プロへの道と"普通の人生" - 友のデビュー作に寄せて。「デジタル美塾 まんが背景の描き方講座」
「デジタル美塾 まんが背景の描き方講座」。
学生時代、漫画研究会で出会った彼が本を出した。ホビージャパンからの出版だ。これは本当にすごいことだ。
また、その帯にも注目。「ハヤテのごとく!」の作者、畑健二郎先生の推薦文が綴られている。
「長年、アシスタントとして背景を描いてくれていた石川君の作画指南集です。週刊連載で培われた、"実践で使える技術"が詰まっています!」
プロの世界で認められ、活躍している証だ。
昔を思い出す。小学生の頃から漫画を描き、ゲームや音楽を作っていた自分。「クリエイターになる以外に生きていける気がしない」と思っていた頃がある。
親は安定を望んだ。公務員になれとまでは言わなかったが、そんな雰囲気だった。でも、そんな将来像に興味は持てなかった。
大学で漫研に入ったのは、最後のチャンスだと思ったから。そこで出会った彼と、同じ夢を追いかけた。
同人誌を作った。コピー本から始まって、二色刷りになり、最後はフルカラーまで。徹夜作業も忘れられない。
そして、あの青春18きっぷでの冒険。札幌から東京まで、2日がかりの長旅でコミケに参加したこと。お金はなくても、熱意だけは誰にも負けなかった。今では笑って語れる、青春の1ページだ。
結局、自分は地元の会社に就職した。でも、創作への情熱は消えなかった。就職後も、新たな同人漫画サークルを立ち上げたり、ゲーム制作サークルを作ったりして、クリエイティブな活動を続けた。
一方、彼は関東へ出て、プロのクリエイターとしての道を歩み始めた。
子供が生まれてからは、時間を作るのが難しくなり、創作活動からは少し遠ざかった。それでも、細々とは続けている。この文章を書いているのもその証拠かもしれない。
彼の活躍を見ると、「自分の代わりにやってくれている」ような気がして嬉しい。不思議な感覚だ。同時に、人生の分岐点でのあの選択が、別の未来へ繋がったのかもしれないと、しみじみと考えてしまう。
今回の出版は、彼の才能と努力が実を結んだ証だ。本当におめでとう。学生時代に夢見た世界の実現。これからも応援している。
そして、自分もできる範囲で何か創り続けていこう。
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