見出し画像

コミュニケーションをオンライン・オフライン、同期・非同期で考える

最近、ウェブ会議で一緒のお弁当とかお菓子とかを食べてるんだよねーという話を立て続けに聞きました。

同じ釜の飯のオンライン版みたいだなぁと思ったので、今回はこの話題について色々と考えてみます。


緊急事態宣言も終わりました。とは言え、完全には元に戻らないよねというのは、いろんなところで言われています。小さいながらも1つの組織の責任者として、考えざるを得ないのは「在宅勤務」の対応です。在宅勤務の対応というよりかは、『オンラインとオフラインの使い分け、ハイブリッドのさせ方』という表現の方が適切なのかも知れません。

私は個人的には、ガンガンオンラインでやっちゃっても良い派なわけですが、多くの人と話していると、どうやらそうでもないらしいです。小難しく言うと、

オンラインでコミュニケーションは取れるけど、インタラクションは取りにくい(オフラインの方が取りやすい)

違う言い方をすると、

オンラインは、情報の伝達はしやすいけど生成は苦手

ということらしい。

コロナの前から海外プロジェクトを毎回F2Fでやっていたわけではないので、苦手と言うことであって、できないということではない。Miroなどのワークショップをオンラインで効率するために進めるツールもみんなかなり利用できるようになってきている。ただ、完全オンラインだと効率が上がりきらない、アウトプットの質が上がらないことがあると言うことのようです。

慣れの問題なのか、本質的な問題なのか、よくわからないのですが、組織責任者としては、アウトプットに対して効率が悪くなる、質が悪くなると言うのであれば、解決すべき大問題なわけです!!笑

というわけで、最近専門家の方の話を聞く機会や議論する機会が何度かあったので、この問題に対する情報の整理を一度しておきたいと思います。私の中で答えは出ていないので、是非批判も含めたコメント頂けるとありがたいです。

オフラインの中でもF2F、つまり「会う」とは何なのか?

オフラインを情報の場所が移動しないと考えると、その代表はF2Fで会って話すということになります。会うということに対して、昨日まで行われていたWIRED Conferenceで宇川直宏さんが直球の表現をされていました。

会うというのは、空間を共有する。スゴイ解像度で共感できる。

これは、間違いないですね。同じ場所にいて、同じ景色をみて、だからといって同じ認識・解釈をしているわけではないのですが、少なくともインプット情報が同じになる。というのは、ある意味で前提条件が同じになるので、確かに色々と進めやすくなりそうな気がします。

別の大学の先生は、こうも言っていました。

空間の一致性が高いと、信頼性や安心感が出やすい

これは同じことを心理的な効果の側面から表現されているのかなと思います。

ただし、この大学の先生の表現が面白いなと思うのは、「一致度」という表現を使われたことです。つまり、0か1かではないということです。オフラインは完全に一致だから1、オンラインは0という話ではないのです。オフラインであろうと、一致度を上げることができれば、信頼感や安心感というオフラインと同様の心的効果を産み出すことができるかもしれません。

一緒のご飯を食べる

どうやって空間一致度を上げるのか?

この答えは私自身はまだ持っていません!ただし、色んな方とお話ししていると、結構有効そうなのは「食べる」という行為です。

・ランチミーティングで敢えて同じ弁当をデリバリーしてみる
・ワークショップの休憩時間に同じおやつを食べながら雑談する

などです。

なんだそれだけかよ!と思われる内容ですが、確かに同じモノが存在することで、少しではありますが、物理的な空間一致度は上がっています。

それだけで、オンラインの壁を超えて、アウトプットのスピードや質が上がるなら、なんと素晴らしい!!もちろん、完璧ではないと思いますが。笑

もしかすると、オンライン旅行で食事がついているのも、同じような効果があるのかもしれませんね。こちらは単価が上がるという意味もあるかもしれませんが。

『同じ釜の飯を食う』という表現は、暮らしレベルの空間の一致度を高めることで、帰属意識や信頼関係を構築していくという意味で使われます。

週刊ダイヤモンドの記事によると、『脳内に分泌されるホルモンで、不安時に出るホルモン「コルチゾール」の発生を抑制し、信頼関係を強める効果があるという。最近の研究から、友人や同僚が一緒に食事をし、話すなどしてその場で良好な関係になっていくと、オキシトシンの分泌が増える傾向があることが判明』とまで書かれています。

Web会議やオンラインワークショップで、同じ釜の飯を食う効果がどれくらいあるのかが科学的に研究されているかはわかりません。無いよりはあったほうが良いくらいの効き目はありそうな感じはします。特に、何かを一緒にやりはじめるときなど動き出すときや創り出すときには良いかもしれません。

同期と非同期、双方向と一方向


ここまではオンライン、オフラインの話をしましたが、この類の話になるときによく出てくる切り口が同期か非同期かという話です。

コミュニケーションや情報の専門家ではないので、正確な定義は分かりませんが、情報の送り手側と受け手側が常に状態が同期型、タイムラグがあるのが非同期型という感じでしょうか?

リアルに会って会話したり、Zoomで打ち合わせするのは同期型だし、メールやslackは非同期型。昔からある手段だと、電話は同期型、手紙やFAXは非同期型。

先ほどまでのオンライン/オフラインの切り口と2軸で整理をすると、以下のような感じでしょうか。

画像1

非同期型になると、双方向性が落ちるので、インタラクションは取りにくくなるような印象です。そのような形で、当然それぞれの領域でメリット・デメリットがあるわけですが、ざっくりいうと場所的制約と時間的制約により以下のようなイメージになると思います。これまでのF2F会議は、時間と場所が拘束されるけど、空間一致度が一番高いというような形になるでしょう。

画像2

なにが良いとか悪いとかではないので、様々なタイプを目的や状況に応じて使い分けていくとかハイブリッドさせていくというのが今後のスタンダードになっていくわけですが、ここで面白いなと思うのが、「オフライン×非同期」というエリアが割りと薄くなっているのではないかなという点です。

補足10/16:オフライン×非同期を空白と書きましたが、置手紙とか遺言とかは該当しますね。

この点を先日指摘したのが、山崎亮さん。まさに同様の切り口で、この「オフライン×非同期」というエリアの使い方が大事になってくるというような指摘をされていました。コミュニティデザインのプロフェッショナルなので、リアルの場、例えば地域の集会所のような人が入れ替わり立ち替わり訪れるような非同期的な場所を、どのようにマチづくり、コミュニティづくり、人間関係作りに使えるのかを考えたりされているのでしょうか。

図で表現してみると、確かにその重要性に対して、特にテクノロジーの打ち手が少ない領域であるなと思いました。何かおもしろいこと考えたくなってきますね。笑


というわけで、結論のないコラムのようになってしまいましたが、今週はこのあたりにしたいと思います。

では、また来週~。

「フォロー」や「ハートマーク(スキ)」を押して頂けると喜びます。笑
安藤健(@takecando)

==================

Twitterでは気になった「ロボット」や「Well-being」の関連ニュースなどを発信しています。よければ、フォローください。



頂いたサポートは記事作成のために活用させて頂きます。