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学生は勉強に集中していればいいってホント?〜受験中心の教育が抱える本当の問題点とは

こんにちは。

元大手進学塾トップクラス担当講師で、
現在はニュージーランド在住の、
受験&国際教育コンサルタントのTakuです。

しっかりとした教育方針がある中高一貫校に入れれば、
いい先生とちゃんとした生徒たちに囲まれて、
たくさんのことを学んでくれるから安心だ。

そう思って中学受験に向かう親御さんを、
これまで星の数ほど見てきました。

確かに「安定」という側面だけ見れば、
この選択には合理性があることでしょう。

でもその「安定」が「安心」につながるかどうかは、
分からないことには気づいているでしょうか。

そこで今日は教育に「安定」を求めるリスクについて、
考えてみたいと思います。


全ては大人の言いなり

多くの中高一貫校に共通しているのは、
しっかりとした教育システムが確立しているということです。

例えば…

英語教育に力を入れている
探究学習を取り入れている
大学進学に向けたカリキュラムがある

などなど。

またこうしたシステムに加えて、
生徒としてこうあるべきという理想像が、
明示されている学校もあることでしょう。

こうしたシステムが確立しているからこそ、
親としては学校選択時に「ここでならこうなれる」と、
イメージが湧いて楽なのだと思います。

つまり決まった枠のある箱の中に入れておけば、
そこから外れる恐れが少ないから安心というわけです。

確かにこうした安定した枠の中にいてくれた方が、
親の想定していない方向に行くことがなくなるでしょう。

でもそれは逆に言えば子ども自身の変化の芽を、
詰む可能性があることにも気づいているでしょうか。

安定と変化は正反対の志向を持つ概念です。

安定を求めれば求めるほど生き方は固定化され、
柔軟性を失っていくのは自明のこと。

そしてここでいう生徒の固定化というのは、
思考や行動という側面で現れてきます。

例えば以前指導していた生徒から、
「学校の先生からChat GPTは絶対使ってはいけない」と言われ、
怖くて使うことができないと聞いたことがあります。

今どきそんなことをいうのかと驚いたものですが、
それが名の知られた名門校の生徒だったので、
二度驚かされたものです。

そしてこんな高偏差値で知られる名門校の生徒が、
先生の言ったことに縛られてしまって、
自分で試行することすらできなかったことを憂います。

しっかりとしたシステムのある学校に入れることは、
こうした一定の枠の中に子どもをはめ込み、
ある一定の型に仕上げる行為でもあります。

そしてその先に大人がいうことに素直に従う、
受身の人材を大量生産するリスクがあることも、
私たち親は理解すべきではないでしょうか。

奪われる独自体験の機会(NZ高校生=起業)

さらに懸念すべき点には、
こうしたカリキュラムが充実した学校では、
独自の体験の機会が奪われる恐れがあることです。

そもそも先取り授業で勉強が大変な上に、
部活動も毎日あることがごく普通で、
その上特殊カリキュラムをしたら空き時間などありません。

毎日毎日学校が用意したカリキュラムを、
ただ黙々とこなしていくだけになるのは目に見えています。

実際に私がみて来た生徒たちの中にも、
こんな状況にある子がたくさんいました。

自分と向き合う時間を取って、
新しいことに少しずつ挑戦しようと言っても、
物理的にほとんど時間がなくて出来ない。

中には自分の趣味をする時間すらなくて、
大学生になってようやく出来て嬉しいという、
生徒までいる始末です。

こんなに自主的な活動ができないほど、
パンパンにスケジュールが埋まっている生活を、
「充実している」と本当に言っていいのでしょうか。

またこうした私立の中高一貫校の中には、
バイトも恋愛も禁止の校則を課す学校もあるとか。

中学生はともかく高校生になってまで、
恋愛やバイトを禁止する理由は何なんでしょう。

色々な理由を上られるのでしょうが、
結局詰まるところ「学業に専念」して、
大学合格実績を伸ばして欲しいというのが、
本音
ではないでしょうか。

しかし高校生の多感な時期にこそ、
私は恋愛やバイトを経験する必要があると思います。

特にアルバイトは社会を経験することで、
働くことの意味を知ると同時に、
自分の未来を考える絶好の機会になります。

私の住むニュージーランドでは、
多くの高校生がアルバイトをしています。

その中にはトップレベルの成績を維持し、
部活も頑張りながらバイトをしている生徒も、
少なからずいるのです。

また富裕層の家庭の子どもであっても、
親がお小遣いを与えないことから、
自分でバイトをする生徒も大勢います。

こうしたアルバイトを経験することで、
彼らは最低時給で働く人々とも触れ合い、
社会の真の姿を理解していきます。

これに対して日本の裕福層の子供達は、
こうした生活に苦しんでいる人々との接点がなく、
社会の上澄しか見ることができません。

狭すぎる視野の先に待つ未来

仮にこのまま高校時代を与えられたものを、
ただ消化していくだけのシステムで行ったなら、
子どもたちの視野は著しく狭いままです。

受験勉強と部活漬けの日々は、
日本の高校生の青春物語としては美しいですが、
その後の未来への影響を考えると心配です。

それは繰り返しお伝えしている通り、
「学校の世界」しか知らないために主体的に、
自分の未来を考える機会を持てないからです。

確かにボランティア活動などで、
社会のニーズを図ることもできるでしょう。

でも特に学校が用意したボランティアプログラムは、
「安全第一」のお客様プログラムであることが多く、
そこでできる経験には自ずと経験があります。

一方でアルバイトなどの就労では、
「仕事」として社会活動に従事するので、
こうした制限がなくなり生の社会を経験できます。

こうした経験は学校では絶対に得ることができず、
自分の進路を考える上で絶好の機会です。

また海外では高校生がこうしたバイトを通して、
社会的なニーズに早くから気づいて、
起業するケースも増えています。

私の知っているニュージーランドの高校生たちも、
社会的なニーズと自分の好きを組み合わせて、
ビジネスをしている生徒が何人もいます。

こうした生徒たちと学校しか知らない生徒が、
将来同じ世界で競争していったらどうなるか、
子供でもわかるのではないでしょうか。

まとめ

さていかがだったでしょうか。

受験勉強と部活しかない狭い狭い学校しか、
経験しない生徒が自分の未来や進路について、
リアルに考えるのは難しいと思います。

こんなに変化が激しい現代世界にあって、
安定重視の環境を与えることのメリットは、
どんどん薄れていっていると思います。

今の時代には安定を求めることこそが、
逆に安心できない未来をもたらすリスクがあるのを、
私たちは認識すべきなのかもしれません。

そして子どもたちには受験と部活だけにならず、
様々な社会を実際に体験させる機会を与えて、
自分の未来をリアルにイメージさせましょう。

急がば回れではありませんが、
そうした積み重ねの先にしか、
自分の足で生きていける子供は育たない気がします。

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