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竹花 美里
2024年3月30日 19:53
小説をちゃんと書き始めて、丸1年が経ちました。ほんの数文字で伝えられる言葉を物語にのせて、何十万字もかけて伝える行為は、とんでもない所業です。小説家って、正気じゃないと思います。言葉ではない芸術、言葉がなくても伝わる信頼関係、とても素敵なことだと思う。言葉がいらないことは、なんだかとても善いことのように描かれがちだ。でも私たち物書きは、言葉にしか頼れない。世の中に張り合う術が、これひと
2024年3月21日 15:07
お盆を少し過ぎた、8月末。 秋が近づくというのに、汗が噴き出るほどの暑さだった。山奥にある母の実家に、遅めの墓参りに来た。 「先祖代々之墓」と記された墓石の側面に、文字が見えた。《昭和一九年三月廿一日 ブーゲンビル島に於て戦死 俗名 村上 農夫也》 この戦いが始まり、どれほどの年月が経っただろう。運よく、いやもしかすると運悪く、なぜか私は生き残っている。 敵兵と直接交戦した経験は