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【一人で勝手に旅気分】243

(過去の旅についての振り返りです)
★ 非言語によるイメージはゴールではなくあくまでもスタート(2019年10月12日)

2000年に国連ミレニアム・サミットで採択されたミレニアム宣言を基にして策定されたミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)を拡充・発展させる形で2015年に採択された持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)は、企業や学校の活動の様々な場面で当たり前のように目にする形になりました。

広く知られるようになったのは悪いことではないと思いますが、とりあえずSDGsと関連していると示しておけば、それで先進的なことをしているんじゃないかという曖昧でバブルな状況は、表面的な話だけが一人歩きをして、本質を蔑ろにしかねない可能性があり、危惧しております。

SDGsは「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を原則・理念としていますが、曖昧でバブルな状況について、それ自体が「本質的な部分を取り残し」、表面的なブームで盛り上がっていることになってはいないかという或る種の違和感があるわけです。

この点に関しては、自分も反省しなければならないのですが、SDGsの17のゴールを分かりやすく示したアイコンがあり、それをとりあえず使っていると、SDGsについて何らかの取り組みをしているという錯覚があります。ただ、言語習得が十分ではない子どもなどに、何かしらのSDGsに関わるイメージをしてもらうためには、長々と書かれた文章では難しく、このようなアイコンの利便性は否定できません。

それは子どもたちに限らず、長い説明や難しい説明が縁遠い人々にとって、アイコンが示されれば、現在取り組んでいる活動がどのようなものであるか簡単に伝えることができます。しかし、それはあくまで活動のイメージを強化するためのものであって、アイコンが頭の中に思い描かれればそれで完結するわけではありません。

つまり、アイコンという非言語のイメージは取り組みのスタートラインに立ってもらうための有効な手段であり、それをゴールであると考えてはいけないということです。

4年前に参加したインドのボランティアでも、NGOの宿泊施設の壁に、sustainability(持続可能性)という単語に使われているアルファベット1つ1つに活動のイメージが盛り込まれ、アイコンのような役割を果たしていました。

その壁絵はおそらくボランティアに参加した誰かが以前に作成したものと思われます。ボランティアの参加者は、最初にこの入口にある壁絵を目にすることになります。すると、自分たちがこの場所に寝泊まりし、取り組むことになる活動がどんなものであるのか、直観として受け止めることができます。

私自身、この施設に来た初日、この壁紙を見て、これから自分が取り組む活動に対するイメージが膨らんだ実感があります。そのあとミーティングでNGOスタッフから詳しい説明を受けるときには、壁紙によって心の準備ができていたので、落ち着いて話を聞くことができました。

この「ゴールではなくスタートのイメージを与えるための役割」は、教会のステンドグラスも同様だと感じました。文字の読み書きができない中世を生きた人々にとって、キリスト教の世界観や教義は、聖書によってもたらされるのではなく、映像として目に飛び込んでくるステンドグラスによってもたらされていました。そしてステンドグラスによる非言語情報の役割は、キリスト教が何であるかを脳の中で理解させれば果たされるものではなく、それを心の中に浸透させて実践し続けてもらうためのスタートラインだったと思います。

そう考えると、昔も今も非言語情報が持つ本来の役割は変わらない気がしますね。

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