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(小説集) 剣鬼悪辣

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よく分からん奇行短編小説と、連載長編小説です。 暴挙とも思われる事を書いてしまうが、それすら誰かの救いになるのなら、我悪辣の名の下に、太刀を振るう事鬼の如し、そういう事です。
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telecasterの外の夢(3)

telecasterの外の夢(3)

拓が変な事を言い出した。
2人で旅行に行こう、なんて言うのだ。拓と理沙はじゃなくて、拓と僕で。ちょっと気が触れたんじゃないかと僕は思った。
自分の休みを強引に作り、僕にその日休めと言わんばかりにその場でホテルを予約して、本当に拓は逃げられない状態にして、半ば強引に決めた。しかも、まさかの上野。日帰りで終わるその行程を敢えて無視して、ビジネスホテルの予約をとった。
理沙はもちろん不満顔だったし、僕は

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telecasterの外の夢(2)

telecasterの外の夢(2)

9月の初めに、理沙からlineが来た。少し、話が出来る?とそれだけ。僕は少し後ろめたい気持ちがしたが、ほぼ毎日会っているのに、二人では会えないというのもおかしな話のような気がして、良いよ、と短く返事をした。正直強がりだ。
最寄駅でも僕の部屋でも何でもなく、渋谷。東急百貨店の方向に、渋谷を避けるように歩く、渋谷。そこのコーヒーショップで会うことにした。

理沙は喫煙ルームにいた。居るだけで灰皿は置い

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telecasterの外の夢(1)

telecasterの外の夢(1)

見る気もないテレビを流しながら、コーヒーを喉に流し込んで、煙草に火を点ける。2DKの部屋に2人で住み始めて1ヶ月が経った。
拓の前では大っぴらに吸えない。拓もきっと同じで、僕がいない時にしか、出来ないことがある。
お互いの影に干渉しない。そういう小さい決まりを作ってやっと今完成しつつある。

扉の閉まる音が密かにした。拓はいつもマーチンを脱ぐのに時間がかかるから、まだ土間にいる。

おつかれ、どう

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