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歴史を学ぶ

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記事一覧

ベトナム戦争で米軍が冒した犯罪を暴き出す『動くものはすべて殺せ』(2013)の紹介

2013年、ベトナム戦争でアメリカ軍の戦争犯罪に関する包括的な調査の結果をまとめた著作『動く…

第二次世界大戦で経済学者クズネッツはどのように米国の産業動員に関わったのか?

1941年に第二次世界大戦に参戦したアメリカ政府は、ドイツ、日本、イタリアに対抗するため、自…

ハイブリッド戦争とは何だったのか?:Conflict in the 21st century(2007)

アメリカ海兵隊の退役軍人フランク・ホフマンは、2006年のヒズボラとイスラエルの戦争の分析を…

文献紹介 なぜヒトラーは情報戦に敗れたのか:Hitler's Spies(1978)

2024年1月、軍事情報の歴史を専門とする歴史学者デイヴィッド・カーンが亡くなりました。彼の…

第一次世界大戦の経験をもとに機動戦の可能性を追求したフラーの考察

20世紀のイギリスの軍人ジョン・フレデリック・チャールズ・フラーは、第一次世界大戦に参加し…

文献紹介 戦間期のドイツ軍は教育訓練をいかに改革したか?:The Path to Blitzkrieg…

ドイツ軍は第一次世界大戦が終結してから第二次世界大戦が始まるまでの間に、さまざまな改革に…

多額の費用がかかる軍隊の工廠システムは現代に必要とされているのか?

軍隊は武器などの需要を満たすために外部の事業者に頼るのではなく、独自の工廠(arsenal)を発達させてきました。工廠は軍隊が管理する多目的工場であり、消耗性の物品を製造するだけでなく、主要装備の研究開発も行ってきました。戦時へ移行すると工廠は産業動員の中心となり、民間企業に対して軍需品の製造法を指導する役割も担ってきました。 しかし、工廠という生産システムは冷戦以降縮小される傾向にあります。例えば1777年にアメリカ陸軍が設置したマサチューセッツ州のスプリングフィールド造

翻訳資料 シェリング「ベルリン危機における核戦略」(1961)

軍事学では政治的目的を達成する方法の一つとして、核による脅しや使用に関する核戦略の研究が…

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戦間期の米軍はいかに「作戦」の視点を確立したのか:Carrying the War to the Enemy(…

現在の軍事理論では、軍隊の戦略行動と戦術行動を統合し、指導する技術を作戦術(operational …

論文紹介 軍事作戦において指揮官が認識すべき情報の意義と限界

マイケル・ハンデル(Michael I. Handel)は軍事学の分野で情報戦に関する業績を数多く残した…

論文紹介 冷戦終結が世界的な内戦の増加の原因だったわけではない

1991年にソビエト連邦が崩壊し、冷戦構造がなくなったことによって、世界では途上国を中心に内…

論文紹介 中国の圧力に立ち向かうフィリピンの国家戦略はどのようなものか?

南シナ海において中国が領域支配の現状変更を試みていることに危機感を覚えている国の一つにフ…

メモ 日露戦争の観察から示されていた間接照準射撃の重要性

日露戦争(1904~1905)の戦術を調査すると、それが多くの面で第一次世界大戦(1914~1918)の…

なぜ大国の脅しが失敗するのか?: Coercion, Survival, and War(2015)の紹介

国力に優れた大国は、自国の要求を他国に押し付けやすくなるというイメージがありますが、実際には譲歩を引き出せる場合ばかりではありません。国家間の能力で明らかに劣っている小国は、大国と武力紛争になれば勝ち目がないことを認識していますが、それでも外交において譲歩することを頑なに拒むことがあります。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。 フィル・ハウン(Phil Haun)は2015年の著作『強制・生存・戦争:なぜ弱小国がアメリカに抵抗するのか(Coercion, Surviva

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