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人格の一要因である「おくゆかしさ」(913)

洗練されていて上品とか、 深い心遣いを感じるという意味の「おくゆかし」の漢字は、「奥床し」と書きます。「奥」は深いという意味だろうということがわかりますが、なぜ「床し」と書くのでしょうか。

「床しい」を調べてみると、
  1.上品ですぐれており、しとやかで気品がある。
   おくゆかしい。どことなく心がひかれるようである。

  2.何となくなつかしさが感ぜられる。
   (この場合、懐しいと書くことがある。
   「古式ゆかしい」と使われることが多い。)
とあります。

さらに項1については、「床」は音からの当て字であるとの説明があります。もともとは、動詞「行く」の形容詞化だったと言います。だから、「おくゆかしさ」は人や人為的なものに対して用い、「どことなく心ひかれ、そこに行きたいと思う(知りたい・見たい・聞きたい)」という意味になるわけです。

「おくゆかしさ」が人格の一要因になりうるのは、(奥にひそんでいる) 優美で洗練されていて上品に感じるがゆえに、その人のことに強く心がひかれるからなのでしょう。

「おくゆかしさ」の中には「気配り」があり、気配りの所作には見た目に心地よい感じを与えることがあります。19世紀のイギリスの作家のサミュエル・スマイルズは、「他人への心配りは、その人の人格の奥ゆかしさが表面に形となって現れたものである」と言っています。その意味でも、「おくゆかしさ」が人格の一要因になるのです。

なお、「おくゆかしさ」は「目立たなくて従順な人」を表現することもあるようですが、それについて補足します。

「おくゆかしさ」の意味に「心がひかれ、もっと知りたい」がありますが、控えめの感じを受けることがあります。言動が明るく派手であるわけではないので、「目立たない」と誤解されることがあるのではないでしょうか。しかし、「目立たない」のは言動としては現れてこないだけのことです。その意味では、「おくゆかしさ」の控えめな言動とは意を異(こと)にします。だから、「おくゆかしさ」を「目立たなくて従順な人」と限定的に表現するのは誤用になります。

「奥ゆかしい」は、気配り・気遣いのある、控えめながらも魅力的な言動を表しています。ときには、「奥ゆかしさ」の所作ができるようになりたいものです。

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