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正しい心を維持するために-その6 (894)

7回シリーズの6回目です。

人間だれしも、良い意味でも悪い意味でも変化(生長)していきます。組織などでは、自分が助けてあげて成長した人が、自分より上位の役職につくことはあるものです。

さて、その人が(何らかの理由で)自分をひどい目にあわせたら、どのように対処すればいいでしょうか。

すでに「正しい心を維持するために-その5」で示したように反撃は無意味です。

答えは、あらためてその人を見直すことです。

禅の世界では、弟子は師匠よりも器が大きくなければならないと、よく言われます。それは、師匠は自分の受け継いだものを弟子にそのままに伝えたいと思うのですが、最低限として師匠の器とイコールとそれ以上でないと、伝えるものが溢れてしまうことになります。伝えるものがわずかも損じることなく受け渡すことを、「一器水瀉一器(いっきすいしゃいっき、一器の水を一器に瀉<そそ>ぐ)」と言います。

要するに、自分より上位についた相手は、自分よりも器が大きかったということです。そのように思って相手を見直せば、相手の力量を再確認することができます。相手の力量さえわかれば、あとはその相手を最良の師だと思えばいいのです。(または、自分も相手の力量を越えようと努力すればいいのです。)

もちろん、ひどい目にあわせている相手の真意がどこにあるかを知ることも重要です。場合によっては、何らかの誤解からひどい目にあわせていることが分かるかもしれません。

実は、人間は皆平等です。それが不平等に思える時には、何らかの理由があると思うべきです。ただただ相手のことを思いやり、慈しみの心をもって対応すべきです。やむを得ない状態(たとえば、ひどい目にあわせているのは、さらに上位者からの命令を伝えている)かもしれないのです。

ポイント:
 ・人間平等だと理解して、慈しみの気持ちで対応する。
 ・ひどい目に合わせるのは理由があると理解して、
  ひどい目にあっていること自体は受け流すようにする。

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