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ショートショート広場

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一話完結〜数話完結の短編集を載せています。 あなたの息抜きのひとつに添えて頂けたら嬉しいです。
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#ショートショート

【小説】 ドアマンの憂い 【ショートショート】

 劇場のドアマンがその職に就いたのは独裁者の気まぐれからであった。  とある演説後、独裁…

大枝 岳志
6日前
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【小説】 社会死葬儀 【ショートショート】

 予定通りに行けば昨日、私の葬儀が執り行われたはずだ。  最も、この肉体の死を弔う葬儀で…

大枝 岳志
7日前
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【小説】 夏。収穫アルバイト 【ショートショート】

 高校生活最後の夏休み。受験勉強そっちのけでアニメを観ていた僕は、ある作品の影響からカッ…

大枝 岳志
10日前
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【小説】 わくわく抽選会 【ショートショート】

 地元の商店街で買い物をしたレシートを五枚集めると、大型テレビやAIスピーカーなんかが当…

大枝 岳志
12日前
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【小説】 夕闇に告ぐ 【ショートショート】

生まれたはずであるこの街の、少し駅から離れた踏切の向う側の景色を実は彼女はあまり良く知り…

大枝 岳志
13日前
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【小説】 笑顔の携帯ショップ 【ショートショート】

 日曜で多忙を極める携帯ショップのカウンター。勤務二ヶ月目にして高岡真奈美は、椅子にふん…

大枝 岳志
2週間前
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【小説】 駅前おじさんの真実 【ショートショート】

 東京○○区駅前等で非常によく見られる光景の一つに、昼間から泥酔し切った中高年者がロータリーで辺り構わず怒鳴り散らしたり喚き散らしたり、という場面が在る。  幾ら時を経ても、支払いが電子化されようとも、何故あのような者が生まれてしまうのか。ある一人の男に焦点を当て、ここに記しておく。  男の名は戸倉正蔵。年齢は御年七十を迎えるがその肌艶は良好で、白髪や皺のケアも日頃から決して手を抜かない。彼は芸能人等ではないが、とある大手製紙会社の三代目であり、幼少期から人に見られること、

【小説】 夢の街 【ショートショート】

 ガラクタの山、冴えない通り、曲がり角に立ち続ける古びた娼婦が男に声を掛けた。 「どうせ…

大枝 岳志
3週間前
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【小説】 当たりが出ました 【ショートショート】

 小学校へ続く通り沿いに建つ駄菓子屋の「ひのや」は夕方になると、子供達が集まって来る。 …

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 嘘っ子バー 【ショートショート】

 男も四十を過ぎると自然、女に興味が無くなってしまう。よほどの病的物好きでもない限り、若…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 誰が為に、 【ショートショート】

 三十五歳を過ぎた頃から、人と関わりを持つことが極端に億劫に感じるようになった。  一円…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 よーい、どん! 【ショートショート】

 サッカーとかバスケとか、みんな憧れてやっているけど僕は苦手だ。  今は小学校六年生だか…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 父と私の土曜日 【ショートショート】 

 三ヵ月ぶりに危急の用件で実家に帰ることになった。キッカケはマネージャーを通して伝えられ…

大枝 岳志
1か月前
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【小説】 衛星が通過します 【ショートショート】

 それはふた昔も前の、初夏の出来事だった。  田代町の住民は人を絶望的な恐怖を与える「衛星」の到来を告げる町内放送に耳をじっと傾け、戦々恐々としていた。  町は四方を山に囲まれ、夜の帳は夕刻を過ぎるとすぐに下ろされる。地平を重たく包む紫檀色に点々と暖色の灯りが点いており、町内放送が始まると窓を開け放つ音があちらこちらから聞こえて来る。 『本日、午後六時十四分から十七分に掛け、田代町の上空を衛星が通過します。絶対に、外へは出ないで下さい。また、衛星の直視は精神が著しく崩れる恐