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〜映画ひとくちレビュー〜 クリーチャー・デザイナーズ

フランケンシュタイン、狼男、キングコング、ロボコップ、遊星からの物体X、猿の惑星、グレムリン、スターウォーズ、エイリアン、ターミネーター、ジュラシックパーク、などなど、SF映画やモンスター映画では欠かせない特撮、特殊造形、特殊効果。
そのクリエイターたちに迫ったインタビュー形式のドキュメンタリー映画である。

クリエイターたちは、映画で輝くモンスターやクリーチャーたちをどのように生み出したのか、そして、近年目覚ましく発達するデジタル技術との関係、などを語る様は、創造に興味のある僕にとっては非常に興味深いものだった。

特に興味深かったのは、ジュラシックパークを境に、人形造形やロボット製作からデジタル技術やCGに移行した時、クリエイターたちはどのように感じていたのか、というところだ。ここのインタビューはいずれのクリエイターも「プロフェッショナルだなぁ」と感じさせてくれた。

CGが主流になり始めた時にはクリエイターの誰もが戸惑いを隠せなかったものの、彼らの目的はあくまで「最高の映画を作ること」なのだ。そのためには、それまでのやり方を踏襲しつつも新しい技術を取り入れていく。
新しいものでも優れた点を見出し、積極的に取り入れていく。彼らの姿勢こそ真のクリエイターでありアーティストだと感じたのだ。

それよりも、特撮映画の主流がCGになった頃から非クリエイターたちの感覚が変わった事にクリエイターたちは誰もが戸惑ったのだ。時間をかけて造形していくよりもCGの方が早く楽に出来る、と非クリエイターたちは考えるようになる。そして、制作の納期や資金繰りがかつてよりも厳しくなった、というのだ。

デジタル、というものは非常に便利だが、その中身をわかっていない人にとってはブラックボックスであり、わかっていないのに「すごく簡単に色々出来る」と思われている。すごい映像を時間をかけて作っても「これってCGでしょ?」と簡単にあしらわれてしまう。
僕も仕事で、システムをわかっていない中年男性に「そんなの、コンピュータで設定ちょっと変えればすぐ出来るんだろ?」とか言われると「マジか、こいつ?」とか思ってしまうのだが、それと同じようなものだろう(違うかもしれない)。

しかし、クリエイターたちからすれば、アナログからデジタルに技術が移行しようが、監督のアイデアをどのように形にしてどのようにリアリティを出すか、などやることは変わらない。

特撮に限らず、いろんなものがデジタルになる事で、その裏側にいる人たちの苦労が見えなくなってしまっている。そんな寂しさを感じてしまった。

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