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★我楽多だらけの製哲書(37)★~クラスへの仕掛けに寄せる思いとアリストテレス~

去年の今頃、私は3学期開始に向けて、HR教室の仕掛けとしての装いを準備していた。しかし、前日の夕方に状況は一変した。このあとの話は、去年の今頃、別のSNSで綴ったものである。

「出鼻をくじかれる」
まさにそんな感覚であった。

冬休みが終わり、いよいよ始業式を明日に控えるということで、クラスの装いをしっかり整えて夕方を迎えたころ、始業式の延期が決定され、さらには緊急事態宣言によって生徒はオンライン授業となり、せっかくのクラスの装いは出番がなくなってしまった。しかも新規陽性者数の推移を見る限り、最悪の場合にはこのまま今学期は終わりへと向かって、本当にクラスの装いはお披露目されない可能性すらあるのである。

ということで、このままクラスの装いが日の目を見ないのは悲しすぎるとの思いから、この場で公開しておこうと思う。

これまでも使ってきた手製の日めくりカウントダウンであるが、ただあと何日という表示のものをめくっているのは味気がないので、日数の下に今学期は「学問に関わる名著の紹介」を記載することにした。始業式初日は、カエサルの『ガリア戦記』、次の日はフランシス・ヒッチングの『キリンの首』、その次はジョン・ロックの『統治論』の紹介であったが、生徒が登校してこないため、毎朝、私は一人さみしく一枚一枚めくって次の紹介文に更新している。

★キリンの首

また、一日一日紹介文をめくって捨ててしまうのはもったいないので、めくった紹介文は教室の掲示板に貼るようにしている。前学期の日めくりの下部分のテーマは「学問の紹介」だった。そのため前学期は「文系か、理系か、または両者が重なる文理系か」という集合の範囲を掲示板に設定し、一日一日めくられる学問がどこに属するか視覚的に理解できるように貼るようにした。同時に、学問領域として大雑把に「人文科学、自然科学、社会科学」のいずれであるかも理解できるような範囲にしておいた。

★経営学

そして今回は、前回の理解を利用してイメージできるように、紹介する本がどのような学問に関わる名著であるか示しておき、めくり終わったならば、掲示板では3つの学問領域に分けた場所にそれぞれ貼る仕掛けにしておいた。だが、残念ながら一日一日掲示板に名著の紹介文が増えていく様子を生徒が見る機会はない。

このような仕掛けによって生徒たちに受け取ってほしいものが「物事を分類する感覚」なのである。人間が何事かを考察するとき、その対象となる問題を何らかの基準に従って分類し整理することによって、その問題の性質のようなものが明らかになり、考察は深まっていくと私は考えている。また考察ではなくても、何か日常的に悩みを抱えているときも同様で、その悩みの性質・特徴を分類や整理によって明らかにできれば、解決の糸口が見えてくるものであり、考えて生きる存在として「物事を分類する感覚」はとても大切であると考えている。

このような分類は一般的に「カテゴリー(範疇)」と呼ばれる。歴史的にこのカテゴリーの先駆者であると考えられるのは古代ギリシアの三大哲学者の一人で、万学の祖とされるアリストテレスである。彼は主著『オルガノン』の第一部とされる「範疇論」の第4章において、実在形式として10種類のカテゴリーを示している。彼によるとその10種類とは以下のとおりである。
「実体(何であるか)」
「量(いかほどあるか)」
「質(いかにあるか)」
「関係(何に対してあるか)」
「場所・何処(どこにあるか)」
「時間・何時(いつあるか)」
「位置・姿勢(どのように横たわっているか)」
「所有・状態(何をもって在るか)」
「能動(すること)」
「受動(されること)」

この10のカテゴリーはその後、アリストテレス自身が修正を加えていたり、カントによって大幅に整理されたりするが、このように物事を分類して考えることの基礎を作り、そして哲学・思想を発展させてきたことを考えるとアリストテレスの功績は非常に大きいものである。

せっかくなのでアリストテレスのカテゴリーに従って、手製の日めくりがどのようなものであるか考えてみると次のようになるだろうか。
「実体・・・日めくりのカウントダウン」
「量・・・毎日、一日一枚」
「質・・・手作り、紙製」
「関係・・・クラスの生徒に対して」
「場所・何処・・・教室」
「時間・何時・・・登校時」
「位置・姿勢・・・黒板の端」
「所有・状態・・・糸によってつりさげられている」
「能動・・・学問と名著の関わりを紹介すること」
「受動・・・毎日めくられ、のちに掲示板に貼られること」

このように文章を書いていると、やはり生徒に今回の日めくりを利用して分類する感覚を養ってほしいという気持ちがどんどん大きくなってきたので、ZOOMやグーグルクラスルームなどを活用して、毎日オンライン上で紹介していこうと思う。
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#カテゴリー   #学問への愛を語ろう   #推薦図書
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(以下、クラスの装いを詳しく紹介)

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