2020年度予算政府案で、社会保障改革はどうなったか。
歳出が過去最大規模となった2020年度予算政府案。国の一般会計の中で、最も多い費目は社会保障関係費である。医療、介護、年金などに関する支出が含まれる社会保障関係費は、2019年度当初予算よりも1兆7495億円増えて、35兆8121億円と、5.1%増となった(臨時・特別の措置を除く)。
賃金が5.1%も増えない中で、社会保障費が5.1%も増えるとなると、負担増の方が上回って、手取り賃金が増えないと心配する声も聞こえる。高齢化が進むため、社会保障費を減らすことは難しいものの、増え方を抑える改革が重要になってくる。
では、2020年度予算案の編成過程で決まった社会保障改革は、どうなったか。全世代型社会保障検討会議が12月19日に中間報告を取りまとめたが、それは2020年度予算案とどう関係するか。
実は、全世代型社会保障検討会議は、財政論から社会保障改革を議論しないという姿勢をとっている。要するに、この改革をすれば社会保障費がいくら削減できるかという議論を前面に出すことはしないようにしている。
また、同中間報告で取りまとめられた内容の中で、注目点となった年金と医療の改革については、2020年度から即効果があるものというより、2022年度以降に効果が表れるものが取りまとめられている。
その点からいえば、2020年度予算案に与えた影響は、診療報酬改定と薬価等改定が大きなものだったといえる。これらは、全世代型社会保障検討会議で議論されたものではない。
では、どのような経緯をたどって決着したか。以下の論考がその点を詳述している。
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