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夕方から降り出した雨が止まない。既に時刻は夜の十時を回っているというのに、雨脚は衰える…
鍬を握る手が疲れて来て、青々とした空を回る大きな鳥を見上げるフリをして、寛吉はほんの束…
それはふた昔も前の、初夏の出来事だった。 田代町の住民は人を絶望的な恐怖を与える「衛…
地方再生の一環として造られた老齢村へ取材へ行くために、私はハンドルを握っていた。 地…
浜本青年には幼い頃から決して揺るがない、とある信念があった。 それは、いつどんな状況…
アパートへ帰る途中、フードを被った黒ずくめの怪しげな青年と擦れ違った。 青年の目は魚…
※怒鳴る系のパワハラ、及び出血を伴う残酷描写があります。 心の臓が弱い方は、是非ご遠慮下さい。 以下、本編 「井島さん、これまでに工場での勤務経験とかってありますか?」 登録したばかりの派遣会社。電話の声しか知らない女の営業担当にそう尋ねられた僕は、あまり長くはないそれまでの社会生活を振り返ってみた。キャバクラの送迎ドライバーから始まり、チラシのポスティング、青果倉庫での出荷準備、呼ばれた時だけ行くATM設置作業……と、工場での経験は全くなかった。 「えーっと、あり
小学五年時。友達、百人。 クラスのみーんな、みーんなが私の話しに食いついて、目を見開…
今、僕は人生でぶっちぎりに最悪な日を過ごしている。 間違いなく、昨日まではバラ色だっ…
三月すらまだやって来ていないというのに、日中の気温は二十度を上回っていた。 蒸し暑い…
深夜一時。 繁華街で飲み歩き、北口から南口へ抜ける高架下に入る。 人の気配も…
休みの朝。コンビニへ煙草を買いに向かっていると、公園の脇を通り掛けに左手前の茂みからサ…
高校の入学祝いに、僕はお父さんから腕時計をプレゼントされた。それは誰もが知っているブラ…
ベルトコンベアの上を延々と荷物が流れて行く。同じ形で同じ重さの、同じ商品達。 5分に1回程度、弾かれる荷物がある。俺はそいつを手に取り、軽量器に載せる。今回のは、内容量が足りていなかったみたいだ。 そんなつまらないバイトを終えた俺はさっさと作業着から私服に着替え、薄暗い倉庫を出るついでに警備員に一礼をする。 「お疲れっしたぁー」 「あっ、あぁ……お疲れ様です」 バカ警備員。何ボーッとしてんだよ、人の顔見て驚きやがって。どうせ暇こいてエロい妄想でもしてたに違いない。