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サッカー数字コラム「3」日本サッカー、逆三角形の証明〜インサイドハーフを導入せよ!〜

サッカーについて、数字から連想した内容のコラム書きます。
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森保JAPANの候補なら柴崎岳。もっと選ばれてほしいMFなら大島僚太。過去をさかのぼれば、遠藤保仁、小笠原満男、小野伸二、中田英寿……。日本代表の中盤には、綺羅星のごとく名手がいるが、そのポテンシャルを最大限に発揮した選手は案外いないのではと思っている。

「帯に短し襷に長し」とはよく言ったもので、日本の中盤の選手はこれに当てはまる。誤解のない様に言えば、歴代の日本人MFは実力者として活躍し、大きく羽ばたいた。けれども彼らはどこかいつも窮屈そうだった。

一言でいえば「トップ下にしては得点力・打開力はないけど、ボランチにしては守備が不安」というやつだ。トップ下は突出した攻撃性、ボランチは守備が求められる。
トップ下は攻撃70:守備30、司令塔型ボランチは攻撃60:守備40といったところか?(最近のボランチはより、守備とフィジカルが求められている)

事実、中田英はローマで3列目(3-4-1-2の4の真ん中)に適応できず、トップ下にしては打開力の低いことを指摘され、現役生活の晩年はその葛藤に苦しんだ。
小野も同様で、トップ下にしては個人で仕掛けられないことから左サイドやボランチに回されたが、それによりエース級の選手になり損ねた感がある。

これは、今の柴崎にも言えることだ。彼の能力が高いのは一目瞭然だが、適性ポジションの少なさが海外での苦戦に繋がっている。能力で言うと、柴崎はパスが完璧で、あとのドリブル、俊敏性、スタミナ、読みを活かした守備力、運動量はすべて平均をある程度上回っている。しかし、フィジカルはやや低い。強靭さ以外のすべてにおいて高いアベレージを持つ、極めて日本人的な選手と言えよう。
そうすると、試合を決めるトップ下も、対人が求められるボランチも、突破力が必要なサイドハーフもあまり適性があるとは言えない。

ではどうすればいいか。答えは一つ、インサイドハーフである。このポジションは実に日本人的MFに合致する。攻守に動き回るポジションだ。前に出過ぎず自重しながらも、時に決定的な仕事に絡み、休みなく守備もする。
後ろにはワンボランチでアンカーがいるからガッツリ守らなくていいし、インサイドハーフは行動範囲が中央に固まっていないからフィジカルの強い相手を賢い動きでかいくぐることも出来る。何事もそつなくこなし、器用で献身的な日本選手にぴったりではないか!
実際、ボランチとしてはワールドカップ本番のレギュラーになれなかった遠藤保も、南アフリカワールドカップでインサイドハーフとして活躍した。

「何事もマルチにほどほど」が日本人の美徳なら、平均値の高さを求められるインサイドハーフの起用は一考の余地があると思う。

インサイドハーフを抜擢するということは、4-1-2-3のフォーメーションにするということだ。「2」のインサイドハーフを使うなら、守備力の高い「1」すなわちアンカーと、点の取れる「3」トップが必須である。ブンデスリーガで対人勝率1位になった遠藤航が飛躍している今、逆三角形の中盤を証明する手筈は整いつつある。あとは、得点力の高いウイングと、飛び抜けた武器を持つセンターフォワードの成長次第だ。三苫薫のようなドリブラーが出てきた今、十分インタイドハーフ採用の価値はあると思う。

個人的には、インサイドハーフに大島僚太と柴崎岳、アンカーに遠藤航という「プラチナ世代」のトライアングルが見たい。この3人の共演こそ、日本サッカーの体現だと思うのだけれどいかがでしょうか?彼らには、日本代表の軸になって欲しい。そして、プラチナという呼び名の通り輝くことを心から祈っている。

もちろん他の選手、特に田中碧にも期待している。それに、実は久保建英もインサイドハーフに適性があると思っている。個人的にはベルギー代表のデ・ブルイネのような推進力のあるMFになれるはずだ。ドリブラーにこだわる必要はない。レアル・マドリードの下部組織にいる中井卓大君にまで期待してもてはやすのは良くないが、日本のインサイドハーフに適した選手はこれからも出てくると思う。是非ともセンターフォワードとアンカーを養成しつつ、逆三角形の中盤を証明して欲しい。

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