見出し画像

「空海」をめぐる3つの旅|中編(奈良国立博物館でマンダラを)

空海をめぐる旅。京都・東寺で「立体曼荼羅」を見たあとは、近鉄で奈良へ移動します。

京都・東寺

▼前回(といっても同日のことなんだけど)の旅はこちら

東寺から、近鉄東寺駅までは徒歩3〜4分程度。

東寺
東寺餅

近鉄東寺駅から近鉄奈良駅は50分弱で到着します。本気出せば神戸から日帰りで京都にも奈良にもいっぺんにいけちゃう、それが関西のすてきなところ。

近鉄奈良駅

わたしが奈良に来た理由

奈良に来た目的は、奈良国立博物館で開催されていた「空海 KUKAI 密教のルーツとマンダラ世界」展を見るためでした。(2024.4.13-6.9 ※会期はすでに終了しています)

空海展

大学院のレポートで空海について書かないといけないときに「空海」にまつわる展示が行われているというこの奇跡。

奈良は外国人観光客でにぎわう奈良公園

奈良はたくさんの外国人旅行客で賑わっていました。この前に奈良にきたときとまるで違う光景に驚きます。そう、あれは2022年だったかな。コロナはあけたけど、まだそんなに観光客がたくさんいなかったころ、わたしは友達と奈良へ日帰り遠足に行ったのでした。

そのときの奈良公園はとてもゆったりしていて、シカがいっぱいで(それは今もだけど)、お昼ご飯を食べるところを探すのにも苦労したことを覚えています。あのときから2年がたって、世界はどんどん動き出しているんですよね。

世界が動き出したことにも関係があるのでしょうか、前回の奈良旅で感じた、「異世界への入り口がそこいらにちょいちょいある感覚」は、今回は少し薄まっていたような気がしました。あれってあの時だけだったのか。そういえばコロナのときって、いろんな扉が開けっぱなしになっていたような感覚がありましたよね。(個人の感想です)

奈良公園といえばおシカ様
おシカ様といえば奈良公園

あいかわらずおシカ様でいっぱいの奈良公園を通って、奈良国立博物館へ。

奈良国立博物館へ

日本の4大国立博物館といえば、東京国立博物館、京都国立博物館、九州国立博物館、そしてこの奈良国立博物館ですよね。

奈良国立博物館

もちろん、奈良国立博物館にも当たり前のようにシカがいます。それはそうですよね。だって、奈良だもの。

奈良地方裁判所にもシカ。

このシカのいる原っぱはじつは
奈良地方裁判所の前庭でした

奈良国立博物館にもシカ。

奈良といえば、シカ。奈良のシカって、吉本新喜劇のような安心感がある。ここで階段がすべり台になるとか、ここでドリルすなとかの「お約束」が、ちゃんと守られていることへの安心感。

奈良国立博物館

空海展へ

それではいよいよ、空海展へ参りましょう。

空海KUKAI 密教のルーツとマンダラ世界」展

さて、ここで少し空海についておさらいしておきましょう。空海は呪術を操る密教会のスーパースターでした。すんごいカリスマです。

空海(774ー835)は讃岐国(香川県)生まれの密教の僧侶。唐へ留学し、和歌山県の高野山に真言宗の寺院をひらきました。

空海さんってどんなひと?
空海さんは、平安時代のはじめに活躍したお坊さん。中国から密教を日本に伝え、広めたスーパースターだよ。
・書の才能は天才的(三筆の一人)
・中国語もできます
・教えをまとめた著作もたくさん
・数々の奇跡の伝説

奈良国立博物館 生誕1250年記念特別展「空海」展 鑑賞ワークシート(ジュニアガイド)より

そんな空海、晩年は「弘法大師」と言われるだけあって、字がめちゃくちゃうまいのです。書の才能は天才的です。「弘法は筆を選ばず」「弘法にも筆の誤り」ということわざにもなるくらい字がうまいんですね。

今回の展示、空海の書の展示もたくさんあったんですが、これがもうめちゃくちゃうまいんですよ。うまいっていうかね、もはやデザイン的に美しいの。これは本当にびっくりしました。わたしは書のことはわからないのだけど、それでも明らかに美しいと思いました。見ていてとても気持ちがいいのです。そう、美しさというのは「見ていて気持ちが良いものなのです」ね。

エントランスには、空海の書の垂れ幕もありました。

右:空海の書

空海は、804年に唐(中国)へ留学し、密教のお師匠さんである恵果から密教のすべてを学んで日本に帰ってきました。そしてその際、密教を伝えるため曼荼羅や法具などを唐からたくさん持ち帰ってきます。

空海は「密教は奥深く、文筆で表し尽くすことが難しい。そこで図や絵を使って悟らないものに開き示すのだ」と述べました。そこで曼荼羅(マンダラ)などを使って密教の世界を伝えようとしたのです。

両界曼荼羅(高尾曼荼羅)のパネル

マンダラは、悟りへの道筋を絵と図で説いたものと言われています。今回も両界曼荼羅が展示されておりました。これが思っていたよりもうんと大きくて、迫力がありました。かっこいい!

そして、今回の空海展ですばらしかったのが、子ども向けの展示解説書です。これがほんとうにわかりやすくてよかったです。この展示には学芸員の知人も行ったそうですが、この子ども向けの解説が秀悦だと言っていました。わかりやすく書いてあって助かりました。

マンダラ、悟りへの道筋

両界曼荼羅まんだら(金剛界)悟りへのみちすじを、子ども向けの解説書をもとに説明してみたのが、以下の図になります。

ジュニア向け展示キャプションより

曼荼羅図は、悟りへのみちすじを、大日如来さまがさまざまに姿を変えながらわたしたちを導いてくださるようすを描いたものなのですって。

ちなみにこちらが五智如来坐像です。中央の大日如来さまを中心に、如来さまが勢ぞろい。

ほとけさまオールスター大集合

このマンダラを、夢や目標を叶えるために活用するのが、いわゆる「マンダラチャート」です。わたしも、新卒で入った会社ではよくこのマンダラチャートを書いていました。

マンダラチャートの書き方

マンダラチャートの書き方をまとめてみましょう。まず、マンダラチャートの真ん中に、叶えたい夢や目標を記入します。

次に夢や目標を叶えるための要素、やるべきことを2〜9に記入します。

そしてその2〜9を周囲の枠の中心のマス目に書いて、今度はその2〜9に関して必要な要素や思いつくことなどを、それぞれまわりに書き込んで行きます。

そうすると、夢や目標のために何をすべきなのかがはっきりする、というものです。

マンダラチャートを書いてみた

久しぶりにマンダラチャートを書いてみました。

わたしの最終目標は、「森の中のドレス屋に住む魔法使いのおばあさんになって、どこからか噂を聞きつけてはるばる森の奥へやってきた花嫁に、『おまえの欲しいもの(ドレス)はこれじゃな』と言いながら運命のドレスを手渡す」という夢です。どんな夢だよ。

そんなおとぎ話のようなこと実現できないでしょ、って思われるかもしれませんね。でもわたしはその夢を本気で叶えたいと思っているし、なんならいまだってそんな気持ちで花嫁さまのドレスを作っています。

まあとにかくそんな夢があるとして。

真ん中に、その夢を書きます。

使うのはスケッチブック
まず9つのマスを作る

真ん中に最終目標「森のドレス屋の魔女」と書きます。あっ、魔法使いだった。まあいいか。

森のなかの小さな小屋に住む魔女です。

そのために必要なことをまわりに書きます。

夢みたいなことをゆうとりますが、森のなかで暮らそうと思ったら、まず場所がいるし、資金も必要です。それになんといってもドレス屋ですからドレスが肝心。さらに、森のなかで暮らしていけるだけの仕事や収入なんかも考えておきたいところ。

森のなかまで運命のドレスを探しに来る花嫁は、きっとそう多くはないでしょう。となると他の仕事も考えておかないといけません。そうそう、森のなかで執筆活動ができたら素敵。

そうだ、わたしは高いところが苦手だから、木を剪定してくれる人や、手助けをしてくれる人も必要。それに、やっぱり人間ひとりでは行きていけないから、魔女といえども人とのつながりは必要でしょう。

あとは魔女だからやっぱり魔法。そうそう、運もいるよね。

というわけでこのように要素を書き出しました。

今度はそれを、周囲のマスの中央にそれぞれ書いていきます。

書いてみました

それがかけたら、ひとつひとつのマスを分解していきます。最初に、場所を分解しましょう。

森の場所をどこにするかですが、旅をしながら見つける、不動産屋をめぐる、二拠点生活や田舎移住などのアイデアが出てきます。帰省やJターン(ふるさとへの帰省の途中のまちに移住する)の可能性も。やはり親のことも気になるので、二拠点生活、Jターン説が濃厚。

そうなると、夫への説得も必要。なので、夫を「田舎暮らしはいいよ〜、完全な帰省はあれだけど、二拠点生活なんてどう? 途中の瀬戸内ならあったかいよ〜、ドレス屋のかたわらで本屋とかレコード屋さんをしてもいいし、田舎でシバ犬を飼ってもいいんだよ〜」と、夫をそそのかすのです。こちらは現在進行中。

あとネックは資金ですよね。

資金。ここが大きな問題にはなってきますが、子どもたちが自立するはずの少し先をみこして、せっせと節約、こつこつ貯金、じわじわ投資、じぶんの得意なことで収入を増やす努力、これを組み合わせて資金を得るのがいちばん手堅いですよね。魔法使いとか言ってるくせに急に現実的。魔法にはお金も必要なんだ。

ドレス屋なんで…

森のドレス屋なんで、ドレスのことも考えないと。

ひとつひとつの仕事をていねいに、美しいドレスをつくる。技術やトレンドのアップデート、SNSの活用。これも現実的な努力、これにつきますよね。あとはやっぱり、noteでドレスの記事をもうすこし書いていって、もうすこし全国的に知られる工夫や努力をしていかないとね。森のなかに引きこもってもたまに訪ねてきていただけるようになるには「ドレスのリメイクといえばこの人」というような大家になることも考えていかないと。

あとちょっと、ワクワクするような目標もひとつ。ヴィンテージドレスを仕入れにイギリスに行きたいなあ。

と、このように分解していって、チャートが完成しました。

魔法がつかえるためには

わたしは、魔法使いになりたいんです。ドレスの魔法使いになりたい。ドレスでまほうがつかいたい。

「魔法みたい」と花嫁さまに言ってもらえるように。

それにはどうしたらいいのでしょう。

自然にふれあって、美しいものを見て、たくさん感動して、好きなことをして、人知れず努力するしかないのだと思います。

わたしね、シンデレラの魔法使いは、魔法でドレスを一瞬で変えたけど、じつはあれ、時間を止めてただけじゃないかってつねづね思ってるんです。たぶん時間を止めて、その間に必死で縫ってつくってるはず。

魔法使いも人知れず努力してるんじゃないかと思うんだけど。って、17歳の娘に言ったら、

「じゃあ完成した魔法を目に見えるようにしないと」

って言われて、その通りだなって思いました。

「魔法を可視化する」そこが、わたしの課題です。

アトリエの壁に貼っている羊文学「まほうがつかえる」のポスター。
わたしはドレスでまほうがつかいたい

そして

チャートを書いて出てきたこと。

note

note創作大賞。

あまりにも、大学院が大変すぎて、創作大賞どころか通常のnote記事ですらしばらく投稿できていませんでしたが、やっぱり書こうと、思えたのでした。書きたいことは、あるんです。

マンダラチャートを書いてみたら、note創作大賞が出てきた。

森のドレス屋を叶えるために、遅ればせながら、今から頑張って書こうと思います。急がないと!

まとめ

空海展に行って曼荼羅図に感動し、じぶんでもマンダラチャートを書いてみたら、やるべきことが見つかって、おとぎ話みたいな夢もなんだか叶いそうな気がしてきた。でした。


最後までお読みいただいて、ありがとうございました。


みなさまもマンダラチャート、やってみてください!



だれにたのまれたわけでもないのに、日本各地の布をめぐる研究の旅をしています。 いただいたサポートは、旅先のごはんやおやつ代にしてエッセイに書きます!