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書評『ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 』

オススメ度:★★★★★

ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books)

【本書の概要】
企業の競争戦略について、一橋大のビジネススクール教授によって書かれた本著。
500ページあり非常に長いですが、時間を忘れて読み耽ってしまうような名著でした。
ちなみにこの本を読んで改めて気付いたのですが、今の私の会社には明確な戦略上のコンセプトというのが全く無いですね(笑)
戦略やコンセプトがしっかりチーム全体に共有されている会社の方が、もっと楽しく働けるのかもしれません。

【自分が付箋をつけたポイント】
・競争戦略のゴールは、「5〜10年と長期にわたって持続可能な利益」
例えば、シェア拡大であれば低価格戦略を取ればよいが、長期的な利益は得られない

・他社との違いをつくる方法は2つあり、1つ目はSP(戦略的ポジショニング)、2つ目はOC(組織能力)

SPの戦略とは「何をやり、何をやらないか」を決めること
SPの例:
・マブチモーター:モーターの標準化にこだわり、カスタマイズした製品は手掛けない
・デル:最先端の技術は追いかけずコモディティ化した製品しか手を出さない、見込み生産をしない、直販にこだわり外部チャネルを使わない

・OCとは「組織特殊性(他者が簡単に真似できず、市場でも容易には買えない)の条件を満たすもの」
OCの例:
・セブンイレブンの各店舗による仮説検証型発注
・トヨタのトヨタ生産方式

・SPの戦略の本質は「いかに競争圧力を回避するか」という思想であるのに対し、OCは競争圧力を受け入れ、それに対抗しようとする戦略

・競争優位の源泉は2つあり、1つ目は「業界の競争構造」、2つ目は「優れた戦略」

・製薬業界やタバコ業界のような参入障壁が高くハワイのような恵まれた業界がある一方で、PC業界や航空業界のような北極に位置するような業界もある

https://tjblog.jp/2022/05/25/1480/【要約】3分で読める『ストーリーとしての競争戦略』より引用

・外資系はSPを志向し、日本企業はOCへと傾斜しがち (例:ソニー、日立等)

・Amazonが新品の本と中古の本(Amazonマーケットプレイス)を同じページに並べているのは、「人々の購買決断を助ける」というコンセプトに従っている為
→短期的には新品の本のみを顧客に買ってもらった方が利益は上がりますが、中古の本も載せることで顧客の満足度が上がる為長期的にはAmazonの売り上げアップが見込めます

・「誰に嫌われるか」をはっきりさせることが重要
例:スタバ→忙しい人、喫煙者
カーブス→男性

・「コンセプト」は人間の本性を捉えるものでなくてはならない
人間の本性というのは何十年、何百年経っても基本的に変わらない
例:第三の場所(スタバ)、久美子さんの救済(アスクル)

・「一見して非合理」(=損して得とれ)なキラーパスこそが、競争優位を生む
なぜならその施策は競合他社からすると一見非合理に見え、真似しようとすら思わないから
例:スタバの本部一括直営方式、ガリバーインターナショナルの中古車買取専門、サウスウエスト航空のポイントトゥーポイント路線

・一貫性こそが戦略ストーリーがもたらす持続的な競争優位の源泉

・世間や業界で当たり前のものとして受けいられている常識を疑うことが、キラーパス(=一見して非合理)の創造につながる

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