【小説】 幸せものの猫 【ショートショート】
若い住人の多い街の駅前を抜け、住宅街に入ると車二台は余裕で入りそうな大きなガレージのある一軒家が立っている。
そのガレージには大抵どの時間でもその家の飼い猫がウロウロしていたり、餌を食べていたり、戯れあったりしているのだ。
その猫達が全てその家の飼い猫かと言えばそういう訳でもなく、一日を通して様々な猫がこの家へ出たり入ったりしている。
そんな猫達の中でも一匹、特別な風格を持つ猫がいる。
身体が大きな訳でもなく、ましてや威圧的な風貌をしている訳ではない。
横に広