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向上に終わりはない

向上とは、さらに上に向かって努力することです。それならば、目標に向かって努力して、それを達成したら終わりと考えても良さそうなものです。

しかし、向上には「最高」「最上」という意味もあります。ここで、最高は、過去の出来事を超えるという意味を持つのであり、 最上は、目の前にあるものに比べて上位という意味を持つのです。いずれもより高い、より上位という意味になります。

すなわち、仮に最高や最上のものが見つかれば、その値がその時点で過去の記録となるわけです。そうすると、その時点で新たな状況・環境になり、新たな目標や比較するものができると言うことになります。

このように考えてくると、向上には終わりがないと言うことが分かります。現在の状態が不完全または不満足のものとして、新たに理想追求の努力をすることになるわけです。


さて、補足をしておきたいと思います。

仏教では修行を通して仏になることを理想とします。しかし厳密には、修行の結果がどのようであろうとも、どこまでも継続することを強く言っており、仏の境涯をも超えることが大事だと言うのです。そのように、修行を通して仏の境涯をも超えることを「仏向上(または仏向上の事)」と言います。

また、仏向上を目指すことを「向上の一路」と呼んでいます。そして、向上の一路(仏の境涯を超える)は、誰であっても(一千人の聖人であっても)言葉に説き尽くすことはできないのです。そのことを、「向上の一路、千聖すら伝えず」と表現します。もしも言葉で表現しようとするのは、「学者の形を労すること、猿の影を捉えんとするが如し」(猿が水に映る月影を捉まえようとするようなものだ)と言っているのです。

私たちは、「自分の境涯を高めていくためには、生涯を通して努力し邁進していく」ことが重要なのです。

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