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人生を強引に前に進める法

「準備が整ったら」「お金が貯まったら」「スキルが付いたら」

そういうセリフをよく聞きます。ぼくも言いがちです。

たとえば転職するとき、独立するとき。

「もうちょっと結果が出てから……」「もうちょっとお金を貯めたら……」みたいなことを思うわけですが、これだとなかなか人生が前に進んでいかないんですよね。

そもそも「万全な準備をする」というのはむずかしいことです。

「500万円貯まったら独立しよう」と思っていてもいざ500万円が貯まると「いややっぱり1000万円くらいないとダメなんじゃないか」と、どんどん先延ばしになってしまう。

そうやってなかなか前に進んで行かないということはよくあります。

「鶏が先か、卵が先か」問題に決着をつける

ぼくは小さな会社をやっているわけですが、今後もより多くの人に価値を提供していきたい。もう少し会社を大きくしたい。そう思っています。

でも「まずは社員が増えてからお客さんを増やさないとキャパオーバーするからな」という思いがあります。

一方で「いやお客さんが増えないことには社員を増やしても食べていけないしな」とも思っている。

「まずはお客さんが増えてから」「いやいや社員をまず増やしてから」とつねにグルグルしています。

いわゆる「鶏が先か、卵が先か」問題ですね。

転職や独立も同じようなロジックじゃないでしょうか?

「準備ができたら独立しよう」と思っていても、独立してみないとわからないことはたくさんあります。「スキルがついたら転職をしよう」と言っても「転職したからスキルがつく」ということもあるでしょう。

この「鶏か卵か問題」。これに答えを出している人がいたのでちょっと紹介します。

大手PR会社「ベクトル」社長の西江さんが書いた『戦略PR代理店』という本にこんなエピソードが出てきます。

西江さんは大学時代にイベント会社をつくって、いろんなところで大規模なパーティーをやってたそうです。パーティーをやるには、広いイベント会場をおさえる必要があります。一方でパーティーをやりたい学生サークルのネットワークもつくらなくてはいけません。

ここで「鶏か卵か問題」が発生します。

つまり、大きなイベント会場を用意してもパーティをやる学生を集められなければ無駄になってしまう。逆に、パーティをやりたい学生だけを集めても広い会場がなければ実現できません。

人を集めてから会場を手配するか? 会場を用意してから人を集めるか? そんなことを考えていてはなかなか話は前に進んでいきません。

西江さんが出した答えは「いっぺんにやるしかない」ということでした。つまり会場をおさえながら一方で学生も集めるということです。

そのときに「ああ、鶏と卵は同時に進めればいいんだ!」と気づいたらしいです。その後も「鶏か卵か問題」が起きたらこの「同時にやる」作戦をとることで会社はどんどん大きくなっていったといいます。

この考え方、使えるなと思いました。

社員を増やしてからお客さんを増やすか? お客さんを増やしてから社員を増やすか? ではなくて「社員を採用しながらお客さんも獲得していく」。そうやって同時にやることで、人生はグイグイ前に進んでいくのかもしれない、と思ったんです。

人生は「見切り発車」でうまくいく

鶏と卵を同時にやる。

それはどこかのタイミングで「見切り発車をする」ということになるかもしれません。

「見切り発車」というのはあんまりいい文脈で使われません。でも見切り発車のほうが結果的にうまくいくことも多いのではないかと思うんです。

サイバーエージェントという会社は今では立派な大企業です。

しかし設立当初は結構グダグダだったことが藤田晋さんの著書『渋谷ではたらく社長の告白』に書いてあります。

創業当初はインターネット事業の「営業代行」を主にやっていたサイバーエージェント。ただそのモデルではあまり儲からないことに気づいた藤田社長は、自社サービスをやることを決意します。

藤田さんは「クリック数に応じて広告料を払うサービス」をやろうと決め、サービスがまだできあがっていない段階で受注をバンバンとってきたのです。まだサービスが影も形もないのに、です。

それからあわてて自社開発するわけですが、当然ながらしょぼいものしかできませんでした。そこでホリエモンの会社に開発をお願いすることで何とか商品ができたのですが、納品してからも不具合は続きそのたびに堀江さんがバイクに乗って直しに来るというエピソードが綴られています。

けっこうヤバいですよね。

その後、新卒社員をどんどん雇っていき、みるみる会社が大きくなっていきます。おそらく売上の規模からしたら「採用しすぎ」だったはず。でも先に社員を増やして、そこに合わせて事業を拡大していったことで急成長が成し遂げられたのでしょう。

こんなことはマネすると危険でしょうが、ちょっと無理してでもリスクを取って、それに合わせて実態を作っていく。それが強引だけれど人生をグイグイ変えていく方法なのかもしれないとも思うのです。

産まれた時点で「見切り発車」

準備万端で転職する人、準備万端で独立する人、準備万端で新規事業を始める人というのはあまりいないでしょう。 みんな少しだけ「見切り発車」でやってみて、結果的に実態が伴っていくことがほとんどだと思います。

考えてみればぼくらだって、準備万端で産まれてきたわけではありません。この世界の仕組みがどうなっているのか? はたして生き延びられるのか? その確証もなく、訳もわからず、 産まれ落ちたわけです。それでもなんとかやりくりしながら生きています。

人生にリハーサルはありません。今この瞬間も人生の本番を生きています。それでもなんとか辻褄を合わせられている。

だからこれからも「見切り発車」で始めてみて、あとから辻褄を合わせるくらいでいいのかもしれません。

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