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時機を見て転じていくようにしたいものだ

人にはそれぞれに、それまでの努力などによる原因(=因)があり、それがゆえにその因に見合った結果(=果)が起こるものです。ただし、その場合に重要なのは、予期する結果になるための内的・外的作用(=縁)が必要だということです。すなわち、因となる努力に対して縁が働き、果を得るのです。このことを、仏教では「因縁果」と呼びます。
因果は時間的な横の流れと見なすことができ、周りから働く縁は縦の空間的なはたらきであるとみなすことができます。

そうすると、縁がいつ働くかということが重要になってきます。要するに、時機・タイミングということです。ほとんどの場合、因を高めていけば、機が熟して縁が起こり、それが結果へと結びついていきます。このことを、「時節因縁」と呼びます。

次に大事なことは、機が熟して縁が起こっているのを見定めることができるかどうかということです。ここのところを、仏教開祖の釈尊は「仏性の義を知らんと欲さば、当(まさ)に時節因縁を観ずべし」と言っています。その意味は、仏性(個々人が生まれたときから持っている本性)の義を知るとは「仏性の働きに気づく、悟る」ことであり、そのためにはタイミングと周りに起こる空間的な時節因縁を正しく観察することに尽きるということなのです。そのためのポイントは、次のようになるでしょう。

 ・すべてのものは変化していく(常なるものは無い)ということに気づく
  (縁によって生まれ、変化していく「無常」の世界に生きている)

 ・良き時に良き出会いがある「めぐりあい」を見つける=「時節因縁」

このことから分かるのは、早く「無常」を体感すべきだということです。自分は若いと思っていても、時間と共に老いてくると知ることです。恒久的なものなど何もないことに気づかなければならないのです。

そうは言っても、無常を体感するのは、やさしいことではありません。昔から、禅の世界の悟りまでの修行期間は、三年、十年、二十年などと言われており、その人の努力の度合いと能力レベルによって異なってくるのです。
まずは手始めに、「ものごとに執着しない」ようにする(たとえば、若いのだとこだわらないようにする)ことから始めてはいかがでしょうか。いろいろなことに執着しないようになれば、時節因縁が分かり、見えてくるようになります。
たとえば、しっかりと自分を見つめて周りにしっかりと意識を張っていれば、ある時に「この人は素晴らしい。自分の正師と仰ぐ人だ」というように、理想的な師が現れるのです。

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