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家を出るということ

私たちの人生は出家して僧籍に入ることと同じような気がしています。もちろん実際に出家するわけではありませんが、たとえば、次のように対比できるのではないかと思うのです。

①親に保護されている時代 =出家の前の段階
②独り立ちする時代(大学入学、就職など) =出家の段階
③家庭を持つ時代(結婚、出産) =仏弟子を持つ時代
④家族が巣立ち一人になる時代(死に至る) =死んで釈尊や祖師たちの世界へ

①の時代は、いわば苦しみながら学び生きていく時代です。
仏教的な言い方では、「流転三界中、恩愛不能断」(るてんさんがいちゅう、おんあいふのうだん、迷いの世界である三界を流転し、恩愛の虜であり恩愛を断ち切れない)と言えます。

②の時代は、親の保護のない独りで生きていく時代です。いわば、すべてを自分独りで決めていかねばならない時代ということです。
仏教的には、「棄恩入無為」(きおんにゅうむい、父母の恩を捨てて出家して無為の仏道に入る)と言います。そうすることによって、次第に恩を父母に限定せず、全ての者への恩が父母の恩と同じくらいに深いものであると捉える時代です。

③の時代は、家族に対して(またはその他の一部の人に対して)強く慈愛の気持ちを持つようになります。
仏教的には、「真実報恩者」(しんじつほうおんしゃ、自分の善き行いを発していく)と言います。

最後の④の時代は、仏教では死ぬと黄泉(よみ)の世界に入る、すなわち「死」とは本当の意味での出家ということになるのです。

実は現在でも、一般人から僧籍に入る時、『出家略作法』にのっとって、
「流転三界中。恩愛不能断。棄恩入無為。真実報恩者」と唱えるそうです。俗世間を捨てて出家することを表明するために髪をそり,円頂(坊主頭)になるのです。これを「棄恩入無為」と呼んでいるのです。その後、得度式を行う手順となります。

また曹洞宗の場合には、実際に死んだ人に対しても同様に、葬儀の時に「流転三界中。恩愛不能断。棄恩入無為。真実報恩者」と唱えるのだそうです。「家族とのつながりを断って、仏の世界に入り、報恩の行いをしましょう」という意味です。

なお、一人になるということを、他者をリードしていく立場だと見なすならば、「真実報恩者」が依然として続くということになるのです。いわゆる「衆生無辺請願度」(他者を救う)ということです。

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