竹田剣介

北の大地に棲むsoftware engineer。 どこかの誰かに、届けばいいなと、祈りを、徒然なるままに。

竹田剣介

北の大地に棲むsoftware engineer。 どこかの誰かに、届けばいいなと、祈りを、徒然なるままに。

マガジン

  • 雑記

  • 漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜

    とにかく速く、動くコードを書きたがる新人プログラマー・緋色カナタ。 彼が書いた散らかったコードが、今、大きな問題を引き起こそうとしていた。 そんな中、型破りなコンビが彼の指導に名乗り出る。 「これより、漆黒のリファクタリング術を伝授しよう」 厨二病全開の天才エンジニア・九十九アキト。 「もう!また厨二病発症して......でも、私も付き合ってあげるわ」 完璧主義の女神・天野リコ。 トランザクション管理は深淵の如く。 ドメインモデルは混沌の渦。 そして迫り来るクリスマス商戦。 暴走する炎は、光と闇の導きによって、 真に輝かしきコードへと昇華できるのか。 技術の先に見出す、成長の物語。 エンジニア青春×リファクタリング小説、開幕――。

  • 漆黒のプルリクエスト

    小説『漆黒のプルリクエスト』 「コミット、プッシュ、マージ──その先に待っているのは、想い人からのApproveだった」 真面目なのに厨二病エンジニアの彼と、天才的なコードを書く彼女。 共同開発の日々が紡ぐ、ちょっぴり切なくて心温まるストーリー。

  • 日記

最近の記事

鼻歌の魔法 ― 大きな問題が小さくなる時

スマートフォンの画面に浮かぶ旧友の名前を見つめている。4年も会っていない。画面が暗くなり、また指でタップして明るくする。こちらからお願いがあるのに、なぜだかその一言が踏み出せない。 「連絡する」というただそれだけの行為が、途方もなく難しい課題に思えてくる。画面のメモアプリを開き、慎重にリストアップを始めた。 「文面の検討」「送信のタイミング」「返信の想定」 そこからさらに枝分かれしていく。 「断られた場合の対応」「代替案の用意」「関係性への影響」 タスクを細分化する

    • 優しさは、空から降りてこない

      スマートフォンの画面を上下にスクロールする。SNSのタイムラインには、成功者たちの「思いやり」の言葉が流れていく。名門大学を卒業し、華々しいキャリアを築きながら、「社会の分断」を説き、「異なる階層の人々の気持ちが理解できる」と語る彼らの言葉。でも、どこか違和感が残る。 リモートワークの部屋から見える街並みは、決して華やかではない。でも、実直に生きる人々の姿がある。コンビニで働く学生、深夜まで営業するラーメン屋の店主、早朝から動き出す工事現場の作業員。彼らの存在は、決して「理

      • 【短編小説】リモートワークのとある風景

        朝の職場のチャットには、いつもちょっとした独り言が流れている。「今日は早起きできた」「二度寝してしまった」。そんな他愛もない一言に、誰かが眠そうな顔の絵文字をつける。返信でもなく、リプライでもない、ただそこに残された小さな反応が、新しい一日の始まりを告げる。 午前中、私は分報チャンネルに「昨夜のゲーム、ボス戦で負けて一時間溶かした」と書き込んだ。すると誰かが「あるある。私も先週やられました」と返してくる。画面の向こうの誰かと、同じような時間を過ごしているような感覚が、不思議

        • 祈りのような言葉を、誰かの心へ

          部屋の窓から、11月の夜空を見上げる。仕事を終えた後の静けさが、書斎を包んでいる。スマートフォンの青白い光が、闇を柔らかく照らす。窓の外では、いつの間にか木々の葉が落ち、冬の気配が忍び寄っている。 noteのタイムラインを眺めていると、無数の物語が流れてくる。知らない誰かの日常や、思索の断片。それは、まるで夜空に浮かぶ星々のように、それぞれが小さな光を放ってる。名もない書き手たちの言葉がある。彼らの文章には不思議な温かみがあって、読んでいると穏やかな気持ちになる。 かつて

        マガジン

        • 雑記
          13本
        • 漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜
          2本
        • 漆黒のプルリクエスト
          1本
        • 日記
          5本

        記事

          ひとしずくずつ進んで、曖昧性と向き合う

          波のように寄せては返す日々の中で リモートワークの朝は、パソコンの画面に向かい合うところから始まる。メールが次々と届き、チャットの通知が鳴り、画面の中の小さな波が寄せては返す。 ダイニングから子どもたちの朝食の音が聞こえ、スケジュール帳の予定も、企画書の締め切りも、子どもの習い事も、すべてが小さな波となって次々とやってくる。 その流れに身を任せつつも、ひとつずつ整理していく。それが前進への鍵になる。 霧の向こうにある形を探して 画面の向こうの関係者から「新しい機能が

          ひとしずくずつ進んで、曖昧性と向き合う

          私のnoteに通奏低音のように響くテーマ。 「観察すること」「よく見ること」 子供の表情の変化も、街角の小さな発見も、空の色の移ろいも。 全ては「よく見る」ことから始まる。 デジタルも現実世界も、じっくり見つめる。 この奏でられ続ける低音が、私の人生の伴奏になっている。

          私のnoteに通奏低音のように響くテーマ。 「観察すること」「よく見ること」 子供の表情の変化も、街角の小さな発見も、空の色の移ろいも。 全ては「よく見る」ことから始まる。 デジタルも現実世界も、じっくり見つめる。 この奏でられ続ける低音が、私の人生の伴奏になっている。

          パンツ一丁の見巧者

          友人とチャットで話していた時のことだ。グラフィックボードの修理に挑戦したという彼は、事態を面白おかしく表現してこう言った。 「まぁ、結局のところ、パンツいっちょのおっさんが風呂場でPCを前にこねくり回してるだけさ(笑)」 私は笑いながらも、こう言った。「違うんだよ。そう見える人がいたとしたら、その人の解像度が足りないんだ」 PCのことなど何も分からない彼は、それでも考え抜いていた。 埃が舞わないよう、風呂場を選び、 静電気を起こさぬよう、パンツ一丁に。 ——それは初心者

          パンツ一丁の見巧者

          【小説】漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜第2章:漆黒の指導

          (第1章はこちら↓) 「まずは、汝の実装の根底にある闇を理解せねばならん……」 翌日の朝、九十九アキトは会議室のホワイトボードの前に立っていた。横には天野リコ、そして真剣な面持ちで座る緋色カナタ。 「あの、闇神さ……九十九さん」緋色が恐る恐る質問する。「トランザクション分けた方が、処理は速くなりますよね?」 「ふむ」九十九は腕を組む。「確かに個々の処理は早くなる。されど……」 「それじゃダメなの!」天野が遮る。「まず、注文処理に必要な責任の範囲を考えましょう」 天

          【小説】漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜第2章:漆黒の指導

          【小説】漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜序章:暴走の予兆

          <あらすじ>とにかく速く、動くコードを書きたがる新人プログラマー・緋色カナタ。 彼が書いた散らかったコードが、今、大きな問題を引き起こそうとしていた。 そんな中、型破りなコンビが彼の指導に名乗り出る。 「これより、漆黒のリファクタリング術を伝授しよう」 厨二病全開の天才エンジニア・九十九アキト。 「もう!また厨二病発症して......でも、私も付き合ってあげるわ」 完璧主義の女神・天野リコ。 トランザクション管理は深淵の如く。 ドメインモデルは混沌の渦。 そして迫り来

          【小説】漆黒のリファクタリング 〜深淵なる整理整頓〜序章:暴走の予兆

          ソフトウェアエンジニアとして熟達するとはどういうことか

          最近、為末大さんの熟達論を読んでて、「おや?」と思った。陸上選手の話なのに、なんだか妙に心当たりがある。 というか、完全に自分のことを言われてる気がする。怖い。 為末さんは、熟達を説明するのに面白い比喩を使っている。OSとアプリケーションの関係だ。 これ、エンジニアにはドンピシャな例えですよね。 ソフトウェアエンジニアリングという技能は、確かにアプリケーションみたいなものだ。 そして、それを動かしているOSは誰だ? そう、私たち自身だ。 しかも面白いことに、このOS

          ソフトウェアエンジニアとして熟達するとはどういうことか

          新人エンジニアのための探究の始め方 - 好奇心が育てる技術との対話

          序章 技術との付き合い方 - 全体の見取り図この図は、これから説明していく「技術との付き合い方」を一枚の見取り図にまとめたものです。 技術との2つの異なる向き合い方が示されています。 BADの付き合い方は、完璧を目指そうとして、かえって自分の可能性を狭めてしまいます。 一方、GOODの付き合い方は、好奇心を持って一歩一歩進んでいくことで、着実な成長を実現しています。 今は細かいことは気にせず、この先を読み進めながら、時々立ち返って見てみてください。 第1章 探究する

          新人エンジニアのための探究の始め方 - 好奇心が育てる技術との対話

          【小説】漆黒のプルリクエスト

          <あらすじ>「これより、暗黒プログラミングの刻が始まる……」 スタートアップのオフィスに響く、痛々しい独り言。 厨二病全開のエンジニア・九十九アキトの前に、思いもよらない存在が現れた── 完璧な実装しか許さない東大主席・天才プログラマー・天野リコ。 コミットメッセージは闇の宣言文。 変数名は漆黒の呪文。 コードレビューは深淵からの挑戦状。 「もう!そのコード、普通の命名規則で書き直しなさいよ!」 「ふふ……賢者よ、我が漆黒の実装の真意が読めぬか……」 けれど、九十九

          ¥200

          【小説】漆黒のプルリクエスト

          ¥200

          組織における世代間対話の作法 〜自己受容・感謝の心・人事を尽くして天命を待つ「南無三」の精神〜

          最近「方針に納得できない時のお作法」という記事を目にした。 https://konifar-zatsu.hatenadiary.jp/entry/2024/11/05/192421 上記の記事は、「組織の中で生きる作法」「世代を超えた対話をどうしたらいいか」という問題に向き合っている。 最も重要な点として 「全員が納得できる解決策が常に存在するわけではない」という現実の受け入れ。 興味深いことに、この記事への若者の反応は 「年寄りの考えだ」「知ったことじゃない」 と言

          組織における世代間対話の作法 〜自己受容・感謝の心・人事を尽くして天命を待つ「南無三」の精神〜

          【日記】平成16年のギャルから学んだ、私たちの"知ったふう"な評価の危うさについて

          2024年10月22日(火) 今日は、下記のようなことを朝ドラ「おむすび」を見て学んだ。 ・自分にはわからない努力をみんなしている ・それを知ることはできないのに、知ったふうに人を評価しがち ・知識が増えれば、見え方は変わっていく お昼のテレビで橋本環奈に似た女優さんが出てきて、なんだか懐かしい雰囲気に引き込まれた。てっきり一昔前のドラマの再放送だと思っていた。 B'zのオープニングに「何だ?ひと昔のドラマ?」と思いながら見ていたら、これが今放送中の朝ドラ「おむすび」

          【日記】平成16年のギャルから学んだ、私たちの"知ったふう"な評価の危うさについて

          【日記】カラフルな気持ちを忘れずに〜ある日の授業参観にて

          2024年10月19日 土曜日 今日は学校の授業参観だった。朝早めに起きて、コーヒーを飲んで、上履き用意したり、身支度をした。子供の成長を間近で見られる貴重な機会。 校門をくぐると、懐かしい空気が鼻をくすぐる。他の保護者たちの姿が目に入る。みんなおしゃれでカジュアルな服装をしている。昔は授業参観だというのに、まるで冠婚葬祭にでも行くかのような正装で来ていた時代があったんだよなあ。時代の変化を感じて、少し感慨深い。 我が子のクラスを見学した後、少し時間があったので他のクラ

          【日記】カラフルな気持ちを忘れずに〜ある日の授業参観にて

          【日記】鏡の向こうの自分、美容室で考える仕事と創作の境界線

          2024年10月17日(木) 美容室から帰ってきて、ふと思った。この1ヶ月に一度の美容室通いって、いつの間にか自分の思考を整理する大切な時間になっていたんだな、って。 髪を切りながら、仕事のこと、趣味のこと、人生のこと。普段の忙しさに埋もれがちな自分の本当の思いや、新しいアイデアが、ハサミの音とともに浮かび上がってくる。 美容師さんとの会話がきっかけで、いろんなことを考えさせられた。 カットが始まって15分ほど経った頃、いつもの美容師さんが話しかけてきた。 「最近、お

          【日記】鏡の向こうの自分、美容室で考える仕事と創作の境界線