自分の才能を他者と分かち合いたいすべての人へ。『マイノリティデザイン』ならあなたの「弱さ」も「強さ」も社会に生かすことができる
【Feeling】
五感で感じるということは、生きるということ。今日も世界を感じよう。
僕は仕事の関係で、高齢者や障害者と言われる人たち、他の言い方をすると「社会弱者」なんて言われ方をしたりするけれども、そういった人たちがどうやって楽しく旅行、観光を楽しめるようになるのか、というので、自治体などに対してコンサルティングを行なっている。
『マイノリティデザイン』の著者である澤田智洋さんが立ち上げた「世界ゆるスポーツ協会」というのも知っていて、ゆるスポーツというのも知っていたのであるが、澤田さんの著書は初めて読んだ。(この方が設立者だったのですね!)
まず、元々(今も)、コピーライターということで、本の構成や見出しひとつひとつがとてもキャッチーでわかりやすくなっていることに驚いた。コピーライターが本気で本を書いたらこういう本になるんだ! と、内容じゃなくて、そこか! と思うかもしれないけれども、読みやすさというのは、本を読まれなくなっている時代にはとても大切なことだと僕は思うのだ。
そして、読んだとしても、必ずしも頭に入っているとは限らない。でも、素敵なコピーのひとつ、ふたつはだれもが覚えることができるだろうし、そして、そこからきっと本の内容を思い返すことができるのではないか、と思うのだ。
だから、見出しのひとつひとつ、文章のところどころに素敵な言葉があって、読み進めていくのが楽しかったし、心に残る文章であった、と本を読み終わった時に感じるものであった。まさに福祉という固い領域の話をするのに、ユーモアとチャーミングさを掛け合わせて、色々な人に興味を持たせるような伝え方になっている。
こういう本の書き方もあるんだな、ととても勉強になった。ここもやっぱり中身ではなく! と思うかもしれないが、伝える(伝わる)ということは、文章書いているといつもとても難しいことだと思うのだ。そして、それが具体的な行動につながるようにするのはもっと難しい。ほとんどの人は読んで終わり。一瞬やる気になったり、いい気づきがあった、で終わってしまって、行動は何も変わらない。行動が変わらななければ何も変わりはしないのに。
でも、この本では、実際にワークもあって、歩みを進められるようになっている。何かものすごく目新しい手法ではないけれども、でも、実際にやってみると面白い。取り組みの内容がわかりやすくきれいに整理されているし、だれでもできるような導線や仕組みになっているところがさすが、だと思う。
この本は著者の経験をもとに色々なケースを紹介されていて、特に福祉関係に自分の能力をスライドすることの部分を中心に書かれていて、自分は福祉には興味がないし、広告関係者じゃないし、だったりとか、マイノリティと聞いただけで、自分とは関係ないことかな? と思ってしまうかもしれないけれども、でも、あなたは本当にマイノリティではないのか?(マイノリティだと感じる部分はないか?) 本当にいまの仕事に生きがい、やりがいを感じているのか? という質問にちょっとでも、チクッとすることがあるならば、ぜひ読んでみるといいと思う。
きっとあなたが今、自分の中のマイノリティな部分(自分にしかわからない苦しみ、悲しみがあったり)、いまの大衆向け、マス向けの仕事にどこかやりがいや生きがいを感じられないのであれば、この本はきっととてもいいヒントを与えてくれる。
ぜひあなたの中の「弱さ」と「強さ」を生かして、あなたの才能を世界の人々へ分け与えていこう。
きっと与えることで、足りなかった何かを得ることができると思うから。
素晴らしい本をありがとうございました。
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