた頃、隠された旅の目的が明らかに――落涙必至のベストセラー紀行文。特別書下ろし3編「モンゴル」「アイスランド」「コロナ後の東京」収録。解説・Creepy Nuts DJ松永

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167915827

感想

芸人さんって文章うまいんなぁと素直に思いました。文章でも人を笑かすことができるのは本物だなと。
笑いの基本は裏切りだとよく言われますが、若林さんの性格もどこか斜に構えている節があり、とても愛くるしいのです。どこまでも素直なんだろうなと思います。芸能人だけど、なぜか身近に感じました。不思議。

旅についての本は深夜特急以来。なぜ知らないことはこんなにも心を躍らせるのでしょう。
世の中には既知を楽しむ人と未知を楽しむ人がいるような気がしますが、僕は後者。小説を読む目的も(あまり目的をもって読みたくはないが)知らないことに触れたいという知識欲を満たすためな気がしています。

内容はキューバの一人旅。冒頭、若林さんのキューバに行く目的は「アメリカと国交が回復した今のキューバを見てみたい」ということが語られていますが、これがなかなかにしっくり来ない。ありがちな理由だし、どこか不明瞭なままエピソードが進んでいきます。後半このもやもやが解消されるわけです。

「いいねえ」と感じるエピソードが多く、魅力的な人物が何人か登場するのですが、僕は「エダジマ」というキャラが好きでした。読みながらニヤニヤしちゃった(家で読んでてよかった)。
職は持たないけど、勝手に働いてお金をもらうおっさんたちというのもいて、本当に可笑しかった。

エピソードは進み、やがて父との別れが語られます。若林さんの父が生前「キューバ旅行に行きたい」と言っていたのがきっかけとなって今回の旅が始まったことが後半明かされます。
この構成には感動して、目頭を熱くしました。

シンプルに「たまには実家帰ろうかな、明日からも頑張るか」
そう思わせてくれる一冊でした。
BGMはBUMPの東京賛歌なんかがマッチしそう。

Take it easy

眼前の景色が色を失ったとき、また読みたいなあ。

小説、漫画、映画、アニメを順繰りと。創作物が好きです。文章書くの下手なんで、上手くなるために書いていこうかと。なるべく素直でいようと思います。