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『お金の流れが変わった!』(1)

『お金の流れが変わった!』(1)

新興国が動かす世界経済の新ルール
PHP研究所 2011年1月5日 第1版第1刷


<目次>
第1章 超大国「G2」の黄昏
 Ⅰアメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか

 Ⅱ中国-バブル崩壊はいつやってくるか

第2章 お金の流れが変わった!
 Ⅰ「ホームレス・マネー」に翻弄される世界
 ⅡEU-帝国拡大から防衛のシナリオ
 Ⅲ新興国ー21世紀の世界経済の寵児

第3章 21世紀の新パラダイムと日本
 Ⅰマクロ経済政策はもう効かない
 Ⅱ市場が日本を見限る日

第4章 新興国市場とホームレス・マネー活用戦略
 Ⅰ新興国で成功するための発想
 Ⅱ日本経済再成長の処方箋


世界と日本の比較

ギリシャ危機に端を発した欧州金融危機が世界経済へ悪影響を及ぼしています。

2012年6月10日、EU諸国はスペインに対し最大1000億ユーロ(約10兆円)の融資を決定しました。

この決定に株式市場は好感し、上昇しました(2012年6月11日)。

しかし、ポルトガルやイタリアも財政危機に瀕しています。
こうした世界経済のうねりに日本は対岸の火事と高みの見物をしている余裕はありません。

日本の債務残高は1000兆円に達し、増え続けています。
対GDPで200%以上に達しています。

さらに、2011年3月11日に発生した東日本大震災と福島第一原発事故の後遺症は、被災地や被災者だけでなく、日本全体に大きな傷跡を残しています。


『お金の流れが変わった!』

さて、こうした世界情勢の中、
今回から『お金の流れが変わった!』を取り上げます。
大前氏はどのような処方箋を用意しているのか、じっくり見ていくことにしましょう。


第1章 超大国「G2」の黄昏
Ⅰ アメリカ-「唯一の大国」はいかにして崩壊したか

しばらく前にアメリカ国内で起こった、サブプライムローン問題にまで遡ってみましょう。大前氏の考えは次のとおりです。

サブプライムローンが破綻する以前のアメリカの繁栄は、借金に支えられたバブルだった

サブプライムローンが破綻する以前のアメリカの繁栄は、借金に支えられたバブルだった

国家は米国債で海外から、個人はローンとクレジットで将来から借金をして、身の丈をはるかに超える消費に興じていたのである。

なぜそんなことができたかというと、要するに「アメリカ経済は強い」「ドルは世界の基軸通貨でありつづける」という幻想を、世界じゅうの人が信じたからだ。

もちろんITや金融、情報などの分野ではつねに先端を走り、投資に値する企業や人材が次々と生まれてきていたから、ある部分は実体をともなっていたといえる。

それでも全体を見れば、明らかにバブルだったのはまちがいない。

『お金の流れが変わった!』 大前研一の名言 1 〈496〉               
                             
            


企業や個人はどう変わっていくのか、いや変わらなければならないのか

今後、日本は世界は、また企業や個人はどう変わっていくのか、いや変わらなければならないのか。

ここ数年で日本も世界も大きく変わりました。

国内では、安倍首相による長期政権が確実となりました。

憲法改正に向かって、安倍首相は民意を顧みず、突き進んでいるように見えます。

安倍首相の側近には、諫言する人物は皆無で、独裁者の言いなりとしか、考えられません。

さらに、国内では非正規雇用者の割合が増加しました。正規雇用者と非正規雇用者との賃金格差は一段と拡大しました。

所得の減少が、晩婚化や非婚化の増加に拍車をかける状況を作り出しています。

世界を見ますと、EU内では、ドイツが頭ひとつ抜きん出ていて、フランスが後を追っている状況です。

ドイツは「インダストリー4.0」という標語を掲げ、第4次産業革命はドイツが主導権を握る、と躍起になっています。

アメリカはIoT(モノのインターネット)を推進し、さらにその先の産業同士をインターネットで接続し、産業を強化し、世界との差を拡大しようとしています。

ますます世界は混沌とした時代に入っていきそうです。いや、すでに入っていると言うべきでしょう。

日本はアメリカとEU、とりわけドイツとのつばぜり合いを眺めているだけなのでしょうか?

自動車産業だけではどうにもなりません。
スマホの基幹部品の供給をひているだけでは、世界情勢の大きなうねりに巻き込まれ、沈没してしまうかもしれません。

21世紀も、アメリカが主導権を握り続けるのでしょうか。それとも中国あるいは、新興国の中から台頭してくるのでしょうか?


日本で変わらないこと

世界や日本が変わったことをお話ししましたが、変わらないことが日本にはあります。

それはよくご存じのように、東日本大震災による東電福島第一原発事故の後遺症です。

被災地の住民の皆さんは、いまだに元の生活を取り戻していません。仮設住宅から転居できない人たちが多数います。

仮設住宅では、一人住まいの高齢者が増えているそうです。

死亡原因は、ガン、心臓病、脳疾患と言われますが、実は「孤独」だそうです。

孤独が、免疫力を低下させ、病気にかかりやすくし、精神に悪影響を及ぼし、亡くなるケースが多い、と聞いたことがあります。

安倍政権は、原発事故の問題も、北朝鮮による日本人拉致問題にも、最近はほとんど触れなくなりました。

ただ、「集団的自衛権」の連呼で、憲法第9条の改正がすぐにできないと分かると、憲法を勝手に解釈し、自衛隊を「軍隊」にしようとしています。

「平和主義」が日本国憲法の特質であるにもかかわらず、憲法改正をゴリ押ししようとしています。

安倍首相は「我が軍・・・」、と口を滑らしたこともあります。

憲法記念日に、横浜で、ノーベル文学賞受賞者の大江健三郎氏が、「安倍がアメリカ議会で話したことは嘘だ。安倍は嘘つきだ」と「あべ」と7回も呼び捨てしたことが、ネット上で公開されていました。

大江氏に親しい人は、「大江さんはめったなことでは、他人を呼び捨てにしない人。その大江さんが安倍首相を呼び捨てにしたのは、よほど腹に据えかねたからだろう」と述べていました。


<参考>

「すべて安倍のせい」と護憲派が横浜でスパーク
大江健三郎氏「米演説は露骨なウソ」
香山リカ氏「憲法使い切ってない…」

(「産経新聞ニュース」から)



➳ 編集後記

『お金の流れが変わった!』という本について

『お金の流れが変わった!』 は世界と日本の金融を考えると、以前とは全く異なる状況になってきたことを大前氏が、理路整然と具体的に、かつ分かりやすく解説している本です。

時の流れは急速で、昨日までの常識が今日には非常識になることは珍しくありません。

経営資源

経営資源として言われているのは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間です。
他にシステム等が加わることもありますね。

はじめの5つに共通点がありますが、何でしょうか?

それは「流れ」です。

人流 (入社・退社・異動・昇進・降格)
物流 (売買・配送・輸出入)
金流 (売買に伴うお金の移動・給与・ボーナス)
情報流(情報を収集し、発信)
時間は、刻一刻と流れています。
 時間の流れは、過去→現在→未来ではなく、「未来→現在→過去」です。
 現在は一瞬のうちに過去になってしまいます。未来と思っていたことが
 現在になり、過去になります。

私たちは、「流れ」にコントロールされているとも考えられます。


私が考える大前研一氏の考え方

🔶 大前氏は自分で考え出したことを自ら実践し、検証しています。仮説と検証を繰り返す行動の人です。

Think before you leap.(翔ぶ前に考えよ)という諺がありますが、Leap before you think.(考える前に翔べ)もあります。

あれこれ考えて、難しそうだからとか面倒くさそうだからやめようでは成長しません。
まず、やってみるという姿勢が大切です。


大前研一氏は、常に物事の本質を述べています。洞察力が素晴らしいと思います
私は、ハウツーものは、その内容がすぐに陳腐化するので読みません。


➔ 大前氏の言葉は、いつでも私たちが忘れがちな重要なことに気づかせてくれます。


🔶 大前研一氏と私は年齢がちょうど一回り(12歳)離れています。

しかし、その年齢以上に遥かに頭の中身と行動力に差がある、と大前氏の著作を読むたびに痛感します。

構想力、コンサルタント力、提案力、実行力……。

どれをとっても私が及ぶようなものは何一つありません。

それでも、いや、だからこそ大前氏の著作やメルマガを通じ、大前氏の考え方を素直に受け入れることにしているのです。

時には、かなり過激な表現も見受けられますが、それは大前氏がそれだけ真剣に物事を考え、モノマネではなくオリジナルな提案をし、自ら実行しているからです。

そうした姿勢をいつも背中から見ていて、頼もしく感じ、(勝手に)この人に師事し、グル(思想的指導者)と仰いでいるのです。



⭐ 関連書籍



🔶 大前研一氏と私とは年齢が一回り違います。大前氏は1943年2月21日生まれで、私は1955年6月30日生まれです。
大前氏は、私にとってはメンター(師匠)です。もちろん私が勝手にそう思っているだけです。


🔶 大前氏は評論家ではありません。言うだけで自分では何もしない人ではありません。大前氏は行動する人です。だから大前氏の提言は説得力があるのです。


大前研一オフィシャルウェブ

このウェブサイトを見ると、大前氏の出版物一覧を見ることができます。
私は、大前氏の全出版物の半分も読んでいませんが、今後も読んでいくつもりです。
⭐ 出典元: 大前研一 オフィシャルウェブ



大前氏は1995年の都知事選に敗戦後、『大前研一 敗戦記』を上梓しました。




🖊 大前氏の著作を読むと、いつも知的刺激を受けます。
数十年前に出版された本であっても、大前氏の先見の明や慧眼に驚かされます。

『企業参謀』(1985/10/8 講談社という本に出会ったとき、日本にもこんなに凄い人がいるのか、と驚嘆、感嘆したものです。

それ以降、大前氏の著作を数多く読みました。

『企業参謀』が好評であったため、『続・企業参謀』(‎ 1986/2/7 講談社が出版され、その後合本版『企業参謀―戦略的思考とはなにか』(1999/11/9 プレジデント社)も出版されました。





🔶 大前氏は経営コンサルタントとしても超一流でしたが、アドバイスするだけの人ではありませんでした。自ら実践する人です。有言実行の人です。起業し、東京証券取引所に上場しています。現在は代表取締役会長です。


大前氏の本には、ものの見方、考え方を理解する上で重要な部分が多くあります。大前氏の真意を深く考えなくてはなりませんね。

この元記事は7年前にAmebaブログで書きました(2015-06-09 18:37:14)。
「新・大前研一名言集(改)」はかなりの量になりました。
私にとっては、いわばレガシィです。

その記事を再編集しました。


✑ 大前研一氏の略歴

大前 研一(おおまえ けんいち、1943年2月21日 - )は、日本経営コンサルタント起業家マサチューセッツ工科大学博士マッキンゼー日本支社長を経て、カリフォルニア大学ロサンゼルス校公共政策大学院教授やスタンフォード大学経営大学院客員教授を歴任。
現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長、韓国梨花女子大学国際大学院名誉教授、高麗大学名誉客員教授、(株)大前・アンド・アソシエーツ創業者兼取締役、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長等を務める。 (Wikipedia から)


大前研一氏の略歴補足

大前氏は日立製作所に勤務時、高速増殖炉もんじゅの設計を担当していましたが、原発の危険性を強く感じていたそうです。

その後、世界一の経営コンサルティングファームのマッキンゼーに転職。
マッキンゼー本社の常務、マッキンゼー・ジャパン代表を歴任。

都知事選に出馬しましたが、まったく選挙活動をしなかった青島幸男氏に敗れたことを機に、政治の世界で活躍することをキッパリ諦め、社会人のための教育機関を立ち上げました。BBT(ビジネス・ブレークスルー)を東京証券取引所に上場させました。

大前氏の書籍は、日本語と英語で出版されていて、米国の大学でテキストとして使われている書籍もあるそうです。


⭐ 今までにご紹介してきた書籍です。















⭐ 私のマガジン (2022.09.04現在)






















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