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★我楽多だらけの製哲書(32)★~下町で出会ったラオスの魅力と柳宗悦~

私は去年「青のラオス展」に続き、もう一つのラオスイベントに参加をした。そしてこのイベントへの参加によって「今ここで関わることができる『ラオス』としっかりと向き合う」ことができた。そのイベントは「ラオスの手仕事展」であり、何とか最終日にイベントに参加することができた。

場所は「the ETHNORTH GALLERY」という所で、谷中銀座商店街の近くであった。谷中銀座を訪れるのは初めてだったが、下町らしさに満ち溢れた商店街で、雑貨屋・団子屋・茶屋などが所狭しと並んでいた。コロナ禍だからだろうか、お盆休みの日曜日だが、人はまばらであった。

「青のラオス展」の時と同様に、ラオスの工芸品の柔らかさというか素朴さというか温かさというか、とにかく積極的に工業化を進めているわけではないラオスの品々の魅力を感じることができた。そして、その品々は販売されているわけだが、収益は「ラオスのこどもの教育事業」に充てられるということで、大人買いさせていただいた。

ラオスの人々がこのように工芸品を販売しているのは、もちろん商品という認識の下にあるとは思う。しかしそれは飾っておいて鑑賞されるための静的な価値を持つものではなく、あくまでも使われて、触れられて輝きを放つ動的な価値を持つものとして作られているといえるだろう。それはこれらの工芸品の出発点が、日常的な使用を目的としているからである。

ただ日常的な使用を目的にしているとしても、単なる機能性だけを追い求めて、無味乾燥な道具を製作しているわけでなく、機能性を突き詰めつつも、ある種の遊び心が見え隠れして、その結果、芸術品が持っているような価値とは異なる、新しい価値を日用品が持つことになっているのである。

20世紀前半の日本において、各地の焼き物・染織・漆器・木竹工などといった日用雑貨に光を当てようとする動きが起こった。これは「民藝運動」と呼ばれ、この動きの中心的人物の一人が柳宗悦であり、彼は「民藝運動の父」と呼ばれることもある。柳宗悦は、無名の職人たちによって丁寧に作られた日用品の中に備わっている価値を「用の美」と表現して、それまで美術史の分野で評価されてこなかった日用品に新たな価値を見出したのである。

ラオスに住んでいたとき、道端で見かけた竹細工のカゴや織物などもそうであるし、このとき訪れた「ラオスの手仕事展」や、2020年6月末の「青のラオス展」で出会った様々な工芸品の中にも、柳宗悦が提唱した「用の美」と言えるものが間違いなく備わっていた。さらにはラオスという国・土地・自然・人が持つ柔らかさや素朴さや温かさも織り込まれ、「陽の美」をも生み出しているように感じた。

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(以下で、手仕事展の様子を紹介)

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