なにものにも邪魔されない真理の世界がある (854)
世の中の出来事は、目の前にあるものを見聞きして、感じ取り、思いを馳せるのが一般的です。それらは、時間とともに変化していってるのを認識できます。因(直接条件)と縁(間接条件)が合わさり為(な)すことで果となる(有る)という意味で、「有為(うい)」と呼びます。ものごとが変わっていくので、恒常的(常なる状態)では無いことになるがために、「無常」とも呼びます。
それでは、「為(な)すことで有る」に対する言葉は何でしょうか。それは、「為(な)すことが無い」となります。前者の有為に対して、「無為(むい)」と呼びます。
「為(な)すことが無い」わけですから、何もできない、逆に言うと「何かを為そうとしても何もできない」わけです。すなわち、無為はなにものにも邪魔されずに存在し続けることになります。
これまでのことをまとめると、次のようになります。
・有為(うい)=世の中の変化しているものごとの全て。
変化する現象世界の一切のものごと。
因縁果の世界。無常の世界。一般生活の世界。
・無為(むい)=なにものにも邪魔されない、変化しない常住・絶対の真理。
生滅変化しない常なる世界。仏教では涅槃とも呼ぶ理想の境地。
[注]無為は、もともとは中国の老荘思想から出てきたもの
と考えて良いでしょう。
老荘思想では、「人間の作為ではなく、自然のあるがまま」
という意味を持ちます。
意図や意思、主観をすべて捨て去って、
「道」(天地自然の働き)に身を任せている状態。
ここで、なにものにも邪魔されない、変化しない常住・絶対の真理について、どのようにイメージすればいいか(どのようなものか)をみていきましょう。
・煩悩を見分けて、断じたところに現れるもの。
いわゆる苦しみのない涅槃のこと。
いわば、禅僧が修行して悟り切った境地のこと。
[参考] 仏教では、「この世はすべて苦であり、その苦の因(集と言う)
は煩悩であること、その煩悩を滅すること、
八正道の実践をせよ」と教えている。
これを苦・集・滅。道の四諦と呼び、その実践を説いている。
・因縁とは無関係であり、現象としては出てきていないもの。
いわば、未だに縁が生じずに、ただただ、あるがままにあるもの。
・もの・現象(仏教では色と呼ぶ)が存在している場(空間)のこと。
いわば、絶対空間ともいうべきもの。
これらの三つは 、いわば分別する必要のない、あるがままの世界と言っていいでしょう。
本来は、私たちはあるがままの世界(涅槃)にいるのです。それにもかかわらず、自分勝手に分別するがために、良し悪し、損得、といった煩悩が芽生えるのです。それが、苦となっているのです。もともと涅槃にいたにもかかわらず、勝手な分別による煩悩が出てきているのですから、「煩悩を断滅せよ」と仏教は説いているというわけです。
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