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【読書感想】西加奈子『ふくわらい』

2019/03/17 読了。

西加奈子『ふくわらい』 

変な人、奇妙な人、空気を読めない人など、いわゆる世間から浮いて見られてしまう人しか出て来ない小説だった。

ふくわらいという遊びが大好きで、平面から立体へとふくわらいの学びは進み、目の前にいる人間でふくわらいをしてしまう鳴木戸定という25歳の編集者。人肉を食べることになった過去を持つ。

みんな変だっていいじゃん、という世界観は分かるのだけれど、本当に、全員、変でいいのか、と最近強く思う。マイノリティを認めていこうという風潮は悪いわけではないのだが、マジョリティあってのマイノリティで、マジョリティだってマイノリティと同じだけしんどさを抱えてるんだと私は思う。

この「ふくわらい」という話、詰め込められる限界を超えて詰め込んできているので、とにかく思考がヤられる。人によって刺さる箇所が全然違う作品だと思う。救われる人もいれば、傷つく人もいる、そんな物語。

私自身を形作っている部位はどこかと考えたら、脳だった。でも、他人は私を私と認識するのはやはり顔なんだろうな。鳴木戸定の顔への執着は、人間らしいのかもしれない。

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