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 『善の研究』の「善」とは何か

「善」とは一般的に、誰かの役に立つこととなります。自分の良心によって善を行う(悪は行わない)のですから、善とは道徳のことを言っています。いわば、利他(他者を利益する)の行為ということになりますね。

『善の研究』の「善」の編の中で、西田幾多郎は「善なる行為とは、自己の内面的必然より起こる行為」としています。こころの奥底から純粋に沸き起こってくるものに従う行為が善なる行為ということです。すなわち、あるがままに在り、あるがままに知る純粋経験を通して得た境地、思慮分別の無い境地において自覚したものが内面的必然より起こるものとしているのです。

簡単に言ってしまうと、至誠(この上なく誠実なこころ、まごころ、いわば禅では本性・仏性)による行為が善なる行為ということです。善=仏性と言っていいでしょう。

ところが、善の状態になるためには、私たちには自己実現する(本性・仏性を開花させる)ことが求められます。ここのところを、西田は「我々の真の自己は宇宙の本体である、……宇宙の本体と融合し神意と冥合するのである」と言っています。純粋経験が必要だと言っているのです。禅的に言うと、「悟りなさい」と言っているのです。これはなかなか難しいのですが、必死に、そして継続的に自己実現していくしかないのです。

西田は、端的に「善とは一言にていえば人格の実現である」と言います。そして、自他といった区別もなく、主客ともに無いという、非思量の行為というのが善の行為になっていくのです。

西田は最後に、「真の善とは唯一つあるのみである、即ち真の自己を知るというに尽きて居る、我々の真の自己は宇宙の本体である」と締めくくっています。真の善は、宗教だとも言えるし、道徳であるとも言えるのです。


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