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第4回 FROM —それぞれの日本画— 同時開催 桜百景 vol.35
中目黒の郷さくら美術館へ。
見に行こうと思いつつなんだかんだで日が過ぎてしまい、最終日ギリギリに。
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郷さくら美術館はとても居心地の良いところで気に入っている。
入り口の係の方もいつも丁寧で親切だ。
1階~3階まであるが、いつも階段でぐるぐる何周かしてしまう。もちろんエレベーターもあるからそれを使うこともあるけども、なんとなく階段の雰囲気というか、デザインも気に入っていてぶらぶらと歩いてしまう。
そして、各階で気にいった作品と出会うと、座ったり立ったりしながらずっと眺めていることが多い。
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実際の夜の森はどこか恐ろしさを感じる。この絵もそうした夜の雰囲気はありつつも、月明かりのように照らされているような部分が混ざり合って、恐ろしさは感じない。むしろ、静けさだけが残る。
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今回、一番興味を惹かれた作品。
実際の杉板に描かれている。板版そのものが木をより感じさせつつ、さらに縦に流れるように走る木目が雨のような滝のような。なんとも美しかった。
また木目自体も金色のように光っているが、よく見ると、何か少し立体的な横線が木目に走っている。
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キャプションには絹とあった。もしかすると、ここに絹が使われているのではと思った。これがまた、縦の木目に細かい横線といった、縦軸横軸の織物のような柔らかさを少し感じさせるような。
つい、うーんと唸りながら眺めてしまった。
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以前にも別の絵を見て気に入っている野地さんの作品。大きい作品ということもあるが、フロアに入った瞬間から自然と目がいってしまう。
これもまた何回か眺めてしまった。青の使い方、それから木と雪。なんとも魅力的だ。特に枝の描き方が素晴らしいと感じた。
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そして、作品の端の方では風とそれに舞う粉雪を感じさせる。
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面白いのは細い枝の線と、まだ緑の葉を残しつつ、雪が積もっている樹木が重なり合うように描かれているところ。
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ただ、静かに眺めていることができる。
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帰りがけに野地さんの画集が販売していたので購入する。作品を見ている時にも感じたし、画集を見るとよりそう思ったが、東山魁夷と作風が似ているということ。
もちろん違うかもしれないが印象としてはそう感じた。例えば画集の中に、”碧色の海”がある。以下が公式サイトのリンク。
この色使いなど。
そして共通しているのは、静けさを感じるということ。
違いがあるとすると、野地さんの方が今風というか(現役で活躍中の方なので当たり前と言えば当たり前かもしれないが)、少しデザインというか装飾的な感じがすること。悪い意味ではなく。
それは今回出展されていたもう一つの作品などからも感じたし、画集では両開きで”碧色の海”が掲載されており、そこには子供が描かれている。こうした点が何か東山魁夷とは異なる点なのかもしれないと想像した。
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どちらにしても画集は買って正解。帰宅してからもぼんやり眺めている。
最後に野地さんの画集と一緒に購入したのが、「乾 露予 作品集 ー追悼の意を込めてー」。販売コーナーに陳列してあったのを見て、ふと手にとった。
冒頭、お母様の”娘への想い”とした文章があった。まだ若い子を病気で先に亡くした悲しみはいくばくだろうと思った。知り合いではないものの、御冥福を祈らずにはいられなかった。
そして、ページをめくり、作品を見ていく。
年代ごとに作品が掲載されているため、乾さんの軌跡を辿れるような1冊となっていた。
初期は少し暗い色調が多い印象。そして、2011年頃から主題になる色を全体に煌めかせるような描き方になっていた。特に、2013年「バラ」は黄色がメインとなった素晴らしい作品だなと思った。
最後は、2017年「春の輪」で終わっている。
作品集の初めに年表と言えばよいか、「―絵画との歩み―」として乾さんの足跡が記載されているが、ちょうどこの2017年の冬から手や指の震えから絵が描けなくなったとある。恐らく最後の作品だったのではないかと思った。
「春の輪」。
しかし、そこには煌めくような”春”はない。あるのはどこか夜の静けさ。
春の”輪”。
他に”輪”のような作品は無い中で、読み返すと2010年「花明り」は”輪”を描いたような作品だった。そして、こちらは緑と白、そして花の黄色と初夏の光を感じさせる作品。何か対になるような2つの作品だな、と思わずにはいられなかった。
素敵な作品をありがとうございます。きっと、もっと多くの作品を描かれたかっただろうと想います。改めて御冥福をお祈りいたします。
最後に他に気になって撮影した作品を掲載して終わろうと思う。
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