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不思議とされるものなどないのが正しい教え

人間には魂があって、その魂が二つに分離して二人の人間が現れるなどということを信じている人はいるのでしょうか。普通は、魂が有るとか無いということは考えても意味がないのでしょう。正しい教えは「正法(しょうぼう)に不思議なし」と言うように、奇瑞(きずい)・奇跡など一つもないのです。「奇跡や不思議現象が有れば邪教である」ということです。

それでは、昔から言われている神通力というものはあるのでしょうか。

神通力は、次のようなものが代表的と言われています。
過去・現在・未来にかかわるものとして、①宿命通(前世の生存の状態を知る)、②天眼通(すべてを見通す)、③漏尽通(煩悩を意味する「漏」を滅して迷いの世界に再び生れないことを悟る)の三つがあります。
そして、さらに④天耳通(すべての音を聞き分ける)、⑤神足通(あらゆる場所に自由に行くことなど)、⑥他心通(他人の心中を知る)を追加した六神通があります。

これらの多くは、これまでの知識から類推することで可能であり、幻と言ってもいいかと思うのです。

たとえば天眼通は、俯瞰する能力と言い換えてもよいものです。

もう一つ他心通も、神通力というよりは相手に対する思いやりだと言い換えることができます。例を示しておきましょう。

唐の時代の潙山(いさん)禅師がある日、部屋で横になっていた。そこへ弟子の仰山(きょうざん)がやってきた。
潙山は仰山を見ると、くるりと向きをかえて壁のほうを向いてしまった。
仰山が「和尚、どうかなされましたか」と問うと、潙山は起き上がって「眠っていて夢を見た。お前は、どんな夢かわかるかな」と言う。
すると仰山はすぐに退出して水を入れた桶と手ぬぐいを持って戻ってきて、それを潙山に差し出した。
潙山はにこりと笑い、その水で顔を洗った。

この例から言える禅の神通力とは、人間に具わった心のはたらきを意味していることがわかります。相手の気持ちを察する思いやり(慈悲の心)のはたらきなのです。

六神通についてまとめておきましょう。
仏教では、六神通のうち「漏尽通」だけを重視して、他を退けています。
そして「漏尽通」になるために、
「漏」(煩悩)が苦の原因であり、それを取り除き滅していく方法(道)である四聖諦(苦・集・滅・道)を教えています。

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