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90年代の音楽を知らないアナタへ その25 EXHALE(95)/WHITNEY HOUSTON 汚名返上!ホイットニーの真っすぐなソウル歌唱

ホイットニーが出演した映画「ため息つかせて/WAITING TO EXHALE」のサウンドトラックのために書き下ろされたベビーフェイス作・プロデュースによる1曲。

ボディガードでキャリアのピークを迎えワールドワイドなフェイムを手に入れた矢先、悪評高かったボビーブラウンと結婚。十分すぎるほどのスリリングな話題に、輪をかけるように煙が立ち始めた「薬物依存の噂」。俺たち・私たちのホイットニーはいったいどうなっちゃうの!?と周囲やファンの精神状態を常に不安定にさせてきた渦中のホイットニーが、ようやく歌手としての本領を発揮すべくレコーディングしたのがこの曲だった。

映画の撮影中も常に精神状態がよろしくなかったようで、スタッフやキャストをヤキモキさせてきたという話は、音楽の話題とは関係ないのでここでは割愛。まー、とにかくこの時期のホイットニーは良きも悪きもニュースが絶えなかったのだ。

そんな汚名を返上するにうってつけのタイミングでリリースされたのがこのシングル「EXHALE」である。泣く子も黙る「全米NO.1」という快挙。ノーイントロ、つまりアカペラの第一声「EVERYONE FALLS」で始まるこの曲はそれだけでも印象深いのだが、全編を通してホイットニーの飾らないストレートな歌唱がなによりも聴き所となっている。歌詞が少なく、音数も少ない。幼い頃からソウルミュージックに親しんできた彼女であれば余裕なのかも知れないが、並の歌手ではとうてい消化しきれないであろうハイレベルを求められる歌であることは素人耳にもわかる。それほどまでに世界観があり、歌い手の技量が出る1曲であると感じる。

どちらかといえばバッドニュースが多かったこの時期に、こんなにも優しく、穏やかな歌声をどうやったら演出し得たのだろうかと視聴者であるこちらが戸惑うほどに、聖人・ホイットニーの歌声がこの曲にはあった。ベビーフェイスはホイットニーのコントロールに成功したが、きっと難儀だったに違いない 。悪質なニュースはどこか他人事のようで、曲の間は完全に歌の世界観を堪能させてくれる。

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