【オオクニヌシ】国造りを始めるも超有能ブレインが突如いなくなってしまって詰んだ話【日本神話】
どーも、たかしーのです。
今回も、前回に引き続き、日本の神話に登場する『オオクニヌシ』について、書いていきたいと思います!
前回までのお話
今回は、オオクニヌシが国造りを始めたお話です。
大国主の国造り
※今回も「古事記」をベースに書いていきます。
三貴神であり、舅(しゅうと・妻の父)でもあるスサノオから「葦原中国を治めよ」を託されたこともあって、オオクニヌシはいよいよ葦原中国の国造りを始動します!
スクナビコナ、登場!
ここで、また新たな神様が、オオクニヌシのもとへとやってきます!
オオクニヌシが、出雲国の美保崎(現在の島根県にある美保関)にいると、海の向こうから小さな神様がやってきました。
どれくらい小さいかというと、乗って来た舟はガガイモの実の殻でできており、自身は蛾の皮でできた着物を纏っていました。(レディーガガもビックリなファッションセンス…)
しかしながら、オオクニヌシが名を聞いても、小さな神様は自身の名前を答えてはくれません。仕方がないので、まわりにいた者に「この神様は何者か?」を尋ねてみたところ、まさかのヒキガエルがこう答えました。
※ちなみに、このヒキガエルは、ただのヒキガエルではなく、タニグク(多邇具久)と呼ばれる、れっきとした神様です。
ヒキガエル「それならカカシが知ってるゲコ」
というわけで、言われた通り、そのカカシに聞いてみると…
※ちなみに、このカカシも、ただのカカシではなく、クエビコ(久延毘古)と呼ばれる、こちらもれっきとした神様。カカシであるため、歩行はできないが、天下のことならなんでも知っているとのこと。
カカシ「その神さんはカミムスビ(神産巣日神)とこのスクナビコナ(少名毘古那)べや」
と答えました。
カミムスビはすでにこれまでの話で何度か登場をしましたが、天地開闢のあとに出現した別格の神様・別天津神(ことあまつかみ)の1柱で、スサノオが殺害した穀物・養蚕の神オオゲツヒメの遺体を葦原中国に蒔いた神様でもあり、八十神によってハメ殺されたオオクニヌシが生き返らせた神様でもあります。(死んだ神様の後処理のスペシャリスト...)
↓カミムスビがオオクニヌシを生き返らせた話はこちら
つまりは、オオクニヌシにとって命の恩人でもあるカミムスビの子が、このスクナビコナだと聞いたので…
早速、オオクニヌシは「本当にお宅の子ですか?」を確認するため、高天原(天上界)にいるカミムスビに直撃インタビューをしてみたところ、
カミムスビ「ああ、スクナビコナね。間違えなくワシの子やで!指の隙間から落ちてできた子なんよ。」
と、実の子であることを認めました!(指の隙間から…)
そして、続けて…
カミムスビ「じゃあ、オオクニヌシはん。このスクナビコナと一緒に、いっちょ、国造っちゃってよ。よろしく!」
と、実子かどうかをインタビューした流れで、オオクニヌシはスクナビコナと一緒に国造りをする運びとなりました。
こうして、オオクニヌシは、スクナビコナのアドバイスのもと、一緒に全国を巡り歩き、農業技術や病気の治療、さらには酒造りまで、葦原中国(地上界)に住まう神々や人々に伝え、豊かな生活を送れるよう、開拓を続けました。
しかしながら、スクナビコナは、開拓途中で、突如、常世の国(とこよのくに)という国へと帰ってしまうことになります。
これには諸説あるのですが、、あまりにも突然いなくなったので、草に弾かれて飛んで行った説や、川で溺れてそのまま去った説など、色々憶測が飛び交っています。(なんだかカワイソウな退場だな…)
なお、このような活動内容から、スクナビコナは、医療や穀物、酒造の神として、神社に祀られています。また、温泉を開いたという伝説も残っていることから、温泉の神としても知られています。
ちなみに、新しく登場したワールドである常世の国ですが、これは海の彼方にあるとされる異世界だとされており、「浦島太郎」の伝承にも登場するそうです。
オオモノヌシ、登場!
そんなスクナビコナの急な退場に困ったのは、もちろんオオクニヌシでした。
これで1人で国造りをすることになったオオクニヌシは…
と、嘆いていたのですが、そんなポスト(ツイート)声を聞いてか、今度は海の向こうからライトアップされ、また別の神?がオオクニヌシの目の前に現れたのです。
そして、その神は、オオクニヌシにこう告げました。
神?「吾輩は汝のさきみたまくしみたま(幸魂奇魂)であーる!」
なんのこっちゃ、よくわからないですよね。(私もそうでした…)
「さきみたまくしみたま」がどういう意味なのか?ですが、結論からいうと、これは神道における概念のひとつで、神の霊魂(精神的実体、御魂や神霊ともいう)のことを指します。
もう少し詳しく書くと、神道では神の霊魂には2つの側面(和魂・荒魂)があり、その中の和魂の働きとして、幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)があると考えられています。
神の霊魂(神の精神的実体)
和魂(にぎみたま:神の優しく平和的な側面)
幸魂(さきみたま:人々を平和で幸福に導く働き)
奇魂(くしみたま:霊妙なはたらきで物事を成就に導く働き)
荒魂(あらみたま:神の荒々しい側面)
つまり、このシーンは、オオクニヌシが、優しく平和的な側面を持つ自らの和魂と遭遇した、ということになります。(世にも奇妙な物語…)
さて、その正体がわかったところで、続きを見ていくと…
オオクニヌシの霊魂「国造りを成功させたいんやったら、ワイを青々と垣をなす大和国の東側の山上に祀れば、力を貸してやるで~!」
と、オオクニヌシに言います。
これを聞いたオオクニヌシは、約束通り、大和国(現在の奈良県)にある三輪山にこの霊魂を祀ることにしました。
これにより、土地はどんどん豊かになり、食べ物もたくさん実って、みるみる国が潤うようになりました。
ちなみに、この三輪山をご神体とする大神神社(おおみわじんじゃ)が、奈良県桜井市にあります。
また、このオオクニヌシの霊魂ですが、神様として名前がついており、一般的にはオオモノヌシ(大物主)と呼ばれています。
おわりに
今回は「古事記」上巻に記述されている『オオクニヌシ』の話の中から、「大国主の国づくり」について書いていきました。
なお、なんとなく想像はついたかと思いますが、あの有名なおとぎ話である「一寸法師」のモチーフとなったのが、このスクナビコナだったりします。
あと、最後に登場したオオモノヌシも、スサノオに負けず劣らずのサイコパス神だそうですよ。※またそのエピソードが書けたらと。
『オオクニヌシ』についての話はまだまだ続きます。
次回は、ついに日本の最高神であり、スサノオの実姉であるアマテラスが登場しますよ!
他にも、歴史上の人物や神話などをベースに、記事を書いていく予定ですので、是非フォローなどしてもらえるとありがたいです!
それでは!
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