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「途切れ途切れの残像」 ロスト・カラーズ インタールード





その先に絡み合う

           赤の糸

               青の糸

                    白の糸


「あ”ぁ、僕のケモノが、また啼いている。背骨をギチギチと云わせ、啼いている。」

冷たいコンクリートの上でマオはもがく、、、握り潰され捨てられた紙屑のように、、、



「ゆるしておくれ。美雪、、、」それは父の最期の言葉

その白い手に、小さな薄汚れたウサギのぬいぐるみを握りしめ、微かな声で言った

「うそつき、、、みんなうそつきだ、、、」



真白なウサギが

「めがあかくて、かわいい」生き物だって知った時

僕は雪ウサギの虜になったんだ

「あかいめって、ほんとうはかわいくて、きれいなんだ」

「ウサギさんのほんとうのあかいめを、みてみたいな」

「いつぼくは、あかいものが、みえるようになるんだろう」

「ねえ、ウサギさん」

「いつぼくは、、、」



「僕は歌い続けるんだ。初めて恋したあの人の、、、あの人が遺したその言葉にのせて、、、」

「その1日1日書き綴られた、一つ一つ命を削るように、、、あの人そのものを。」

リョウは夜の街に歌う、、、誰に聴かせるでも無く



「風だ、、、」

        「風が吹いている、、、」

   ビルの上で、風を感じるニヤ

     「ねえ、ニア」

  「この風は」

       「どっちに吹いているの?」

   応えるのは、猫又のニア

           「過去だ、、、」

 「過去かぁ」



「ミユキのめもあかいんだよ。ウサギさんといっしょなの」

そう、美雪ちゃんの目は赤かったんだ。

まるで雪ウサギのように、、、   



血にまみれたリィナ

その身体をやさしく癒すユキ

「ねぇ、ユキぃ。あたしに痛みを感じさせて、、、お願いだから。あたし生きてる、、、生きてるんだって感じたいのよ」

「わかってるよリィナ。悲しいリィナ」

ユキは、そのリィナの傷口に爪を立てる

「ああ、、、あたし生きてる、、、」


それは小さなノートの1ページ、、、

 サトシがくれた手紙に書いてあった言葉


  加奈

  綺麗な薔薇を強く掴んだら

  その棘で僕は手を傷つけてしまい

  薔薇を僕の血で汚してしまうんだ

  薔薇はその存在を感じる位が良いんだ

  その可憐な美しさを見れる程の

  そのたおやかな香りが匂う程の

  その花の柔らかさに触れる程の

  やさしい距離が良いんだ


 あたしは あたしの棘で

 あの人を 傷つけていたのね

 あたしを 汚していたのね



「血なんか怖くないんだ。僕の目には見えないんだ、赤い色が。だから平気さ、大丈夫。怖がらないで」

ケイはやさしく、リィナに言った、、、



「ねえ、リョウ。赤い色ってね、温かいんだよ。知ってる?」

大好きな赤い風船を手に持ち、メグミは笑って言った

「雪ウサギの人がね、教えてくれたんだよ」



赤い目

      小さなノート

  雪ウサギの人

            約束

    白い女の子


青い痛み               

        歪んだ愛

   少年と少女

            記憶

      赤黒いケモノ


白い少女

       プラチナの蝶

    冷たい体

           愛に飢え




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