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柄シャツ以降

 このままだと柄シャツを着ない人生になる。文学フリマ東京38を翌々日に控えた夜のこと、両者…

瀧本緑
2か月前
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悪役の黄色い靴下

 求婚待ったなし。お嬢様はわたしと相思相愛。いやはやわたしとしたことが。この黄色い靴下は…

瀧本緑
2週間前
8

「ごまをすってお待ちください」

 好きなとんかつ屋で「ごまをすってお待ちください」と毎回言われる。わたしは「はい」と応え…

瀧本緑
1か月前
22

そいつのささやかな不幸を祈って叫ぶ夜がわたしたちには必要

 このクソ世界で、優しさや控えめであることは基本的に仇です。優しさの類を重んじると悪意の…

瀧本緑
3か月前
22

栓抜きをゆずる/返事はいいけど聞いてない

 ずっと大事に思っている人間のこと、いまさらどうして大事なのか問うたところで無粋かもしれ…

瀧本緑
5か月前
6

正しい耳かきの方法、割り切れる分母

 耳かきをしたいと思ったとき、9分の3くらいの割合で、耳かきがすぐに見当たらない。そして私…

瀧本緑
2年前
1

社会人3年目は謝罪で食い扶持を繋ぎTOEICに駆り立てられ、アレクサに挨拶をしている

 ここ2か月くらいの自分のエッセイが暗すぎて泣いた。いったいどうしたというのだ?おそらく孤独を極めたうえで村上春樹の『羊をめぐる冒険』と『ダンス・ダンス・ダンス』を続けて読んだからだろう。主人公が抱える孤独や社会システムに対して持つ居心地の悪さに共感を覚え、それに2・3月の繁忙期が重なった。4月に入り明らかな閑散期を感じてわかる。ここ2か月は、いわゆる「仕事が忙しかった」のである。  社会人は3年目に突入した。新卒のころあった大根サラダのごとしシャキシャキ・ハキハキ感はすっか

白紙は与えられた

 ここ最近は新人賞へ向けた中編小説をひたすら書いている。学生時代のラジオドラマと、組み立…

瀧本緑
2年前
3

「思い出の味」がロストテクノロジーになったかもしれない

 同志社大学の隣に「麺家あくた川」というラーメン屋がある。2016年初頭にできたそのラーメン…

瀧本緑
2年前
5

You Make Me Feel Special

 ひどい寒さに震えた一日だった。頑張って外に出て、久々に心を預けられるかもしれないなと思…

瀧本緑
2年前
2

若くして髪が薄い。美容師はドライヤーの魔法使い

 若くして髪が薄い。鏡を見る度に、未来を覗いているような気持ちになる。美容院に行く頃には…

瀧本緑
2年前
4

怒りと大声

 バス停に佇んでいたら、前にいた中年の男が何やらボソボソ言いながらこちらを見ていた。珍し…

瀧本緑
2年前
4

限りある人生と忍び寄る30代の影エッセイ

 誕生日でもないのに、30代が刻一刻と迫っていることについて怯えている。おそらくこの手のこ…

瀧本緑
2年前
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これが秋だね一人でもリングだエッセイ

 電気工事士第2種の下期筆記試験を受けた。上期も受験こそしたものの試験勉強の舵取りを二度ほど誤ったうえ、その量すら大して積み重ねることができず見事に玉砕をした。そのうえでの下期なのに、仕事が繁忙になったりこうして文章を書いていたり、試験一週間前の土曜日というかき入れ時に、マッチングアプリの女の子と下北沢でクラフトビールを1ℓ飲み自分の中では潰れかけるレベルに酔っぱらい、日曜日は日曜日で昼に起床し、いらぬ孤独を感じ何にも身が入らぬ一日を過ごしほぼ勉強をしていないという、どうしよ