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【人はなぜ税を払うのか】税に関する勉強は他の本で

オススメ度(最大☆5つ)


人はなぜ税を払うのか、とはなかなか大風呂敷を広げたタイトルだ。"税金"というのは、なかなかSNS等でも話しにくいトピックではあるが、ここに真っ向勝負する本書は本屋で見かけた時にもなかなかインパクトを残す。

しかし、"税の教養書"と呼ぶには内容は偏りがあり、正直文章も読みにくい感が否めなかった。


〜まずは税金に関する僕の考え〜

さて、まず、僕の中での"税金"というものに関する考え方をお伝えする。
短く表現するなら、
「税金は公の金」であり、「税金は"国民"のものではなく、"国"のもの」
と、でも言おうか。

僕らがその国で生活するためのインフラや福祉、保険等を整備するための資金であり、そして、その国が国として維持されるために必要な国防費や建設費などを賄うための資金が税金だ。
つまり、税金は国民の生活を維持するための資金であり、国を守るため資金である。
「税金は"国民"のものではなく、"国"のもの」という言い方をすると「国=公務員や政治家」という認識にとられて、批判を受けそうだが、公務員や政治家は税金を徴収しそれを使う役割を担っているに過ぎず、公務員や政治家の汚職や私用で税金が使われる、というような事はとりあえず脇に置いておく。僕の言う「国」とは、「国」そのものを指す、と理解してもらえると良い。
時々、SNSなどで税金に関して「もともと国民の金だ」とかいう意見を見かけるが、これは僕の感覚では少々的外れな事を言ってると思う。「国」を維持するために国民の生活を守り、必要な施設や道路を建設するものであり、決して「国民」の金では無い、と考える。

この日本において、税金が「国」にとって正しく使われているか、という話についてはとりあえず置いておいて、「税金」というシステムそのものは悪ではない。税金は必要なものであり、「税金」を納めないのは「みんな払ってるのに1人だけ逃げたから悪い」のでは無く、「国にとって必要なものを納めないから悪い」のだ。


〜著者の税金観〜

さて、この著者は税金に対する考え方の方向性は同じであるものの、かなり振り切っている。読む人にとっては少々頭に来る内容かもしれない。

序盤の方で、著者は税金を納める事を「無償の愛」と表現している。これはあまりにも行き過ぎた表現に僕は思えた。
寄付による免税制度や、ふるさと納税による免税制度に批判を加えながら、ホントに弱者を守るのであればしっかりと税金を納めるべきだ、という著者の意見はある程度理解出来るものの、どうしても無理筋な論法に思えてしまう面もある。
税金は無償の愛である、という前提のもと大筋が進んでいくので、序盤での著者の主張を受け入れられなかったら、最後まで読み続けるのは難しいだろう。かくいう、僕はそうだった。

〜説得力が無く、読みにくい〜

あと、これは僕の個人的な意見になるが、この本非常に読みにくい。
学者さんが書いている本とは思えないほど、口語的なのである。
しかも、要所要所で「私はそう思う」とか「きっとそうなのだろう」とか、個人の感想や推論とも言えるような表現が多々あり、説得力が無い。
また、序盤の財務省のHPの一文を引用している部分があるのだが、これもまたどうでもいい重箱の隅をつつくような批判を繰り返していて、読み進めるのが耐えられなかった。

正直、新聞のコラムのようなもので読むには面白いだろうが、一冊の本として読むのは苦痛だったし、「税の教養書」と言うには相応しい内容ではないだろう。

税金に関する知識や見解を深めたいなら、僕はこの本はオススメはしない。

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