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The lost colors

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創作物語「ロスト・カラーズ」 ※最新エピソード順に並んでいます
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2023年9月の記事一覧

「アルビノ」 ロスト・カラーズ第4話

「アルビノ」 ロスト・カラーズ第4話

アルビノ=先天性白皮症

先天的なメラニンの欠乏により体毛や皮膚は白くなり、瞳孔は毛細血管の透過により赤色を呈する遺伝子疾患

シロウサギやシロヘビなど、誰でも動物でなら見た事があるだろう。その症状は人間にもある。私も症例としては知っていたが、実際に目にするのは初めてだった。

ミユキちゃんの髪の毛は黒く染めているのだろう、だから違和感を感じるほど黒かったのだ。眉もメイクで描かれていたが睫毛は白い

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「白い女の子」 ロスト・カラーズ第3話

「白い女の子」 ロスト・カラーズ第3話

その少女は真白な陶器のような肌をしていた

皮下の血の色がほのかに透けて見え柔らかだった

その少女はさらりと長い黒く美しい髪をしていた

それは人の手によって作り出されたかのような

それらを見る私の心の囚われに気付いたかのように

少女は目深に被った白い大きな帽子を取った

そうなんだ、その女の子はピンクのリボンの付いた大きな白い帽子を被っていたんだ。だから私は、その目深に被った帽子から見える

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「追憶の少女」(後) ロスト・カラーズ第2話

「追憶の少女」(後) ロスト・カラーズ第2話

Jの「家」は木々の間の奥まった所にあり、他の家より少し大きめだった。壁は厚みのある合板で屋根はポリカーボネート製のトタンで出来ていて、見た目は同じようでも他の家より丈夫に出来ていて、雨対策に1段高く敷地を作りその上に建てられていた。

「マオです。失礼します。」とマオは自分なりに大きめの声で挨拶をした。
ドアは後付けできるような枠が取り付けられているが今は付いておらず、ブルーシートを中央合わせで垂

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「追憶の少女」 (前) ロスト・カラーズ第1話

「追憶の少女」 (前) ロスト・カラーズ第1話

青く、晴れ渡る空

緩やかに流れる川縁、なだらかな斜面に広がるシロツメクサの緑

その緑の斜面を

やさしい風が吹き抜ける、、、

シロツメクサの緑の中に座るメグミ

好奇心旺盛な幼い少女のようなその姿を見つめているリョウ

(そういえば、君と初めて出会ったのも、こんな晴れやかな春の日だった、、、)

記憶を辿るように、リョウは呟く

(幼い少女だった君も、そうやってシロツメクサの緑の中に座り、探

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「途切れ途切れの残像」 ロスト・カラーズ インタールード

「途切れ途切れの残像」 ロスト・カラーズ インタールード

その先に絡み合う

           赤の糸

               青の糸

                    白の糸

「あ”ぁ、僕のケモノが、また啼いている。背骨をギチギチと云わせ、啼いている。」

冷たいコンクリートの上でマオはもがく、、、握り潰され捨てられた紙屑のように、、、

「ゆるしておくれ。美雪、、、」それは父の最期の言葉

その白い手に、小さな薄汚れたウサ

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「満ちたる月の下で」 ロスト・カラーズ  イントロダクション

「満ちたる月の下で」 ロスト・カラーズ イントロダクション

僕が探していた 
モノクロームの世界は
月にあったんだね

誰かが そうつぶやいた

「ロスト・カラーズ」 イントロダクション

満ちたる月が照らしている
夜の公園

ベンチの上に空を見上げ寝そべる少年がいた。
手入れがされていないためボサボサになり、ゆるくウェーブのかかった黒い髪。薄汚れていてもその闇の中で浮き出るかのような白い顔に、降り注ぐ月の光すべてを吸い込むかのような漆黒の瞳をして

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創作物語「ロスト・カラーズ」

創作物語「ロスト・カラーズ」

「私は泣けないんだ。あの日から、、、泣かないとそう決めた日から」
涙は一滴もその頬をつたうことはなかった、、、

それから現実世界での20年後

「ロスト・カラーズ 」 コンクルージョン

80 - 20 = 40 × 365 ÷ 7 = 2085.7
くり返し眠りから覚めて私がこのシステムのモニタリングと調整を続けた回数だ。
80年を区切りにして終わらせると決めていた。
ああ、そうだった。
それ

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