自由を手に入れた夜
バリバリ稼いでいる、めちゃくちゃお金持ちの友人が遊びに来た。
そして友人は言った。
「お腹が空いてるけど、お金が無いから何も食べない」と。
俺はビックリした。
様々な高級時計を身につけ、誰がどこからどう見てもお金持ちの友人が外食もできないなんて。
見かねた俺は「たかやん特製超健康的味噌汁と謎おにぎり」を差し出した。
「めちゃくちゃ美味しい!」
友人は喜んでくれた。
俺は嬉しかった。
人類で俺しか食べたことのない、謎だらけの怪しいオリジナル味噌汁とおにぎりを、美味しいと言ってくれたことが嬉しかった。
おにぎりを食べた後、友人はなぜお金がないのかを語り出した。
なるほど、そういう理由があったのか。
そして友人は、俺にこう言った。
「お金があると選択肢がいっぱいあるから迷うけど、お金がないと何もできない。だから迷うこともない。だからある意味、お金の無いことは自由なんだよ。いつもお金が無いたかやんは、自由なんだよ!」
えっ!?
急に俺に対してつうこんの一撃ですか!
ビックリして死んでもうたわ!
勢いつきすぎてすぐ生き返ったけどね!
それにしてもワイ、自由やったんや。
貧乏人のワイは、いつも自由やったんや。逆に!
知らんかったわ。
そうか、確かにお金がないということは、これを買う、買わないなんて選択肢はない。
こんなことできるかな?できないかな?なんてことは考えない。
だって何もできないもの。
欲しい物は買わず、無駄使いはせず、いつも節約して、ただ部屋でじっとしているだけ、そして無駄な夢や希望は持たない自由人なんだ!
うわーん!
泣くな、泣くな俺。
自由とは何だ。考えろ俺。
そうさ、何でもできることが自由じゃない。
自由すぎるってのも、案外生きづらくて不自由なものさ。
どんな環境であろうと、どんな状況であろうと、俺の心は自由だ。
この不自由な世界にも、自由な生き方ってものがある。
この混沌の世界で、本当の自由を求めて戦うんだ。
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