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ミャンマーのウェッターヒン

突然ではあるが、油が好きな民族。と聞いて、あなたはどこの民族を思い浮かべるだろうか。

料理に多くの油を使う民族の一つにビルマ族がいる。

1824年から1937年まで、ミャンマーはイギリスの植民地であった。時を同じくしてイギリスの支配下であったインドからは、多くの労働者が、ミャンマーへ流れた。それもあってか、ミャンマーの料理はどこかインドの影響を受けている。

鍋にたっぷりの油を入れて、石臼で叩いたにんにく、生姜、唐辛子とともに玉ねぎを炒める。そこに、魚醤油、ターメリックなどで味付けをしておいた肉や魚を水と共に、しばらく煮込む。その水気が飛んで、約1センチほどの油が浮いてきたら完成。これがミャンマーで根付いた油戻し煮という調理法だ。インドでもよくあるものなので、恐らくインドから伝わったのではないかと思われる。

いやいや、そんなに油が浮いている料理、果たして美味しいの。と思うかもしれないが、ミャンマーで広く食べられているインディカ米。少しパサパサした細長いお米に、野菜と肉のエキスがしみた油が絡まることを想像すれば…。思わず、唾をごくり、ごくり。

ミャンマーのカレーはもちろん油戻し煮で!!

世界各国、様々な影響を受けて、その国独自の作り方が生み出されているカレー。ミャンマーではもちろん、油戻し煮で作られる。今回作るカレーの名は、ウェッターヒン。ウェッターはミャンマー語で豚肉。ヒンは、ミャンマー語で煮込み料理を意味する言葉である。

使うスパイスはターメリックとチリペッパーにカルダモンとレモングラスを少々と、インド風のカレーに比べるとシンプルだ。元々ビルマ族は中国はチベットの方いたと言われている。そこでの食生活の影響であまりスパイスを使わないのかもしれないし、単に美味しい油を堪能するには、スパイスはシンプルな方がいいと判断されたのかもしれない。いずれにせよ、一つの食文化が根付いた過程を解き明かすのは難しい。

油が浮いてくるまでは時間がかかる!

早速作っていこう。普通のカレーを作る時よりも油を多めに入れて、玉ねぎ、にんにくをまずは炒める。そして生姜も入れる。

しばらくしたら豚肉とトマトとスパイスを入れて、弱火でひたすら水分を飛ばす!!

少し油が浮いてきたが、まだまだだ。

粘って、粘って、ひたすら、水気を飛ばす。そしてついに出来上がり。どんっ!!!

いただきまーす!!!

!!!まずは、、、辛いっ!!!!これは恐らくチリペッパー入れすぎた!!!

でも豚肉に染み込ませたナンプラーの香りが、うっすらといいアクセントを加えている。あの水野仁輔さんもおっしゃているように、やはり日本人はだし系の味に敏感で、すぐに反応してしまうのか…。ガツンとくる大きなお肉は辛いトマト味にとても合う。このカレースープというかカレー油には食べ応えのあるお肉の方が合っているのかもしれない。そのおかげで、カレーは辛いながらもガツガツ進む。

こちらのウェッターヒン。どんな時に食べたいだろうか。チリペッパーの影響でそれなりに辛いので、刺激のある辛いものを食べたい時。そして、担々麺などで感じる痺れを特に必要としていない時。さらには、辛いトマトをイタリア風の料理じゃないもので食べたい時。かなあ。食べるとしたら。ところで、そんな時今まで…。いや、たまにある。

因みに、本場のミャンマーでは、アヤウン・ティン・モンという色付け粉を使って、見た目は赤いけど、そこまで辛くないカレーが多いようだ。よって今回作ったものは、本場のものとは少し違ってしまった。

本場のものは、想像以上に油を入れているようだ…。

完成したカレーの写真をご覧になってわかる通り、今回私が作ったウェッターヒンは、本場のものに比べて油の浮きが足りていない。ちなみに「ミャンマー カレー」で画像を検索した結果がこちら。油を大さじ3くらい入れながら、これ油入れすぎちゃってるよね…なんて考えながら冷や汗をかいていたが、どうやらこれでも、入れる油が足りていなかったようだ。大さじ5くらいは入れるんだろうな…。いや、もっとか。そのくらい入れないと、「野菜と肉のエキスが染み出した美味しい油」を堪能することはできない。本場のカレーに近づけたい方は、揚げ物をする感覚で油を入れていった方がいいかも。

さらには、今回トマトを一袋(4つ)入れたが、水分を飛ばすまで長い間炒める分、トマトの味が濃くなってしまう。こちらは2,3個で良さそう。

個人的には、豚肉をターメリック、魚醤油で漬けるだけでなく、ヨーグルトも入れて肉はほろほろと、そしてカレーはまろやかにしたいなーなんて考えたのですが、それだとミャンマーのカレーとは少し違うものになってしまうかな…。というか、鶏肉は、ヨーグルトとターメリックに漬けたりするけども、豚肉もそうするのだろうか。タンドリーチキンならぬ、タンドリーポークを想像しても十分美味しそうだから、いけると思うのだが。

何はともあれ、油の効いたガツンとしたカレーを食べたい時には、是非、作ってみて下さい!!!

今回参考にしたレシピはこちら

最後まで読んでいただきどうもありがとうございます。