日本における、コーヒー飲用、ビタミンD摂取、アスピリン服用と大腸がんリスクとの関連

大腸がんビタミンD

日本において、近年、大腸がん発症は、急増しています。2016年に、日本の厚生労働省の報告では、全癌種において、大腸癌による死亡の順位は、男性で第3位、女性では第1位です。世界的に飲用されているコーヒーは、発がん促進作用のある腸内の胆汁酸を抑制して、大腸癌の発症に関連した病態に対して予防的な作用が有すると報告されている。コーヒー飲用と大腸がんとの関連が注目されている。しかし、コーヒー飲用と大腸がんの研究成果を総括したメタアナリシスの結果は一致していない。

女性においてコーヒー飲用は結腸がんリスクの低下と関連
2019年に、日本がん協会において、コーヒー飲用と大腸の各部位のがん(結腸がん、直腸がん、近位結腸がん、遠位結腸がん)との関連が解析された (1)。その結果、男性では、大腸の各部位のがんの発症とコーヒー飲用との間において、明らかな関連は認められなかった。女性では、大腸の部位別がんの解析により、1日に1杯未満のコーヒー飲用グループと比べて、1日に3杯以上コーヒーを飲むグループでは、結腸がんリスクが20%低下していた。

本研究では、男女ともにコーヒー飲用と全体の大腸がんリスクとの関連は認めません。しかし、大腸の各部位のがんの解析より、女性のコーヒー飲用が、結腸がん発症のリスクを低下することが明らかとされた。コーヒー飲用による結腸がん予防のメカニズムとして、コーヒー飲用によって、発がん促進作用のある腸内の胆汁酸や大腸がんリスクに関連した炎症、インスリン抵抗性やインスリン分泌が抑えられることが考えられる。その他のメカニズムとして、コーヒー飲用により、大腸の運動が活発にされることが考えられている。

日本において、ビタミンなどのサプリメントの服用と大腸癌の発症との関連性についての研究結果は、臨床研究のコホートやstudy デザインにより異なっている。他のグループと比較して、直腸がんリスクは、男女ともビタミンDの濃度が最も低いグループにおいて、高いことが明らかとされている。最近は、ビタミンDの過剰な摂取は、serrated polyposis syndrome (SPS)症候群を悪化させる可能性も指摘されている。多くの臨床研究が、アスピリンの服用は、大腸癌の発症リスクを低下させると報告している。

Disclosure of potential conflicts of interest
The authors declare no potential conflicts of interest.

Acknowledgments
We thank all the medical staffs and co-medical staffs for providing and helping medical research at National Hospital Organization Kyoto Medical Center. We appreciate Crimson Interactive Japan Co., Ltd. for revising and polishing our manuscript by Native English.

Reference
1. https://epi.ncc.go.jp/en/can_prev/evaluation/index.html

がん医療専門ドクター/癌ゲノム医療/新興感染症              JAMA Oncology Published on March 20, 2021. 京都@takuma H

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